任意整理中にカードローンは通った?審査の現実とリスクを徹底比較

「任意整理中だけどカードローンに通った」という書き込みを見つけて、自分にも可能性があるのか調べている方へ。先に結論をお伝えします。任意整理の手続き中に、正規のカードローンの審査に通ることはまずありません。そして通ったとしても、それは手続きを壊す借入になります。

この記事では、審査で何が見られているのかを貸金業法の条文レベルまで踏み込んで説明し、「通った」という話の正体を分解したうえで、借りる以外にどんな手が残っているのかを具体的に比較します。

結論
  • 貸金業者には返済能力の調査義務(貸金業法13条)があり、一定の場合には指定信用情報機関の照会が法律上必須です。任意整理中の記録は必ず把握されます。
  • さらに総量規制(貸金業法13条の2)により、年収の3分の1を超える貸付けは原則禁止。多重債務の状態では枠自体が残っていません。
  • 「通った」の正体は、対象外にした既存枠・期間経過後・正規の貸し手ではなかったのいずれかであることがほとんど。
  • 手続き中の借入は、和解の破棄・代理人の辞任を招きます。足りないときは借りるより先に、担当の専門家と公的制度へ。
この記事の根拠と執筆方針
  • 法令・信用情報の登録期間は、e-Gov法令検索・CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)・金融庁の公表資料を確認して記載しています。参照先は記事末尾の「出典」にまとめています。
  • 執筆は、自身も多重債務からの立て直しを経験した LingoTimes 編集部が担当しています。実体験に基づく部分は「筆者の経験」と明示し、一般論と区別しています。
  • 審査基準は各社が非公開のため、特定の会社について「通る・通らない」を断定することはしません。また、任意整理中の借入先として特定の業者をおすすめすることもしません。
  • 本記事は情報提供を目的としたもので、個別の法律相談・与信判断を行うものではありません。
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目次
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カードローンの審査で、法律上必ず行われること

「審査が甘い会社を探せば通るのでは」と考えてしまいますが、正規の貸金業者には、甘くすることが許されていない手続きがあります。

1. 返済能力の調査は義務(貸金業法13条)

貸金業法13条は、貸金業者に対し、貸付けの契約を締結しようとする場合には返済能力に関する事項を調査しなければならないと定めています。さらに同条は、個人向けの貸付けにあたっては指定信用情報機関が保有する信用情報を使用することを求めています。

つまり、信用情報を見ずに貸すという選択肢は、正規の業者には制度上ありません。「審査なし」「信用情報を見ません」とうたう相手は、正規の貸金業者ではないと判断してください。

2. 総量規制で借入枠そのものがない(貸金業法13条の2)

貸金業法13条の2は、個人の借入残高が年収の3分の1を超える貸付けを原則として禁止しています。任意整理に至る状況では、すでに複数社からの借入がこの枠を使い切っていることがほとんどです。仮に信用情報がきれいでも、枠が残っていなければ貸せません。

3. 銀行カードローンも実質は同じ

銀行カードローンは貸金業法の直接の適用対象ではありませんが、多くの商品で消費者金融系・信販系の保証会社が保証を付ける仕組みになっており、その保証会社が信用情報を照会します。さらに過剰貸付けへの批判を受けて全国銀行協会が2017年に申し合わせを行い、各行が審査体制を見直した結果、現在は申込時に警察庁データベースへの照会も行われ、即日融資は事実上なくなりました。銀行のほうが通りやすいということはありません。

任意整理をすると、信用情報に何が残るのか

  • CIC:クレジット情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年以内」。延滞・保証履行・破産といった異動の記録もここに含まれます。
  • JICC:2019年10月1日以降の契約について、債務整理・破産申立は「契約継続中および契約終了後5年以内」。
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター):官報に掲載される破産・民事再生の情報は、2022年11月4日から7年(従来は10年)。

任意整理の場合、和解した返済(通常3〜5年)を終えてから約5年が目安です。着手から数えると8〜10年程度かかる計算になります。

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「任意整理中でもカードローンに通った」という話の正体

ケース1:任意整理の対象から外した既存の枠だった

任意整理は対象の債権者を選べる手続きです。対象外にしたカードローンの枠が残っていて使えた、というのが最も多いパターンです。ただしこれは新規契約ではありませんし、貸金業者は契約後も定期的に信用情報を確認する(途上与信)ため、いずれ利用停止や限度額の引き下げになる可能性が高い点に注意してください。

ケース2:すでに登録期間が過ぎていた

「任意整理中」と書いていても、実際には完済から5年以上経過していたケースです。体験談は時系列が曖昧なまま拡散しがちです。

ケース3:正規の貸し手ではなかった

信用情報を照会しないのは、審査が甘いからではなく照会できる立場にないからです。無登録の相手から借りれば、法外な金利、個人情報の悪用、家族や勤務先への連絡といった被害に直結します。相手の登録の有無は、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認できます。

見分け方
  • 登録番号(「関東財務局長(3)第◯◯号」「◯◯県知事(1)第◯◯号」形式)が明記され、登録貸金業者情報検索サービスで照合できるか。
  • 上限金利が年15〜20%の範囲に収まっているか(利息制限法の上限)。
  • 融資の前に保証金・手数料を要求してこないか(要求してきたら詐欺です)。
  • 会社名・所在地・固定電話の記載があるか。SNSや携帯番号だけの窓口は避ける。

