AIエージェント

AIに社内データを渡す前に|広告担当者のための情報管理の基本

広告の仕事でAIエージェントに社内のデータを渡す前に確かめたいことを、発注する側の担当者向けに整理しました。手元の情報の分け方、個人情報と取引先の情報の扱い、利用規約と設定で見る点、社内ルールにする手順をまとめています。

No.472026.10.06 公開読了目安 5分8A GARAGE 編集部

広告の担当者の手元には、意外と多くの種類の情報が集まります。問い合わせをくれたお客様の連絡先、売上や粗利の数字、広告の管理画面の成果、取引先から預かった資料、まだ発表していない新商品の情報などです。AIエージェントを使うと、こうした情報をまとめて読ませ、集計や下書きを任せられるようになります。

便利になる一方で、渡した情報がどこに保存され、誰の目に触れる可能性があるのかを考えずに使うと、後から取り返しのつかない問題になることがあります。とくにAIエージェントは、ファイルや外部のサービスにつないで作業を続けて進める仕組みのため、人が1つずつ貼り付けて使う場合より、扱う情報の量も範囲も広がりやすい点に注意が要ります。

この記事では、AIに社内のデータを渡す前に確かめておきたいことを、広告の仕事に引きつけて整理します。法律の細かい解釈ではなく、担当者が日々の判断に使える基本に絞ります。

手元の情報を4つに分けておく

最初にやっておきたいのは、自分が扱っている情報を種類ごとに分けることです。種類が分かれていれば、「これは渡してよいか」をその場で悩まずに済みます。広告の仕事で出てくる情報は、おおよそ次の4つに分けられます。

情報の種類広告の仕事での例扱いの目安
公開済みの情報ホームページの文章、公開中の広告、会社概要入力してよい
社内の数字や資料広告費と成果の推移、売上、粗利、社内の企画書会社で認めたサービスと設定の範囲で入力する
取引先から預かった情報取引先の資料、発売前の商品情報、契約の条件原則として入力しない。必要なら取引先の了解を得る
お客様の個人情報問い合わせの氏名や連絡先、購入者の一覧、顧客リスト入力しない。使うなら個人が分からない形にしてから

この分け方は一例です。自社の情報管理の決まりがすでにある場合は、それに合わせて読み替えてください。大切なのは、迷ったときに「どの種類か」を先に決め、扱いをその種類に合わせることです。

個人情報は「個人が分からない形」にしてから使う

広告の仕事で個人情報が混ざりやすいのは、問い合わせの内容を分析したいときや、購入者の傾向をまとめたいときです。こうした作業では、氏名や連絡先そのものは必要ないことがほとんどです。知りたいのは、地域ごとの件数や、よく聞かれる質問の傾向だからです。

そのため、AIに渡す前に、氏名、電話番号、メールアドレス、住所の番地といった項目を消すか、伏せ字に置き換えます。この処理はマスキングと呼ばれます。さらに、1件ずつの記録ではなく、地域別や月別に集計した数字にしてから渡せば、個人に結びつく心配はかなり小さくなります。

ただし、名前を消しただけでは安心できない場合もあります。小さな町の住所と年代と購入日がそろうと、誰のことか見当がつくことがあるためです。どこまで加工すればよいかの判断や、個人情報に関する法律上の扱いは、社内の担当部署や専門家に確認したうえで決めてください。

取引先の情報と未公開の情報

見落としやすいのが、取引先から預かった情報です。取引先との間で秘密保持契約を結んでいる場合、その資料を社外のサービスに入力してよいかどうかは、契約の内容によって変わります。自社の判断だけで入力してよいとは限りません。

代理店と取引している場合も同じです。代理店から受け取った提案書や運用の資料、代理店に渡した自社の数字は、それぞれ相手との約束のうえでやり取りしている情報です。AIで整理したいときは、使ってよいかを先に相手に確かめておくと、後のトラブルを避けられます。

もうひとつ注意したいのが、自社の未公開の情報です。発売前の商品名、値上げの予定、出店の計画などは、公開前に外へ出ると影響が大きい情報です。公開済みの情報と同じ感覚で扱わないよう、社内の数字や資料と同じか、それ以上に慎重に扱ってください。

利用規約と設定で確かめること

AIのサービスの多くは社外のサーバーで動いており、入力した内容の扱いはサービスや契約の種類、設定によって違います。仕様は変わることがあるため、使い始める前と、契約や規約が変わったときに、次の点を確かめておきます。

  1. 入力した内容が、サービスの改善やAIの学習に使われるかどうか。使われない設定にできるか
  2. 入力した内容や作業の記録が、どのくらいの期間保存されるか。削除できるか
  3. 個人向けと法人向けで、扱いや管理の機能に違いがあるか
  4. 管理する人が、誰がどう使っているかを把握できる仕組みがあるか
  5. AIエージェントがつなぐ先(共有のフォルダや広告の管理画面など)に、どこまでの権限を渡すか

とくに5つ目は、AIエージェントならではの点です。読むだけで足りる作業に、編集や削除までできる権限を渡す必要はありません。作業に必要な範囲だけの権限を渡し、つなぐ先も必要なものだけに絞っておくと、思わぬ操作や情報の広がりを防ぎやすくなります。最終的な判断は、社内の情報管理の担当者にも見てもらってください。

社内ルールにする手順

ここまでの内容を、担当者が迷わず使えるルールにするには、次の順で進めると整理しやすくなります。

  1. 広告の仕事で扱っている情報を書き出し、4つの種類に分ける
  2. 使ってよいサービスと、その設定を決める
  3. 種類ごとに、入力してよいか、どう加工してから使うかを決める
  4. 取引先や代理店との約束で、入力してはいけない情報を確かめる
  5. 間違えて入力してしまったときの連絡先と対応を決める
  6. 規約の変更や使い方の変化に合わせて、定期的に見直す

5つ目は後回しにされがちですが、大切な項目です。間違いを報告しにくい雰囲気があると、問題が見えないまま広がります。報告先がはっきりしていれば、早く手を打てます。

FIG.情報の扱いを社内ルールにする手順

  1. 情報を書き出して分ける4つの種類に
  2. 使うサービスと設定を決める
  3. 種類ごとの扱いを決める入力してよいか、どう加工するか
  4. 約束で入力できない情報を確かめる取引先や代理店との約束
  5. 間違えたときの連絡先を決める
  6. 定期的に見直す規約の変更や使い方の変化に合わせて
情報を種類で分けてから、種類ごとの扱いを決めていきます。

まとめ

AIエージェントにデータを渡す前に必要なのは、難しい技術の知識より、手元の情報を種類で分け、種類ごとの扱いを決めておくことです。公開済みの情報、社内の数字や資料、取引先から預かった情報、お客様の個人情報では、扱い方が大きく違います。

個人情報は、個人が分からない形にしてから使うのが基本です。取引先の情報は、相手との約束を先に確かめます。サービスの利用規約と設定、AIエージェントに渡す権限の範囲も、使い始める前に確認しておきます。

こうした線引きを自社で持っておくと、代理店がAIを使うときに自社のデータをどう扱っているかを聞く場面でも、答えが自社の考えに合うかどうかを判断しやすくなります。

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