北海道の集客

観光・宿泊業のWeb広告|道外と海外のお客様に届ける設計の考え方

北海道の観光・宿泊業がWeb広告を使うときの考え方を整理しました。検討期間の長さに合わせた広告の役割分担、予約までの導線と計測の確かめ方、道外と海外で配信地域と言語を分ける考え方、任せる前に社内で決めることをまとめています。

No.392026.09.28 公開読了目安 6分8A GARAGE 編集部

観光や宿泊の商売は、お客様の多くが遠くに住んでいるという点で、ほかの業種と事情が違います。広告を見る人は札幌の隣町ではなく、道外の都市や海外にいます。その人たちが旅行を思い立ち、行き先を決め、宿を比べ、予約するまでには、長い時間がかかります。

そのため、近くのお客様を相手にする店舗と同じ考え方で広告を組むと、ずれが生まれやすくなります。この記事では、北海道の観光・宿泊業の担当者が、広告を任せる前に整理しておきたい設計の考え方を説明します。媒体の細かい設定ではなく、「どこに、いつ、何を伝え、どこで予約してもらうか」という判断の材料が中心です。

観光・宿泊の広告が難しくなる3つの理由

1つ目は、お客様が遠くにいることです。広告を出す地域は、自社の所在地ではなく、お客様が暮らしている場所になります。道外の都市や海外の国・地域が相手になるので、配信地域の決め方がそのまま成果を左右します。

2つ目は、検討期間が長いことです。旅行は、思い立ってから予約するまでに日数がかかり、さらに予約から宿泊までにも間があります。広告を見た日に予約が入るとは限らないので、成果の見方にも工夫が要ります。

3つ目は、予約が自社のサイト以外で起きることが多い点です。予約サイト(OTA:オンライン旅行会社)や電話で予約されると、広告の効果が自社の管理画面に表れにくくなります。

検討期間の長さに合わせて、広告の役割を分ける

旅行の検討は、いくつかの段階に分かれます。段階ごとにお客様の頭の中にあることが違うので、1つの広告ですべてを受け持とうとせず、役割を分けて考えます。

段階お客様の状態広告の役割見る数字の例
行き先を考えるどこへ行くか、まだ決めていない地域や季節の魅力を知ってもらう表示回数、動画の視聴
宿を比べる行き先は決まり、泊まる場所を探している自社の宿の特徴を伝え、候補に残るクリック、ページの閲覧
予約する日程が決まり、予約先を選んでいる予約ページへ迷わず案内する予約の件数、予約の金額
出発前・滞在後予約済み、または泊まり終えた次の来訪や紹介につなげる再訪、口コミ

予算が限られているなら、予約に近い段階から手を付けるのが基本です。自社の施設名や地域名と「宿」「ホテル」などを組み合わせた検索に広告を出すと、すでに候補を探している人に届きます。行き先を考える段階への広告は、成果が予約として見えるまでに時間がかかるため、期間を長めに取って評価します。

FIG.旅行の検討の段階と、広告の役割

  1. 行き先を考える地域や季節の魅力を知ってもらう
  2. 宿を比べる自社の宿の特徴を伝え、候補に残る
  3. 予約する予約ページへ迷わず案内する
  4. 出発前・滞在後次の来訪や紹介につなげる
1つの広告ですべてを受け持たず、段階ごとに役割を分けます。

予約までの導線と、成果の測り方を確かめる

広告の成果は、予約がどこで起きるかによって測り方が変わります。自社の予約ページで予約されれば、計測の設定次第で広告の成果として数えられます。一方、予約サイトや電話での予約は、広告経由かどうかが分かりにくくなります。

広告を始める前に、次の手順で導線を確かめておくと、あとで数字の読み違いが減ります。

  1. 予約の経路を書き出す(自社の予約ページ、予約サイト、電話、メールなど)。
  2. それぞれの経路で、どれくらいの予約が入っているかを社内の記録で確かめる。
  3. 広告から案内する先を決める。自社の予約ページに案内するなら、スマートフォンで予約を終えるまでの手順を実際に試す。
  4. 自社の予約ページで、予約の完了を計測できるかを確かめる。外部の予約システムを使っている場合は、計測の対応状況をシステムの提供元に確認する。
  5. 電話予約が多い場合は、広告経由の電話を数える方法があるかを検討する。

予約ページが外部のシステムだと、計測の設定ができる範囲はシステムによって違います。仕様は変わるため、最新の対応は提供元の情報で確認してください。すべてを正確に測れなくても、「どの経路は測れていて、どこは測れていないか」を把握しておけば、数字を見るときに判断を誤りにくくなります。

道外と海外は、配信地域と言語を分けて考える

道外のお客様と海外のお客様は、同じ「遠くのお客様」でも、広告の組み立てが違います。1つの設定にまとめず、分けて考えると結果を比べやすくなります。

道外のお客様

道外向けでは、まずどの地域から来るお客様が多いかを、宿泊者の記録などで確かめます。そのうえで、多い地域から優先して配信します。北海道へのアクセスの便や、休みの取り方によって、地域ごとに予約の時期が違うこともあります。地域別の成果が見えるように設定を分けておくと、予算を寄せる判断がしやすくなります。

海外のお客様

海外向けでは、配信する国・地域と、広告の言語を合わせて決めます。媒体によっては、利用者の言語設定で配信先を絞る仕組みがあります。これを言語ターゲティングと呼びます。国と言語の組み合わせを誤ると、読めない広告が表示されるだけになってしまいます。

広告を外国語にするなら、案内する先のページもその言語で読めることが前提です。予約ページや料金の表示、キャンセルの条件まで外国語で確認できるかを見直してください。機械翻訳だけで作った文は、意味がずれることがあります。可能であれば、その言語が分かる人に確認してもらうと安心です。

また、国や地域によって、旅行を計画する時期や、北海道に期待するものが違うことがあります。雪を目当てにする人もいれば、夏の景色や食を目当てにする人もいます。伝える魅力は、国・地域ごとに変えることを考えます。

代行に任せる前に、社内で決めておくこと

観光・宿泊の広告を代理店に任せる場合でも、次の点は自社にしか決められません。打ち合わせの前に整理しておくと、提案の質が上がります。

  • 優先する市場:道内、道外、海外のどこを優先するか。海外なら、どの国・地域か。
  • 成果とする地点:自社の予約ページでの予約を成果とするのか、問い合わせや電話も含めるのか。
  • 埋めたい時期:空室が出やすい時期と、広告を出さなくても埋まる時期。
  • 受け入れの体制:外国語での問い合わせにどこまで対応できるか。
  • 予算の上限:1件の予約にいくらまでかけられるか。宿泊単価や連泊の多さによって変わります。

たとえば、仮に1泊あたりの利益が1万円で、平均2泊するお客様が多い宿なら、1件の予約にかけられる広告費の上限は2万円前後が目安になります。この計算を社内で持っておくと、代理店からの報告を見て「続けるか、止めるか」を判断しやすくなります。

まとめ

観光・宿泊業のWeb広告は、お客様が遠くにいて、検討期間が長く、予約が自社の外で起きやすいという前提で設計します。検討の段階ごとに広告の役割を分け、予算が限られるなら予約に近い段階から始めます。

広告を始める前には、予約の経路と計測できる範囲を確かめてください。道外と海外は分けて考え、海外では国・地域と言語、案内先のページの言語をそろえます。優先する市場、成果の地点、埋めたい時期、受け入れの体制、予算の上限は、任せる前に自社で決めておきたい項目です。

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