ディスプレイ広告のプレースメント管理|配信面の見方と除外の判断基準
ディスプレイ広告の配信面(プレースメント)レポートの見方、除外を判断する基準、ブランドセーフティの考え方、アプリ面と誤タップの扱い、除外しすぎによる配信縮小のリスクまで、実務の手順に沿って解説します。
ディスプレイ広告の配信面レポートを初めて開くと、見たこともないサイトやアプリの名前が何百行も並んでいて、面食らうことがあります。自社の広告がどこに出ているのかを配信後に初めて知るのは、ディスプレイ広告ならではです。
どこに出たかを後から確認し、必要に応じて調整する作業がプレースメント管理です。放置すれば無駄な配信が積み上がり、やりすぎれば配信そのものが細ります。この記事では、その間でどう判断するかを整理します。
レポートの名称や除外設定の方法は媒体ごとに異なり、変更もあります。具体的な操作は公式ヘルプで確認してください。
配信面レポートの見方
配信面レポートには、広告が表示されたサイト、アプリ、動画チャンネルなどが、表示回数やクリック数、費用、コンバージョンとともに並びます。全行を眺めても判断できないので、見る順番を決めておきます。
- 期間を十分に取る。1日や数日の単位では、1面あたりのデータが少なすぎます。まずは数週間から1か月程度の期間で見ます。
- 費用の大きい順に並べる。影響の大きいところから確認します。上位の数十面で費用の大半を占めていることが多いです。
- 費用が大きいのに成果がない面を拾う。後述する基準に照らして、除外候補にします。
- クリック率が極端に高い面を拾う。ディスプレイ広告でクリック率が不自然に高い面は、誤タップが多い可能性があります。
- 面の中身を実際に見に行く。数値だけで決めず、サイトやアプリを開いて、どんなコンテンツのどの位置に広告が出るのかを確認します。
- 成果の良い面も記録する。除外だけでなく、成果の出ている面の傾向(ジャンル、読者層)を把握すると、クリエイティブやターゲティングの改善に使えます。
なお、自動化の進んだキャンペーンタイプでは、配信面の開示範囲や除外の方法が異なることがあります。最初に確認しておきましょう。
FIG.配信面レポートを見る手順
- 期間を十分に取る
- 費用の大きい順に並べる
- 費用が大きいのに成果がない面を拾う
- クリック率が極端に高い面を拾う
- 面の中身を実際に見に行く
- 成果の良い面も記録する
除外の判断基準
除外は「成果の観点」と「掲載先の適切さの観点」の2軸で考えます。成果の観点では、感覚ではなく基準を先に決めておくことが大切です。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 目標獲得単価の数倍の費用を使って成果ゼロ | 除外候補 | 偶然では説明しにくい水準まで費用が貯まっている |
| 費用は少額で成果ゼロ | 保留 | データ不足。ここで除外するとほぼすべての面が対象になってしまう |
| クリック率が突出して高く、遷移後すぐ離脱している | 除外候補 | 誤タップや意図しないクリックの可能性が高い |
| 獲得単価は目標より高いが、成果は出ている | 保留または入札・予算側で調整 | 除外すると獲得数が減る。全体の採算で判断する |
| 内容が自社ブランドにふさわしくない | 成果にかかわらず除外 | ブランドセーフティの観点 |
計算例を挙げます。仮に目標獲得単価が5,000円だとして、ある面で15,000円を使ってコンバージョンがゼロなら、目標の3倍を使っても1件も取れていないことになり、除外を検討する水準です。一方、800円でゼロの面は、まだ何も言えません。「目標獲得単価の何倍で判断するか」はチームで決めておくと、担当者による判断のぶれを防げます。
ディスプレイ広告は、直接のコンバージョンだけでなく、後日の検索や再訪を経て成果につながる面もあります。認知目的の配信では、直接の獲得単価だけで面を切ると、役割を果たしている面まで落としてしまう点に注意が必要です。
ブランドセーフティの考え方
ブランドセーフティとは、自社の広告が不適切なコンテンツの隣に表示されることで、ブランドの印象が損なわれるのを防ぐ取り組みです。成果の良し悪しとは別の軸で管理します。
対応は2段階です。1つ目は配信前の予防策で、多くの媒体にはセンシティブなコンテンツのカテゴリを除外する設定が用意されています。2つ目は配信後の点検で、配信面レポートを定期的に確認し、ふさわしくない面を個別に除外します。
何を「ふさわしくない」とするかは、企業や商材によって違います。次のような項目について、あらかじめ社内やクライアントと方針を決めておくと、判断が速くなります。
- 事件・事故・災害などを扱うニュースへの掲載を許容するか
- 成人向け、ギャンブル、過激な表現を含むコンテンツへの対応
- 著作権侵害が疑われるサイトや、内容の薄いまとめサイトへの対応
- 子ども向けコンテンツへの掲載をどう扱うか
- 競合他社や、自社と利害関係のあるメディアへの掲載の可否
アプリ面と誤タップの考え方
スマートフォンアプリ内の広告枠は、表示回数が多く単価も安く出やすい一方で、誤タップが起きやすい面が含まれます。ゲームの操作ボタンの近くに広告がある、画面遷移の瞬間に広告が差し込まれる、といった配置では、ユーザーにその気がなくてもクリックが発生します。
誤タップが多い面には、数値上の特徴があります。
- クリック率がほかの面と比べて突出して高い
- 遷移後の滞在時間が極端に短く、直帰がほとんどを占める
- クリック数は多いのに、コンバージョンがまったく発生しない
ただし「アプリ面はすべて悪い」と決めつけるのは早計です。ニュースアプリや、自社の顧客層と重なる利用者の多いアプリでは、しっかり成果が出ることもあります。アプリ面を一括で除外するかどうかは、商材と実績で決めます。まずはカテゴリ単位や個別のアプリ単位で成果を確認し、明らかに質の低いところから除外していくのが堅実です。
除外しすぎのリスク
除外は、やればやるほど良くなる作業ではありません。除外を重ねることで生じる問題も把握しておきます。
まず、配信量が減ります。配信先が狭まると、配信システムが成果の出やすい相手を探す余地が小さくなり、表示単価が上がったり、獲得数が落ちたりします。次に、少ないデータでの除外は、将来成果が出たかもしれない面を先に潰すことになります。さらに、除外リストが膨らむと、なぜ除外したのかが分からなくなります。
これを避けるために、除外した日付と理由(成果基準か、ブランドセーフティか、誤タップか)を記録しておくことをおすすめします。また、除外の点検は月に1〜2回など頻度を決め、毎日のように面を削る運用は避けます。除外で改善できる幅には限りがあり、成果を大きく動かすのは多くの場合、クリエイティブと遷移先の改善です。
まとめ
プレースメント管理は、費用の大きい面から順に確認し、事前に決めた基準で除外を判断し、理由を記録するという地道な作業です。成果の軸とブランドセーフティの軸を分けて考えると、判断が整理されます。
アプリ面や誤タップは数値の特徴から見分けられますが、一括で切り捨てる前に実績を確認してください。そして、除外は配信を狭める行為でもあります。明らかな無駄と不適切な掲載先を取り除いたら、それ以上は削り込まず、配信システムが学習できる広さを残しておく。このバランス感覚が、プレースメント管理でいちばん大切な点です。
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