代理店のレポートはどこを見ればよいか|発注側の担当者のための読み方
広告運用を任せている代理店から届く月次レポートの読み方を、発注する側の担当者向けに整理しました。成果指標と中間指標の見分け方、前月比だけで判断しないための注意点、次の打ち手が書かれているかの確かめ方と、毎月読む手順をまとめています。
広告運用を代行に任せると、多くの場合、月に1回ほどレポートが届きます。表やグラフが何ページも並び、見慣れない略語も多いため、「よく分からないまま受け取って終わる」という声は少なくありません。
ただ、レポートは代理店の仕事ぶりを確かめられる、ほとんど唯一の資料です。発注する側が読み方を知っていれば、任せている運用がうまく進んでいるのか、どこに相談すべき点があるのかを、自分の言葉で判断できるようになります。
この記事では、運用のプロでない担当者が、限られた時間でレポートのどこを見ればよいかを整理します。細かな数字の計算方法ではなく、読むときの順番と、確かめたい点に絞ります。
最初に見るのは「成果の数字」と「使った費用」
レポートを開いたら、まず探したいのは、自社が決めた成果の数字と、そのために使った広告費です。成果とは、問い合わせ、資料請求、購入、来店予約など、広告を出す目的そのものです。
レポートに並ぶ数字は、大きく「成果指標」と「中間指標」に分けられます。成果指標は、事業の結果に近い数字です。中間指標は、成果に至るまでの途中の様子を表す数字です。代表的なものを表にまとめます。
| 分類 | 指標の例 | 意味 | 担当者の見方 |
|---|---|---|---|
| 成果指標 | 成果の件数 | 問い合わせや購入などの数 | 目標に届いているか |
| 成果指標 | 獲得単価(CPA) | 成果1件あたりにかかった広告費 | 利益が出る上限より下か |
| 成果指標 | 広告費用対効果(ROAS) | 広告費に対する売上の割合 | 通販など売上で測る場合に見る |
| 中間指標 | 表示回数 | 広告が表示された回数 | 成果が動いた理由を探すときに見る |
| 中間指標 | クリック率(CTR) | 表示された広告がクリックされた割合 | 広告の内容が響いているかの手がかり |
| 中間指標 | 成約率(CVR) | クリックした人が成果に至った割合 | ページや受け皿の手がかり |
成果の件数と獲得単価が目標どおりなら、まずは大きな問題は起きていないと見てよい状態です。逆に、ここが目標から外れているときに、中間指標を使って理由を探していきます。レポートの冒頭に成果指標がまとまっていない場合は、次回から最初のページに置いてもらうよう頼むと読みやすくなります。
中間指標は「なぜ」を探すための数字
中間指標は、それ自体を良くすることが目的ではありません。クリック率が上がっても、成果につながらない人ばかりが集まれば、広告費が増えるだけです。
たとえば、成果の件数が減った月に、クリック率は変わらず成約率だけが下がっていたとします。この場合、広告よりも、広告の先にあるページや、問い合わせの受け方に原因がある可能性が考えられます。反対に、表示回数が大きく減っていれば、配信の量そのものが落ちていることになります。
担当者がこうした見立てを自分でできなくても構いません。大切なのは、成果が動いたときに「中間指標のどこが動いたのか」を代理店に聞けることです。その答えに筋が通っているかどうかが、運用を任せる相手を見るうえでの材料になります。
前月比だけで判断しない
レポートでよく目にするのが、前月と比べた増減です。分かりやすい反面、前月比だけで良し悪しを決めると判断を誤ることがあります。主な理由は次のとおりです。
- 季節の影響:需要の多い月と少ない月を比べると、運用とは関係なく数字が動きます。北海道のように季節で売れ方が変わる商材では特に大きく出ます。
- 日数や連休の違い:月の日数や、連休・年末年始の有無で、成果の件数は変わります。
- 予算や設定の変更:広告費を増やした月は、件数が増えても獲得単価が上がっていることがあります。
- 件数が少ないときのブレ:仮に前月の成果が5件、今月が8件だとすると、6割増えたように見えますが、偶然の範囲かもしれません。
- 計測の変更:成果を数える仕組みを変えた月は、数字の連続性が途切れます。
前月比に加えて、前年の同じ月との比較や、数か月分の推移を並べてもらうと、一時的な上下と本当の変化を分けて見やすくなります。また、その月に行った変更の記録が添えてあれば、数字の動きと理由を結びつけて読めます。
次の打ち手が書いてあるか
良いレポートは、数字を並べるだけで終わりません。何が起きたかという事実、それをどう解釈したか、来月は何をするかという次の打ち手の3つがそろっています。
次の打ち手が書かれていないと、発注する側は「今月はこうでした」という報告を受け取るだけになります。書かれていても、「引き続き改善します」のように中身が分からない表現だけでは、翌月に振り返ることができません。何を、いつまでに、どう変えるのか、そしてそれを何の数字で確かめるのかが書かれているかを見てください。
もう1つ確かめたいのは、前月に書かれていた打ち手がどうなったかです。実行したのか、結果はどうだったのか、やめたならなぜか。この振り返りが続いているレポートは、運用が検証の積み重ねとして進んでいることを示しています。
毎月のレポートを読む手順
限られた時間で読むために、毎月同じ順番で確かめることをおすすめします。
- 成果の件数と獲得単価が、目標と比べてどうだったかを確かめる。
- 使った広告費が予定の範囲に収まっているかを確かめる。
- 成果が大きく動いていれば、中間指標のどこが動いたかを見る。
- 前月比だけでなく、前年の同じ月や数か月の推移と比べる。
- その月に行った変更と、前月の打ち手の結果が書かれているかを見る。
- 来月の打ち手と、それを確かめる数字が書かれているかを見る。
- 分からなかった点を書き出し、定例の打ち合わせで質問する。
7番目の質問は遠慮しなくて構いません。専門用語の意味や、数字が動いた理由を聞かれて、分かる言葉で説明できるかどうかも、依頼先を見る材料になります。
FIG.毎月のレポートを読む手順
- 成果と目標を比べる成果の件数と獲得単価
- 広告費を確かめる予定の範囲に収まっているか
- 中間指標を見る成果が大きく動いたとき
- 推移と比べる前年の同じ月や数か月の推移
- 変更と振り返りを見るその月の変更と前月の打ち手の結果
- 来月の打ち手を見る確かめる数字が書かれているか
- 分からない点を質問する定例の打ち合わせで
まとめ
代理店のレポートは、細かな数字をすべて理解しなくても、見る順番を決めておけば十分に判断の材料になります。
- 最初に成果の件数、獲得単価、使った広告費を目標と比べる
- 中間指標は、成果が動いた理由を探すために使う
- 前月比だけでなく、前年の同じ月や推移、その月の変更と合わせて読む
- 事実・解釈・次の打ち手がそろい、前月の打ち手の振り返りがあるかを見る
読み方が決まると、定例の打ち合わせで聞くことも自然に決まり、任せている運用との距離が縮まります。
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