債務整理中でも借りれる銀行はある?審査の仕組みといつから借りられるかを解説

「債務整理中でも借りれる銀行はないか」——任意整理や個人再生の手続きが続くなか、生活費や急な出費でどうにもならず、そう検索した方が多いはずです。結論を先にお伝えします。債務整理中に銀行から新規で借りることは、原則としてできません。しかもこの時期の借入は、せっかく進めている手続きそのものを壊してしまう危険があります。

この記事では、「なぜ銀行が特に厳しいのか」を仕組みから説明したうえで、いつになれば借りられるようになるのかを信用情報機関の公表内容に沿って正確に整理し、今この瞬間お金が足りないときに、銀行より先に当たるべき窓口までを解説します。

結論
  • 債務整理中に新規で貸してくれる銀行は、現実にはありません。銀行カードローンは保証会社の保証が前提で、その保証会社が信用情報を必ず照会するためです。
  • 目安は手続きの完了(完済・免責)から5年。自己破産・個人再生の官報情報だけは、銀行系の信用情報機関で7年登録されます。
  • 手続き中の借入は、和解の破棄・代理人の辞任・免責不許可事由につながり得ます。「バレなければ大丈夫」ではありません。
  • 今すぐ必要な生活費は、社会福祉協議会の生活福祉資金や自治体の支援制度が先。借入を増やす前に、担当の弁護士・司法書士へ相談してください。
この記事の根拠と執筆方針
  • 信用情報の登録期間・制度の内容は、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)・金融庁・厚生労働省などの公表資料を確認して記載しています。参照先は記事末尾の「出典」にまとめています。
  • 執筆は、自身も多重債務からの立て直しを経験した LingoTimes 編集部が担当しています。実体験に基づく部分は「筆者の経験」と明示し、一般論と区別しています。
  • 本記事は情報提供を目的としたもので、個別の法律相談・与信判断を行うものではありません。最終的な判断は、各機関の最新の公表内容と、担当の専門家への相談に基づいて行ってください。
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目次

債務整理中に銀行から借りるのは、なぜ「原則できない」のか

「消費者金融はダメでも、銀行なら」と考える方は少なくありません。しかし審査の厳しさで言えば、銀行はむしろ消費者金融より通りにくいのが実情です。理由は3つあります。

理由1:銀行カードローンには「保証会社」が必ず付く

銀行が個人向けに無担保で貸すとき、多くの商品では保証会社が保証を付ける仕組みになっています。万一返済が滞れば、保証会社が銀行へ代わりに支払い(代位弁済)、その後は保証会社が債権者になります。

つまり、実質的に審査しているのは銀行だけではなく保証会社です。そしてこの保証会社の多くは消費者金融系・信販系の会社で、指定信用情報機関に加盟しています。銀行の窓口が親身でも、保証会社が信用情報を照会した時点で、債務整理の情報は把握されます。

理由2:債務整理をすると信用情報に「異動」が登録される

任意整理・個人再生・自己破産のいずれでも、信用情報機関には返済が正常に行われなかった事実(いわゆる異動情報)が登録されます。CICは自らの保有情報について「契約期間中および契約終了後5年以内」と公表しており、延滞・保証履行・破産といった記録もこの中に含まれます。JICCも、2019年10月1日以降の契約について「債務整理・破産申立」を契約継続中および契約終了後5年以内としています。

この状態で新規に申し込めば、保証会社の照会でその記録が確認され、審査は通りません。

理由3:銀行カードローンは業界全体で審査が厳格化されている

かつて銀行カードローンは「即日融資可」「年収証明不要」を掲げる商品が多くありました。しかし過剰貸付けへの批判を受け、全国銀行協会が2017年に申し合わせを行い、各行が自主的に審査体制を見直しました。現在では申込時に警察庁のデータベースへ照会する運用が全行で行われており、その日のうちに借りられる銀行カードローンは事実上なくなっています。審査は数日単位で、書類の確認も以前より丁寧です。

ここが大事

「審査が甘い銀行」を探す発想そのものが、この局面では成り立ちません。銀行に緩い・厳しいの差はあっても、信用情報を照会しない正規の貸し手は存在しないからです。貸金業法13条は、貸金業者に対して返済能力の調査を義務づけています。「審査なしで貸します」と言い切る相手は、正規の事業者ではないと考えてください。

いつになれば銀行で借りられるのか:手続き別の目安

ここが最も知りたいところだと思います。信用情報機関が公表している登録期間をもとに整理します。銀行の審査で参照されるのは、主にCIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3機関です。

信用情報機関ごとの登録期間

  • CIC:クレジット情報は「契約期間中および契約終了後5年以内」。異動(延滞・保証履行・破産)の記録もここに含まれます。
  • JICC:2019年10月1日以降の契約について、債務整理・破産申立は「契約継続中および契約終了後5年以内」。
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター):官報に掲載される破産・民事再生の情報について、2022年11月4日から登録期間が10年から7年へ短縮されました。

