一次産業・食品メーカーの直販を伸ばすWeb広告|強みの伝え方・定期購入・ギフト
農業・漁業・食品メーカーが自社の直販をWeb広告で伸ばすときの考え方を整理しました。卸との違い、生産者の強みを事実で伝える方法、旬と収穫量に合わせた配信、定期購入とギフトの設計、始める前に決める手順をまとめています。
農業や漁業を営む会社、地元の素材で加工品を作る食品メーカーの中には、卸や委託販売に加えて、自社の通販でお客様に直接売る「直販」を伸ばしたいと考える会社が増えています。価格を自分たちで決められ、買ってくれた人と直接つながれることが、直販の大きな魅力です。
一方で、直販は売り場も集客もすべて自社で用意する売り方です。Web広告はその集客を担う手段の1つですが、作物や漁獲の量が天候で変わる、売れる時期が短い、といった一次産業ならではの事情を踏まえないと、広告費をかけても注文を受けきれない、あるいは売る物がない時期に広告だけが動く、ということが起こります。
この記事では、一次産業や食品メーカーが直販をWeb広告で伸ばすときに、発注する側の担当者が押さえておきたい考え方を整理します。送料を含めた利益の計算は別の記事で扱っているため、ここでは「何をどう伝えるか」と「旬・定期購入・ギフトの設計」を中心に書きます。
直販と卸では、広告に求められる役割が違う
卸や委託販売では、売り場と集客は取引先が担い、自社は作ることに集中できます。直販では、その役割を自社で引き受けることになります。違いを表にまとめます。
| 比べる点 | 卸・委託販売 | 自社の直販 |
|---|---|---|
| 価格 | 取引先との交渉で決まる | 自社で決められる |
| お客様とのつながり | 誰が買ったか分かりにくい | 購入者に直接案内を届けられる |
| 集客 | 取引先の売り場が担う | 広告や発信を自社で用意する |
| 受注と発送 | まとめて出荷する | 1件ずつ箱詰めし、問い合わせにも答える |
| 量の調整 | 取引先と相談して決める | 広告の出し方で注文の量が変わる |
直販の広告は、商品を知ってもらうだけでなく、注文の量を調整する役割も持ちます。そのため、広告費をいくら使うかは、売上の目標だけでなく、箱詰めや発送を何件まで受けられるかと合わせて決める必要があります。
生産者の強みは「事実」で伝える
直販の広告で伝えたいのは、作り手の顔が見えることや、育て方・作り方へのこだわりです。ただ、「こだわりの」「厳選した」といった言葉だけでは、どの生産者も同じように見えてしまいます。強みは、確かめられる事実に置き換えて伝えるほうが届きやすくなります。
集めておきたい材料は、次のようなものです。
- 育て方や作り方:手間をかけている工程と、その工程を選んでいる理由
- 時期:収穫や水揚げ、仕込みの時期と、食べごろ
- 人:誰が作っているか、作り手が大事にしていること
- 届け方:収穫から発送までの流れ、届いたときの状態
- 食べ方:おすすめの食べ方や、届いてから保存する方法
代理店に任せる場合も、広告の文章を作る前に、現場の担当者から話を聞く時間を取ると、伝え方の幅が広がります。
なお、産地の表示や、味・栄養・健康に関わる表現には決まりがあります。「北海道産」などの表示は事実と合っているかを確かめ、効果をうたう表現は避けます。判断に迷うものは、専門家や媒体の審査基準で確認してください。
旬と収穫量に合わせて広告を動かす
一次産業の商品は、売れる量が畑や海の状態で決まります。広告を出し続ければ注文が増える、という工業製品と同じ考え方は当てはまりません。広告は、売れる物がある時期に、売れる量に合わせて動かすのが基本です。
そのために、次の3つの時期を分けて考えます。
- 収穫や仕込みの前:予約を受け付ける時期。届く時期と、天候で前後する可能性を案内する
- 出荷の時期:広告を本格的に動かす時期。受けられる量に近づいたら予算を下げる
