運用設計

顕在層と潜在層の配信設計|ファネル別に訴求・LP・指標を変える

顕在層と潜在層では、響く訴求も、見せるべきLPも、評価すべき指標も異なります。ファネルを4つの層に分けて配信設計を整理し、層ごとの訴求・LP・評価指標の変え方と、設計の手順を解説します。

No.05読了目安 5分8A GARAGE 編集部

検索広告で成果の出ていた広告文とLPを、そのままSNS広告に持っていったら、まったく獲得できなかった。これは媒体の問題というより、届けている相手の「温度」が違うことが原因です。

今すぐ欲しい人と、まだ必要性に気づいていない人では、同じ商品でも伝えるべき内容が変わります。この記事では、ユーザーを検討の段階(ファネル)で分け、層ごとに配信・訴求・LP・評価指標をどう変えるかを説明します。

顕在層と潜在層の違いを整理する

顕在層は、自分の課題や欲しいものをすでに自覚し、解決策を探している人です。検索という行動を起こしているのが典型です。潜在層は、課題をまだ自覚していないか、自覚していても解決しようと動いていない人を指します。

顕在層は獲得効率が良い一方で、人数が限られ、競合も集中するためクリック単価が上がりやすい層です。潜在層は人数が多く単価も抑えやすい反面、購入までに距離があります。どちらが優れているという話ではなく、役割が違います。顕在層だけを追い続けるといずれ頭打ちになり、潜在層だけでは目先の獲得が立ちません。

実務ではファネルを4つの層で考える

配信を設計するときは、2分類よりもう少し細かく、4つの層に分けると扱いやすくなります。

ユーザーの状態主な配信手法訴求の中心主な評価指標
潜在層課題に気づいていない、または動いていないSNS広告、ネイティブ広告動画広告気づきと共感視聴や閲覧の質、サイト訪問の単価、手前の行動の件数
準顕在層課題は自覚し、情報を集めはじめた悩みや方法を表す語句の検索広告、興味関心にもとづく配信解決策の提示、選び方資料請求などの件数と単価
顕在層商品カテゴリを比較検討しているカテゴリ名や比較を表す語句の検索広告選ぶ理由、他との違いCPACVR
明確層自社を知っており、決める直前指名検索、リマーケティング背中を押す情報、不安の解消CPA、取りこぼしの少なさ

層の呼び方や区切り方に決まりはありません。大切なのは、自社の商材で「それぞれの層の人が、どんな言葉で検索し、どんな状態にあるか」を具体的に書き出すことです。

FIG.ファネルを4つの層で考える

  1. 潜在層課題に気づいていない、または動いていない
  2. 準顕在層課題は自覚し、情報を集めはじめた
  3. 顕在層商品カテゴリを比較検討している
  4. 明確層自社を知っており、決める直前
下の層ほど人数は少なく、成果には近くなります。

訴求を層ごとに変える

層による訴求の違いを、架空の例で確認します。仮に、家事代行サービスの広告を出すとします。

  • 潜在層:「週末が掃除で終わっていませんか」のように、日常の場面から課題に気づいてもらう。サービス名や料金は前面に出さない
  • 準顕在層:「共働き家庭の家事の減らし方」のように、解決策のひとつとして家事代行を位置づける
  • 顕在層:料金体系、対応エリア、スタッフの体制など、比較の判断材料を端的に示す
  • 明確層:初回の申し込み方法や、よくある不安への回答など、最後の一歩を助ける情報を出す

潜在層に料金や機能を並べても、そもそも必要性を感じていないので読まれません。逆に顕在層に対して悩みへの共感から長々と始めると、早く比較材料が欲しい相手を待たせることになります。「相手がいま知りたいこと」から逆算するのが訴求設計の基本です。

なお、どの層に向けた広告でも、効果や実績を誇張する表現は景品表示法などの観点で問題になることがあります。業種によっては薬機法など個別の規制も関わります。表現の最終判断は、専門家や媒体の審査基準を確認したうえで行ってください。

LPも層ごとに変える

広告の訴求を変えても、遷移先が同じLPでは効果が半減します。広告で「気づき」を与えたのに、LPの冒頭がいきなり料金表では、話がつながりません。

  • 潜在層向け:記事形式や読み物型のLPで、課題の説明 → 原因 → 解決策 → 商品紹介の順に進める。ゴールを購入ではなく、資料請求や無料体験、診断など手前の行動に置くことも検討する
  • 顕在層向け:冒頭で「何のサービスで、誰向けで、何が違うか」が分かる構成にする。料金、事例の見せ方、申し込みの流れなど、比較に必要な情報にすぐたどり着けるようにする
  • 明確層向け:迷わせない。申し込みフォームまでの距離を短くし、よくある質問で不安を解消する

LPを複数用意する余力がない場合は、まず顕在層向けのLPを整え、次に潜在層向けの記事型ページを1本追加する、という順番が現実的です。

評価指標を層で変える

層別の設計でもっとも見落とされやすいのが、評価の基準です。すべての配信を同じ目標CPAで評価すると、潜在層向けの配信は見劣りしやすく、「効率が悪い」という理由で止められます。その結果、顕在層向けの配信だけが残り、数か月後に獲得件数が頭打ちになる、という流れはよく起こります。

対策として、次の3点を決めておきます。

  1. 層ごとに目標CPAを分ける:潜在層向けは、顕在層向けより高いCPAを許容する。どこまで許容するかは、全体の平均CPAが目標に収まる範囲で決める
  2. 潜在層には手前の指標を置く:直接の獲得だけでなく、資料請求、LPの読了、サイトへの再訪など、次の段階に進んだことを示す行動を計測する
  3. 全体への影響を確認する:潜在層向けの配信を始めた、または止めた前後で、指名検索の量や、全体の獲得件数がどう変わったかを見る

3点目について、広告の管理画面に表示される数字は、基本的に「最後に接触した広告」に成果が寄りやすい仕組みです。潜在層向けの広告で知り、後日、指名検索から申し込んだ場合、成果は指名検索に計上されます。個別の配信のCPAだけでなく、全体の数字の変化で判断する視点が必要です。

層別の配信設計を進める手順

  1. 自社の商材で、4つの層それぞれのユーザーの状態と、使いそうな検索語句を書き出す
  2. 現在の配信がどの層に向いているかを分類し、偏りを確認する
  3. 顕在層・明確層に取りこぼしがないかを先に確認し、あれば埋める
  4. 潜在層向けの訴求とLPを用意し、検証用の予算で小さく始める
  5. 層ごとの目標値と、判断する時期を決めてから配信する

まとめ

顕在層と潜在層では、届ける手段だけでなく、訴求、LP、評価指標のすべてを変える必要があります。顕在層には比較の材料を、潜在層には気づきと理解のプロセスを用意します。

そして、潜在層向けの配信を顕在層と同じ物差しで測らないこと。層ごとに役割と目標を分けて設計しておけば、短期の獲得と中長期の伸びしろを両立させやすくなります。

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