手続きごとの現実的な目安

  • 任意整理:和解した返済(通常3〜5年)が終わり、完済から約5年。返済期間を含めると、着手から8〜10年ほどかかる計算になります。
  • 個人再生:再生計画に基づく返済(通常3年)の完了から約5年。加えて官報情報がKSCに手続開始決定から7年残ります。
  • 自己破産:免責許可の確定から約5年。官報情報はKSCに7年。銀行の審査ではKSCが参照されるため、銀行に限っては7年を見ておくのが安全です。

「5年経てば自動的に借りられる」と断言はできません。登録が消えても、銀行や保証会社は自社の取引履歴(社内情報)を独自に保有しており、過去に整理した先とは長期にわたって取引できないことがあります。整理した債権者と同じグループの銀行は、期間が過ぎても避けるのが現実的です。

「債務整理中でも借りれた」という体験談の正体

掲示板やQ&Aサイトには「任意整理中だけど銀行で通った」という書き込みが確かにあります。筆者もかつて、同じ言葉に何時間もすがった経験があります。ただ、内訳を丁寧に見ていくと、ほとんどが次のいずれかです。

ケース1:整理の対象から外した金融機関の「既存契約」だった

任意整理は、対象にする債権者を選べる手続きです。給与振込口座や住宅ローンのある銀行を対象から外すことはよくあります。その銀行の既存のカードローン枠がそのまま残っていて「借りられた」というだけで、新規契約ではないケースです。

ケース2:すでに登録期間が過ぎていた

「債務整理中」と書いていても、実際には完済から5年以上が経過し、記録が消えていたという場合です。書き手の時系列が曖昧なまま拡散していることは珍しくありません。

ケース3:そもそも正規の貸し手ではなかった

「銀行系」「銀行と提携」と名乗りながら、実態は貸金業登録のない相手というケースです。信用情報を照会しないのは、審査が甘いからではなく照会できる立場にないからです。ここに手を出すと、法外な金利、個人情報の悪用、家族や勤務先への連絡といった被害に直結します。相手の登録の有無は、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認できます。

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【重要】債務整理中に借りると、手続きそのものが壊れる

ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。仮に借りられたとしても、代償が大きすぎます。

任意整理中の場合:和解が壊れ、代理人が辞任することがある

任意整理は、弁護士・司法書士が代理人となって債権者と個別に返済条件を交渉する私的な手続きです。交渉中に新たな借入をすれば、返済能力の前提が崩れ、まとまりかけた和解が白紙に戻ることがあります。また、代理人に無断で借入を重ねれば信頼関係が損なわれ、辞任されてしまう例もあります。辞任されれば督促は再開し、状況は手続き前より悪化します。

自己破産の場合:免責不許可事由になり得る

自己破産では、支払不能の状態であることを隠して借入や信用取引を行った場合、破産法が定める免責不許可事由に当たる可能性があります。免責が認められなければ、借金は一切減りません。手続きの費用と時間だけを失う、最も避けたい結末です。

個人再生の場合:再生計画の認可に影響する

個人再生でも、申立ての直前に借入を増やす行為は、裁判所や再生委員から不誠実と評価されかねません。債権額が変わることで計画の組み直しが必要になり、手続きが長引くこともあります。

「バレなければ大丈夫」ではありません。債権者は信用情報を通じて他社の動きを把握できますし、破産・再生では通帳の入出金を細かく確認されます。手続き中にお金が足りなくなったら、隠さずに担当の弁護士・司法書士へ相談してください。返済額の調整や支払い時期の交渉など、打てる手は残っています。

今すぐお金が必要なとき、銀行より先に当たるべき窓口

借入以外の選択肢を、優先度の高い順に並べます。

1. 社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」

市区町村の社会福祉協議会が窓口となる、低利または無利子の公的な貸付制度です。緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった世帯向けの緊急小口資金、失業や減収で生活費が不足する世帯向けの総合支援資金などがあります。社会福祉協議会は指定信用情報機関に加盟していないため、いわゆるブラックであることを理由に門前払いされる制度ではありません。ただし償還(返済)の見込みや世帯の状況は確認されますので、まずは相談から始めてください。

2. 自治体の生活困窮者自立支援制度

自立相談支援機関で、家計の立て直しや就労の相談に無料で応じてもらえます。家賃が払えない場合の住居確保給付金(返済不要の給付)につながることもあります。

3. 支払いを「止める・待ってもらう」交渉

新たに借りるより、出ていくお金を止めるほうが確実です。公共料金や税・社会保険料は、窓口に相談すれば分割や納付猶予に応じてもらえる場合があります。家賃も、放置するより早めに管理会社へ事情を伝えたほうが選択肢が残ります。

