道外に販路を広げたい会社のWeb広告|最初のテストは地域と見せ方を絞って設計する
北海道の会社が道外のお客様に向けてWeb広告を始めるときの、最初のテストの組み立て方を解説します。小さく試す地域の選び方、送料や到着日数など配送と価格の見せ方、期間と予算の決め方、結果の読み方を整理しました。
道内での販売が落ち着き、次は道外のお客様にも商品やサービスを届けたい。そう考えたときに、まず候補に挙がるのがWeb広告です。地域を指定して配信でき、少ない予算から始められるため、道外の反応を確かめる手段として使いやすいからです。
ただし、道内で反応の良かった広告を、そのまま全国に広げればよいわけではありません。道外のお客様は、北海道の会社や商品を知らない状態から出会うことが多く、送料や届くまでの日数も道内とは事情が変わります。いきなり広い範囲に出すと、何が良くて何が悪かったのかが分からないまま予算だけが減る、ということが起こりがちです。
この記事では、道外への販売を広告で試すときに、最初のテストをどう設計すればよいかを、地域の選び方と配送・価格の見せ方を中心に整理します。
道外への広告は「試験」として始める
最初の数か月の目的は、売上を大きく伸ばすことではなく、道外で売れる見込みがあるかを確かめることに置くのが現実的です。言いかえると、最初の配信は本番ではなく試験です。試験だと決めておくと、予算を小さく抑えられ、うまくいかなかったときにも学びとして次に活かせます。
試験として始めるために、配信の前に次の3つを言葉にしておきます。
- 確かめたいこと:例として「道外の人は、送料を含めた価格でも買うか」など、1つに絞った問い
- 成果として数えるもの:購入、問い合わせ、資料請求など、配信の結果として何を1件と数えるか
- 判断の基準:1件の獲得にかけてよい費用の上限と、続けるかやめるかを決める時期
この3つが決まっていないと、配信が終わってから「反応はあった気がする」「もう少し続ければ伸びるかもしれない」という曖昧な判断になりやすくなります。
小さく試す地域の選び方
道外と一口に言っても範囲は広く、すべての都府県に同時に配信すると、1つの地域あたりのデータが少なくなって比較ができません。最初は、地域を2〜3つに絞って試すのが一つの考え方です。
絞り込むときの手がかりは、自社の手元にある情報です。たとえば、これまでの通販の注文やお問い合わせで、道外のどの地域からの声が多かったか。観光で来た人が後から注文してくれたことがあるか。取引先や知人のつてがある地域はどこか。こうした実際の接点がある地域は、見込みのある候補になります。
もう一つの手がかりは、配送の条件です。届くまでの日数や送料が地域によって大きく変わる商材の場合、条件の良い地域から試すほうが、商品そのものの反応を確かめやすくなります。反対に、条件の厳しい地域で反応が悪くても、それが商品の問題なのか配送の問題なのかが分かりません。
地域を選んだら、地域ごとに配信の単位を分けて、それぞれの数字を見られるようにしておきます。ただし、分けすぎると1つあたりのデータが少なくなるため、最初は少数に絞ることが前提です。
配送と価格の見せ方で反応が変わる
道外のお客様にとって、購入をためらう理由になりやすいのが送料と届くまでの日数です。広告やページで商品の魅力を伝えても、注文の直前で送料を見て離れてしまえば、広告の評価も下がってしまいます。
そこで、テストの段階で見せ方を意識して決めておきます。考えられる選択肢には、次のようなものがあります。
- 送料を含めた価格を、商品ページの最初のほうで分かるように示す
- 地域ごとの送料と、届くまでのおおよその日数を一覧で示す
- 一定の金額以上で送料の負担を軽くするなど、まとめ買いの条件を示す
- 冷蔵・冷凍など配送方法の違いや、届いたあとの保存方法を説明する
どれが合うかは商材と利益の構造で変わるため、正解は一つではありません。大事なのは、見せ方を決めずに配信を始めないことです。送料の負担を軽くする見せ方は反応を上げる可能性がありますが、その分だけ1件あたりに残るお金は減ります。どこまで負担できるかを先に計算しておきましょう。
なお、価格や送料の表示には消費者向けの法令や媒体の広告ポリシーが関わります。表示の方法に迷う場合は、最終判断を専門家や媒体の審査基準の確認で行ってください。
最初のテストを設計する手順
ここまでの考え方を、配信を始めるまでの手順にまとめます。
- 確かめたいことを1つに決める:道外で売れる見込みがあるか、送料込みの価格で買われるか、など問いを絞る。
- 1件あたりの費用の上限を決める:商品の利益から送料や梱包の負担を差し引き、広告にかけてよい額を出す。
- 試す地域を2〜3つに絞る:実際の接点がある地域や、配送の条件が良い地域から選ぶ。
- 配送と価格の見せ方を決める:送料、届くまでの日数、まとめ買いの条件をページに反映する。
- 成果を測れる状態にする:購入や問い合わせが地域ごとに数えられるかを、実際に試して確かめる。
- 期間と予算を決める:判断に足りる件数が集まりそうな期間を区切り、その間の予算を決める。
- やめる条件を決めておく:期間が終わった時点で、どの数字ならやめるかを社内で合意する。
手順の1と2、7は自社で決めることです。地域の配信設定や計測の設定は代理店に任せられますが、何を確かめ、いくらまでなら赤字にならず、どこでやめるかは、事業の側でしか決められません。
FIG.道外向けの最初のテストを設計する手順
- 確かめたいことを1つに決める道外で売れる見込みがあるか、など
- 1件あたりの費用の上限を決める送料や梱包の負担を差し引いて
- 試す地域を2〜3つに絞る実際の接点や配送の条件から
- 配送と価格の見せ方を決める送料、届くまでの日数、まとめ買いの条件
- 成果を測れる状態にする地域ごとに数えられるか試す
- 期間と予算を決める
- やめる条件を決めておく社内で合意する
結果を読んで次を決める
期間が終わったら、地域ごとの数字を並べて、次に何をするかを決めます。数字の組み合わせごとの考え方の例を表にしました。
| 結果の例 | 考えられること | 次の一手の例 |
|---|---|---|
| クリックは多いが購入が少ない | 広告の関心は引けているが、ページや送料で離れている可能性 | 価格と送料の見せ方、ページの説明を見直す |
| クリック自体が少ない | 広告の内容がその地域の人に響いていない可能性 | 広告の文言や写真、伝える魅力を変えて試す |
| 地域によって差が大きい | 地域ごとに需要や配送の条件が違う可能性 | 反応の良い地域に予算を寄せ、残りは止めるか見直す |
| 上限の範囲で獲得できている | その地域では続ける見込みがある | 同じ条件で期間を延ばし、少しずつ地域を広げる |
注意したいのは、件数が少ないうちに結論を急がないことです。数件の差は偶然でも起こるため、判断に足りる件数が集まっていなければ、期間を延ばすか、地域をさらに絞ってデータを集めることも選択肢になります。
まとめ
道外への販路を広告で試すときは、最初の配信を本番ではなく試験と位置づけ、確かめたいこと、成果として数えるもの、判断の基準を先に決めておくことが出発点になります。地域は実際の接点や配送の条件をもとに2〜3つに絞り、地域ごとに数字を見られるようにします。
道外のお客様は送料や届くまでの日数を気にしやすいため、配送と価格の見せ方を決めてから配信を始めましょう。結果は地域ごとに並べて読み、反応の良い地域から少しずつ広げていくと、予算を無駄にしにくくなります。何を確かめ、いくらまでかけられ、どこでやめるかは、自社で決めて代理店と共有しておくことが大切です。
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