- 品切れの後:広告を止める、または次の時期の予約や加工品の案内に切り替える
品切れになっても広告が出続けると、広告費が無駄になるだけでなく、ページを開いた人を落胆させてしまいます。誰が在庫を見て、いつ広告を止めるかを、出荷の担当と広告の担当の間で決めておくことが大切です。また、「残りわずか」のような表示は、実際の在庫と合っている場合にだけ使います。
天候による不作や遅れは避けられません。予約の段階で、届く時期が前後することや、量が足りないときの対応を先に案内しておくと、問い合わせへの対応も落ち着いて進められます。
定期購入とギフトは、届く体験から設計する
定期購入
直販を安定させる方法として、定期購入があります。季節ごとに異なる品を届ける形もあり、旬が移り変わる一次産業の商品と相性のよい売り方です。
ただし、広告で申し込みを増やす前に、届く体験を設計しておくことが先です。何が、いつ、どれくらい届くのか、届け日の変更や休止、解約をどうすればできるのかを、申し込む前に分かるように示します。定期購入の表示や解約の条件には法律上の決まりがあるため、一般的な考え方として知っておき、最終的な判断は専門家や公式の情報で確認してください。
成果を見るときは、申し込みの件数だけでなく、何回目まで続いているか(継続率)も合わせて見ます。申し込みは多いのにすぐ解約される場合は、広告の伝え方と、実際に届く内容がずれている可能性があります。
ギフト
一次産業の商品は贈り物としても選ばれます。ギフトの広告では、贈る人が知りたいこと(届け日の指定、包装、のし、日持ち)をはっきり示すことが基本です。
もう1つ考えておきたいのが、受け取った人です。贈り物で初めて商品を食べた人が、次に自分で注文するきっかけを用意しておくと、ギフトが新しいお客様との出会いにもなります。同梱する案内の内容や、受け取った人の情報の扱いは、個人情報の扱いの決まりに沿って社内で決めておきます。
直販の広告を始める前に決める手順
ここまでの内容を、始めるまでの順番に並べます。代理店に任せる場合も、1から4は自社でしか決められない内容です。
- 1年の出荷の時期と、時期ごとに受けられる注文の量を書き出す。
- 強みの材料を集める。育て方や作り方、時期、人、届け方、食べ方を現場から聞き取る。
- 品切れのときの動き方を決める。在庫を見る人と、広告を止める人を決めておく。
- 定期購入やギフトを扱うかを決め、届く内容と変更・解約の方法を整える。
- 成果を測れる状態にする。注文の件数に加え、定期購入の継続や2回目の購入も追えるようにする。
- 出荷の時期に合わせて小さな予算で始め、受けられる量と広告の反応を比べてから広げる。
FIG.直販の広告を始める前に決める手順
- 出荷の時期と量を書き出す時期ごとに受けられる注文の量
- 強みの材料を集める育て方、時期、人、届け方、食べ方
- 品切れのときの動き方を決める在庫を見る人と、広告を止める人
- 定期購入とギフトを整える届く内容と変更・解約の方法
- 成果を測れる状態にする継続や2回目の購入も追う
- 小さな予算で始める受けられる量と反応を比べてから広げる
まとめ
一次産業や食品メーカーの直販では、Web広告は商品を知ってもらう手段であると同時に、注文の量を調整する手段でもあります。広告費は売上の目標だけでなく、出荷できる量と時期に合わせて決めます。
強みは「こだわり」という言葉ではなく、育て方や時期、作り手といった確かめられる事実で伝えます。定期購入とギフトは、申し込みを増やす前に、何がいつ届くか、どう変更や解約ができるかを整えておきます。こうした前提を自社で固めておくと、代理店に任せる場合も、伝える内容と予算の話がかみ合いやすくなります。
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