4. 生活保護

資産や収入が最低生活費を下回る場合の、最後のセーフティネットです。恥ずべきことではなく、憲法で保障された権利です。福祉事務所へ相談してください。

やってはいけない選択
  • SNS・掲示板の個人間融資:無登録営業のヤミ金や前払い金詐欺の入口です。
  • 給与ファクタリング:給与の買取を装った実質的な貸付で、無登録なら違法です。
  • 後払い・クレジットカードの現金化:規約違反で一括請求の対象になり、債務整理中は特に致命的です。

いずれも「今日をしのぐ」代わりに、翌月以降の首を確実に絞めます。

5年後に「銀行で借りられる自分」になるための回復ステップ

登録期間が過ぎるのを待つだけでは、審査に通る状態にはなりません。期間中にできる準備があります。

  • 和解した返済・再生計画を一度も遅れずに完了させる:これが最大の信用回復です。
  • 給与振込や公共料金の引き落としを1つの銀行にまとめる:取引実績は将来の審査で見られます。
  • デビットカード・プリペイドを使う:信用情報を使わずにキャッシュレス決済を続けられます。
  • 期間経過後に自分の信用情報を開示する:CIC・JICC・KSCはいずれも本人開示に対応しています。記録が消えたことを確認してから申し込めば、無駄な申込履歴を残さずに済みます。
  • 整理した債権者と同じグループは避ける:社内情報は登録期間とは別に残ります。

筆者の経験でも、回復の実感が最初に来たのは「借りられたとき」ではなく、毎月の返済が予定どおり終わった月でした。順番を守れば、状況は必ず動きます。

返済そのものが苦しいなら、手続きの見直しを相談する

「債務整理中なのにお金が足りない」という状態が続いているなら、それは追加の借入ではなく、今の返済計画が生活実態に合っていないサインかもしれません。任意整理の和解内容を組み直す、個人再生や自己破産へ切り替えるなど、選び直せる余地は残っています。多くの法律事務所が借金の無料相談を受け付けており、受任通知が出れば督促は止まります。

まとめ

  1. 債務整理中に新規で貸してくれる銀行は、現実には存在しない。保証会社が必ず信用情報を照会するため。
  2. 銀行カードローンは業界全体で審査が厳格化され、即日融資は事実上なくなっている。
  3. 目安は完済・免責から約5年。自己破産・個人再生の官報情報はKSCに7年残るため、銀行は7年を見ておくのが安全。
  4. 「借りれた」体験談の多くは、対象外にした既存契約か、期間経過後か、正規の貸し手でないかのいずれか。
  5. 手続き中の借入は、和解の破棄・代理人の辞任・免責不許可事由につながり得る。
  6. 足りないときは、社会福祉協議会の生活福祉資金や自治体の支援制度が先。まず担当の専門家に相談する。
  7. 返済自体が苦しいなら、手続きの見直しを含めて無料相談で相談する。

いま検索している時間は、決して無駄ではありません。「借りられる銀行を探す」から「借りずに立て直す」へ切り替えた瞬間から、状況は改善に向かいます。

よくある質問(債務整理中でも借りれる銀行)

債務整理中でも借りれる銀行は本当にありませんか?

新規契約に応じる銀行は現実にはありません。銀行カードローンは保証会社の保証が前提で、その保証会社が指定信用情報機関に照会するため、債務整理の記録は必ず把握されます。「銀行系で審査が甘い」とうたう相手は、貸金業登録のない業者である可能性が高く、利用は避けてください。

任意整理中でも、対象外にした銀行なら借りられますか?

すでにある枠を使えることはありますが、おすすめしません。返済能力の前提が崩れて和解交渉が破綻したり、代理人が辞任したりする恐れがあります。必要が生じたら、必ず先に担当の弁護士・司法書士へ相談してください。

債務整理の記録は何年で消えますか?

CICは「契約期間中および契約終了後5年以内」、JICCは2019年10月1日以降の契約について「契約継続中および契約終了後5年以内」と公表しています。自己破産・個人再生の官報情報は、全国銀行個人信用情報センターで2022年11月4日以降は7年です。実際の削除予定日は、各機関の本人開示で確認できます。

債務整理中に借入したことがバレるとどうなりますか?

任意整理では和解が白紙に戻ったり代理人が辞任したりすることがあります。自己破産では、支払不能を隠しての借入は免責不許可事由に当たり得て、借金が一切減らない結果になりかねません。隠さず担当者へ相談するのが最善です。

債務整理中にどうしてもお金が必要です。どうすればいいですか?

まず市区町村の社会福祉協議会に生活福祉資金貸付制度を相談してください。緊急小口資金や総合支援資金は低利または無利子で、信用情報機関への照会を前提とした審査ではありません。並行して、担当の弁護士・司法書士に返済額の調整を相談することをおすすめします。

出典

更新履歴

  • 2026年7月25日:全面改稿。信用情報機関の登録期間を各機関の公表内容に基づき更新(KSCの官報情報7年を反映)、債務整理中の借入が手続きに与える影響を追記、公的支援制度と出典を明記しました。
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