マッチタイプの使い分け|完全一致・フレーズ一致・部分一致の考え方
検索広告のマッチタイプを、仕様の暗記ではなく「媒体にどこまで任せるか」という原理から解説します。完全一致・フレーズ一致・部分一致の役割、自動入札との組み合わせ方、配信を広げていく順序と注意点をまとめました。
同じキーワードを登録しているのに、アカウントによって実際に表示される検索語句がまるで違う。その差を生んでいるのがマッチタイプです。キーワードが「何を狙うか」の設定だとすれば、マッチタイプは「狙いの周辺をどこまで拾うか」の設定に当たります。
マッチタイプの挙動は、媒体のアップデートでたびたび変わってきました。数年前の解説記事のとおりに設定しても、今の管理画面では同じ結果になりません。そこでこの記事では、細かい仕様よりも、変わりにくい原理と判断の順序を中心に説明します。具体的な挙動は、運用の前に各媒体の公式ヘルプで確認してください。
マッチタイプは「どこまで媒体に任せるか」の設定
ユーザーが入力する検索語句は無数にあり、すべてを事前に登録することはできません。そこで媒体は、登録したキーワードと「関連がある」と判断した検索語句にも広告を出します。どの程度の関連まで許容するかを広告主が指定するのがマッチタイプです。
範囲を狭くすれば、意図のはっきりした検索だけに予算を使えますが、表示機会は減り、想定していなかった良い検索語句にも出会えません。範囲を広くすれば機会は増えますが、関係の薄い検索にも費用が流れます。つまりマッチタイプの選択は、制御のしやすさと配信量のどちらを優先するかの選択です。
もう一つ押さえておきたいのは、現在のマッチングは文字列の一致ではなく、意味や意図の近さで判断される方向に進んでいることです。完全一致であっても、表記ゆれや同じ意味を持つ別の言い回しに表示されることがあります。「一字一句同じ検索にしか出ない」という前提で設計すると、レポートを見て驚くことになります。
3種類の役割を整理する
Google広告とYahoo!広告の検索広告では、執筆時点で大きく3種類のマッチタイプが用意されています。呼び方は媒体や時期によって異なり、Google広告では部分一致が「インテントマッチ」という名称で表示されることもあります。
| 種類 | 拾う範囲の考え方 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 完全一致 | キーワードと同じ意味・同じ意図の検索 | 成果が確認できている語句を取りこぼさず押さえたいとき。予算が少ないとき | 配信量が限られる。新しい語句の発見は期待しにくい |
| フレーズ一致 | キーワードの意味を含む検索。前後に語が付く形も対象になる | 意図の軸は固定しつつ、掛け合わせの広がりを拾いたいとき | 付いてくる語によって意図が変わるため、除外キーワードとの併用が前提 |
| 部分一致(インテントマッチ) | キーワードに関連すると媒体が判断した検索。キーワードの語を含まない検索も対象になる | コンバージョンのデータが十分にあり、自動入札で配信を広げたいとき | 判断材料が乏しい状態で使うと、関連の薄い検索に費用が流れやすい |
広い種類は狭い種類の範囲をおおむね含みます。そのため、同じキーワードを複数のマッチタイプで登録すると役割が重なります。重ねること自体が悪いわけではありませんが、なぜ重ねているのかを説明できない状態は避けたいところです。
FIG.マッチタイプと、広告が出る範囲
- 完全一致キーワードと同じ意味・同じ意図の検索
- フレーズ一致キーワードの意味を含む検索
- 部分一致(インテントマッチ)関連すると媒体が判断した検索
自動入札との組み合わせ
部分一致の評価は、自動入札の普及で大きく変わりました。手動入札の時代は、広いマッチタイプで拾ったすべての検索に同じ入札単価が適用されるため、関係の薄い検索にも同じ金額を払うことになり、無駄が出やすい設定でした。
自動入札では、オークションごとにコンバージョンの見込みを予測して入札を調整します。見込みの低い検索には入札を弱め、高い検索には強める、という判断を媒体側が行うため、広いマッチタイプの弱点がある程度補われます。媒体が部分一致と自動入札の併用を勧めるのは、この仕組みが背景にあります。
ただし、この組み合わせが機能するには条件があります。
- コンバージョン計測が正しく設定されていること
- 計測しているコンバージョンが、事業の成果と結びついていること(ページ閲覧のような浅い地点だけを学習させると、浅い成果ばかりを集めにいきます)
- 予測に使えるだけのコンバージョン件数が継続的に発生していること
この条件が揃っていない段階で部分一致に広げると、媒体は何を良い検索とみなせばよいか分からず、配信だけが広がります。部分一致が良いか悪いかではなく、自分のアカウントがその段階に達しているかどうかで判断してください。
配信を広げる順序
私たちが後輩に伝えるときは、次の順序を基本にしています。
- 完全一致とフレーズ一致で始める。意図の近いキーワードに絞り、まずコンバージョンが取れる語句を確認します。少額予算なら完全一致を中心にします。
- 検索語句レポートを見て、除外キーワードを整える。フレーズ一致で拾った語句のうち、意図の違うものを除外します。ここで作った除外リストが、後で広げるときの安全網になります。
- コンバージョンの件数が安定してから自動入札に切り替える。件数が少ないうちは、無理に切り替えず手前の段階でデータを貯めます。
- 成績の良いキーワードから部分一致を試す。全キーワードを一度に切り替えるのではなく、一部で試します。媒体にテスト機能がある場合は、元の設定と並行して比較すると判断しやすくなります。
- 検索語句と獲得単価を見ながら範囲を調整する。広げた直後は点検の頻度を上げ、関連の薄い語句を除外します。成績が悪化したら一段階戻します。
逆の順序、つまり最初に広く配信してから絞っていくやり方もありますが、判断に必要なデータを集めるまでの費用が大きくなります。予算に余裕がある場合に限った進め方です。
よくあるつまずき
完全一致だけで固めて伸び悩む
制御しやすい反面、配信量が頭打ちになります。獲得単価が目標内に収まっているのに件数が伸びない場合は、マッチタイプを一段広げる余地がないかを検討します。
部分一致にしたまま検索語句を見ない
自動入札が調整してくれるとはいえ、事業として出したくない検索は人が除外する必要があります。広いマッチタイプほど、検索語句レポートの点検とセットで運用するものです。
仕様変更に気づかない
マッチタイプの定義や名称、推奨される使い方は変わります。設定を変えていないのに検索語句の傾向が変わったと感じたら、媒体のお知らせや公式ヘルプを確認してください。
まとめ
マッチタイプは、登録したキーワードの周辺を媒体にどこまで任せるかを決める設定です。狭くすれば制御しやすく、広くすれば機会が増えます。広いマッチタイプは、正しいコンバージョン計測と十分なデータ、そして自動入札が揃って初めて力を発揮します。
狭く始めて、除外リストを整え、データが貯まってから一段ずつ広げる。この順序を守れば、仕様が変わっても判断の軸はぶれません。
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