【重要】任意整理中に借りると、和解が壊れる

ここが最も重要です。仮に借りられたとしても、失うもののほうが大きくなります。

  • 和解交渉が白紙に戻る:任意整理は、代理人が各債権者と個別に返済条件を交渉する手続きです。交渉中に新たな借入をすれば返済能力の前提が崩れ、まとまりかけた和解が振り出しに戻ることがあります。
  • 代理人が辞任することがある:無断で借入を重ねれば信頼関係が損なわれます。辞任されれば受任通知の効力は失われ、止まっていた督促が一斉に再開します。手続き前より苦しい状況になりかねません。
  • 申込履歴が残る:CICでは申込情報が照会日から6か月間保有されます。通らない時期の申込は、不利益だけが積み上がります。
  • 自己破産へ切り替える場合に響く:支払不能の状態を隠しての借入は、破産手続で免責不許可事由に当たり得ます。

筆者の経験でも、いちばん危なかったのは「あと5万円あれば今月を越えられる」と考えた瞬間でした。その5万円は翌月の返済額を増やすだけで、越えられた月は一度もありません。足りないと感じたら、借りる前に担当の弁護士・司法書士へ連絡してください。返済額の調整や支払時期の交渉は、想像より柔軟に応じてもらえます。

借りる以外の選択肢を比較する

「今月足りない」に対して、実際に使える手段を効果と副作用で並べます。

1. 担当の弁護士・司法書士に返済額の調整を相談する(最優先)

和解前なら条件交渉に反映でき、和解後でも事情によっては債権者と再交渉できる場合があります。副作用がなく、最も早い手段です。

2. 社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度

市区町村の社会福祉協議会が窓口の公的貸付です。緊急かつ一時的に生計の維持が困難な世帯向けの緊急小口資金、失業や減収で生活費が不足する世帯向けの総合支援資金があり、低利または無利子。信用情報機関への照会を前提とした審査ではありません。ただし償還の見込みや世帯の状況は確認されるため、まずは相談から始めてください。

3. 自治体の生活困窮者自立支援制度・住居確保給付金

自立相談支援機関で家計と就労の立て直しを無料で相談できます。家賃が払えない場合は住居確保給付金(返済不要)につながることがあります。

4. 支払いを止める・待ってもらう交渉

公共料金、税、社会保険料は、窓口に相談すれば分割や納付猶予に応じてもらえることがあります。借りて増やすより、出ていくお金を止めるほうが確実です。

5. 手続き自体の見直し

任意整理の返済が生活実態に合っていないなら、個人再生や自己破産への切り替えを検討する余地があります。無料相談で現状を伝えれば、選択肢を整理してもらえます。

絶対に避けたい選択
  • SNS・掲示板の個人間融資:無登録営業のヤミ金や前払い金詐欺の入口です。金融庁も名指しで注意喚起しています。
  • 給与ファクタリング:給与の買取を装った実質的な貸付で、無登録なら違法です。
  • 後払い・クレジットカードの現金化:規約違反で一括請求の対象になり、任意整理中は致命的です。

それでも返済が苦しいなら、専門家に相談を

任意整理中にお金が足りなくなるのは、意志の弱さではなく返済計画と生活実態のズレです。ズレは相談すれば直せます。多くの法律事務所が借金の無料相談を受け付けており、受任通知が出れば督促は止まります。

まとめ

  1. 貸金業法13条により返済能力の調査は義務で、指定信用情報機関の照会も法律上求められている。
  2. 総量規制(13条の2)で年収の3分の1を超える貸付けは原則禁止。多重債務の状態では枠が残っていない。
  3. 銀行カードローンも保証会社が信用情報を照会するため、通りやすいということはない。
  4. 「通った」の多くは、対象外の既存枠・期間経過後・正規の貸し手ではなかったのいずれか。
  5. 手続き中の借入は、和解の破棄・代理人の辞任・免責不許可事由につながる。
  6. 足りないときは、担当の専門家 → 公的貸付 → 支払いの猶予交渉、の順に当たる。
  7. 目安は完済から約5年。自己破産・個人再生の官報情報はKSCに7年。

よくある質問(任意整理中のカードローン)

任意整理中にカードローンの審査に通ることはありますか?

正規の貸金業者では、まずありません。貸金業法13条により返済能力の調査が義務づけられ、個人向け貸付けでは指定信用情報機関の信用情報を使用することが求められているためです。加えて総量規制により、年収の3分の1を超える貸付けは原則できません。

任意整理の対象から外したカードローンは使えますか?

枠が残っていれば一時的に使えることはあります。ただし貸金業者は契約後も定期的に信用情報を確認するため、利用停止や限度額の引き下げになる可能性が高く、また新たな借入は和解交渉に悪影響を与えます。使う前に必ず担当の弁護士・司法書士へ相談してください。

任意整理中に借入したことが発覚するとどうなりますか?

返済能力の前提が崩れるため、まとまりかけた和解が白紙に戻ることがあります。代理人に無断で行った場合は辞任につながり、受任通知の効力が失われて督促が再開します。自己破産へ切り替える場合には、免責不許可事由に当たる可能性もあります。

銀行カードローンなら任意整理中でも通りますか?

通りません。銀行カードローンは多くの商品で保証会社が保証を付けており、その保証会社が指定信用情報機関へ照会します。2017年の全国銀行協会の申し合わせ以降は審査も厳格化され、即日融資は事実上なくなっています。

任意整理後、いつからカードローンを利用できますか?

和解した返済を完済してから約5年が目安です。CICは「契約期間中および契約終了後5年以内」、JICCは2019年10月1日以降の契約について「契約継続中および契約終了後5年以内」と公表しています。申し込む前に各機関の本人開示で記録が消えたことを確認すると確実です。

出典

更新履歴

  • 2026年7月25日:全面改稿。貸金業法13条・13条の2(総量規制)の位置づけを明示し、信用情報機関の登録期間を各機関の公表内容に基づき更新。特定業者の推奨を削除し、借入以外の選択肢の比較と出典を追加しました。
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