自動入札の選び方と学習期間の付き合い方|目標値を動かす手順
検索広告の自動入札について、コンバージョン最大化・目標CPA・目標ROASなど目標の種類の選び方を解説します。データが少ないときの対処、学習期間中の過ごし方、変更の頻度、目標値を段階的に動かす手順をまとめました。
自動入札に切り替えた翌週、獲得単価が跳ね上がって慌てて手動に戻した。そんな経験を持つ担当者は少なくありません。ただ、多くの場合、問題は自動入札そのものではなく、目標の選び方と、切り替えた後の待ち方にあります。
自動入札は、何を目標として与えるか、判断材料となるデータが足りているかによって、結果が大きく変わります。ここでは、目標の選び方から、学習期間の過ごし方、目標値の動かし方までを順に説明します。
自動入札が何をしているかを理解する
自動入札は、設定した目標に向けて媒体が入札単価を調整する仕組みです。過去のコンバージョンのデータをもとに、「この検索、この時間帯、この端末、このユーザーの状況なら、コンバージョンの見込みはどのくらいか」を予測し、見込みに応じて入札を強めたり弱めたりします。この判断はオークション1回ごとに行われます。
ここから分かるのは、自動入札の精度は学習材料であるコンバージョンのデータの質と量で決まる、ということです。計測が漏れていたり、二重に計上されていたり、事業の成果と関係の薄い地点をコンバージョンにしていたりすると、媒体は誤った正解に向かって最適化を進めます。入札戦略を選ぶ前に、計測が正しいかを確認することが最初の作業です。
目標の種類と選び方
入札戦略の名称や提供形態は媒体や時期によって変わりますが、考え方は大きく次のように整理できます。執筆時点の名称をもとにしているため、実際の設定時は公式ヘルプで確認してください。
| 目標の種類 | 媒体への指示 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| コンバージョン数の最大化 | 予算内でコンバージョンを最も多く集める | 予算が限られていて、まず件数を確保したいとき | 予算を使い切る方向に動く。獲得単価の上限は保証されない |
| 目標CPA(目標コンバージョン単価) | 平均の獲得単価が目標に近づくように集める | 1件あたりの価値がおおむね一定で、許容できる単価が決まっているとき | 目標が厳しすぎると配信量が減る |
| コンバージョン値の最大化 | 予算内でコンバージョンの価値の合計を最大にする | 商品によって売上が大きく異なるとき | コンバージョンごとの価値を正しく計測している必要がある |
| 目標ROAS(目標広告費用対効果) | 費用に対する価値の比率が目標に近づくように集める | 通販など、売上金額を計測でき、件数も多いとき | 必要なデータ量が多い。価値の計測が不正確だと機能しない |
選び方の基準は2つです。一つは、1件のコンバージョンの価値が一定かどうか。問い合わせや資料請求のように価値がおおむね同じなら件数と獲得単価を軸にした目標を、購入金額に幅があるなら価値を軸にした目標を選びます。
もう一つは、制約が予算なのか、採算なのかです。使える金額が決まっていてその中で最大化したいなら最大化の戦略を、採算が合う限り増やしたいなら目標CPAや目標ROASを選びます。後者で予算を絞りすぎると、目標値と予算の両方が制約になり、媒体が動ける余地がなくなります。
データ量が少ないときの対処
コンバージョンの件数が少ないと、予測の材料が足りず、自動入札は安定しません。必要な件数の目安は媒体の公式ヘルプで確認するとして、対処には次の方法があります。
- キャンペーンを統合する。細かく分けたキャンペーンは、それぞれのデータが薄くなります。目標や予算を分ける必要がないものはまとめ、1つのキャンペーンに件数を集めます。
- 手前の地点をコンバージョンに加える。成約が月に数件しかない商材では、問い合わせフォームの送信や見積もり依頼など、成約と相関のある手前の行動を学習の対象にします。ただし、ページ閲覧のように浅すぎる地点を選ぶと、質の低い流入を集める方向に最適化されます。
- 段階を踏む。最初から目標CPAを設定せず、コンバージョン数の最大化で件数を貯め、実績の獲得単価が見えてから目標値を入れます。
- 手動入札を続ける判断もある。件数がごくわずかな間は、キーワードを絞って手動で運用するほうが安定することもあります。
学習期間との付き合い方
入札戦略を新しく設定したり、大きく変更したりすると、媒体が新しい条件での最適な入札を探る期間に入ります。この間は成績が不安定になりやすく、獲得単価が一時的に上がることもあります。
学習期間に入るきっかけになりやすいのは、次のような変更です。
- 入札戦略の種類の変更、目標値の大きな変更
- 予算の大きな増減
- コンバージョン設定の変更(計測する地点の追加・削除など)
- キーワードや広告の大量の入れ替え、キャンペーン構成の変更
この期間にやってはいけないのは、数日の成績を見て設定をまた変えることです。変更のたびに学習がやり直しになり、いつまでも安定しません。変更を加える頻度は、1つ変えたら結果が出るまで待つ、を基本にします。目安として、少なくとも1〜2週間は同じ設定で様子を見て、評価はその後の期間で行います。
評価するときは、コンバージョンまでの日数も考慮します。クリックから申し込みまで数日かかる商材では、直近の数日分は実際より悪く見えます。直近を除いた期間で比較してください。
ただし、計測が止まっている、意図しない検索語句に大量に配信されている、といった明らかな異常は、学習期間中でもすぐに対処します。
目標値の動かし方
目標CPAや目標ROASの値は、理想ではなく実績を起点に設定し、少しずつ動かします。
- 直近の実績を確認する。過去数週間の実際の獲得単価(または費用対効果)を把握します。
- 最初の目標値は実績に近い値にする。例として、仮に実績の獲得単価が8,000円で、理想が5,000円だとします。いきなり5,000円を設定すると、媒体は達成できるオークションが少ないと判断し、配信量が大きく減ります。まずは8,000円前後から始めます。
- 安定を確認する。件数と獲得単価が落ち着くまで、同じ設定で待ちます。
- 小さな幅で動かす。1回の変更は1〜2割程度までを目安にし、8,000円から7,000円へ、というように段階的に下げます。
- 件数とのバランスを見る。目標を厳しくすると、単価は下がっても件数が減ります。利益の合計が最大になる地点を探るのが目的で、単価を下げること自体が目的ではありません。
目標値を変えても配信量が動かない場合は、予算の上限に当たっていないか、キーワードやマッチタイプの範囲が狭すぎないかを確認します。
FIG.目標値を動かす手順
- 直近の実績を確認する
- 最初の目標値は実績に近い値にする
- 安定を確認する
- 小さな幅で動かす
- 件数とのバランスを見る
まとめ
自動入札の成否は、正しいコンバージョン計測と十分なデータ量という土台で決まります。目標の種類は、コンバージョンの価値が一定かどうか、制約が予算か採算かで選びます。データが少ないうちは、キャンペーンの統合などで学習材料を確保してください。
設定を変えた後は、短期の数字に反応せず、一定期間待ってから評価します。目標値は実績を起点に、小さな幅で段階的に動かします。
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