近年、海外からの観光客が増えているというニュースをよく聞きますが、そんな訪日外国人を外国語で案内する通訳案内士のお仕事について徹底解剖します!
通訳案内士とは
通訳案内士は通訳ガイドとも呼ばれ、その名のとおり海外から来たお客様に付き添い、通訳をしながら案内するお仕事です。
近年の訪日外国人観光客の増加に伴って、その需要も増加しています。通訳案内士は、語学力のみならず、地理・歴史の知識や、ツアーを引率する能力も必要で、ただ外国語が喋れるというだけでなれるものではありません。
また、最近は日本に来る外国人の傾向から、英語以外の言語や地方での通訳案内士の需要が高まっています。
通訳案内士になるには

通訳案内士には以下の2つの種類があります。
- 全国通訳案内士
- 地域通訳案内士
全国通訳案内士
試験の概要
全国通訳案内士になるためには、国が実施する全国通訳案内士試験という国家試験に合格する必要があります。
全国通訳案内士試験には一次試験と二次試験があり、一次試験が筆記、二次が口述という内容です。
一次の筆記試験は「外国語」「日本地理」「日本歴史」「一般常識」「通訳案内の実務」の5科目があり、すべての試験で合格点を超える必要があります。「外国語」で受けた言語によって、ガイドできる言語が決まり、英語の試験を受けた場合は英語ガイドとして活動ができます。
英語ガイドの資格を持っていても、中国語のガイドをする場合には別途「中国語」の試験を受ける必要があります。その場合、地理などほかの教科は免除となります。
難易度
通訳案内士試験合格に必要な英語力は、英語試験が免除となるTOEIC900点もしくは実用英語技能検定1級が目安となります。
全国通訳案内士試験の過去13年の平均合格率は、全言語で17.4%となっています。2018年度は、通訳案内士法改正の影響を受け過去最低の9.8%となりました。
本年度の合否はまだ出ていませんが、昨年の過去最低の合格率からどのような変化がみられるかが注目です。
地域通訳案内士
地域通訳案内士は、全国通訳案内士試験の合格が必要ではなく、各自治体が行う研修を受講して登録を受け、特定の地域限定で通訳案内士として活動する人を指します。
そのため、地域通訳案内士の活動地域は認定を受けた地域のみに限られます。
例えば、京都で認定を受けた地域通訳案内士は京都でのみ活動ができます。
なお、2019年12月時点で、地域通訳案内士を導入しているのは、全国で37地域のみで、それ以外の地域には地域通訳案内士はいません。
通訳案内士の年収

通訳案内士の働き方はさまざまなので、平均年収という考え方は少し難しいかもしれません。
以下が概要になります。
- 個人事業主・フリーランスの方が多い
- 平均的な日当は1~3万円(中には5万以上の人も)
- 年収は稼働日数で決まるが、6割が200万以下
- 季節需要差があり、閑散期には通訳・翻訳業務をしている人も多い
詳しく見ていきましょう。
通訳案内士は、企業に雇われるというよりも、紹介団体に登録したり、企業から業務委託を受けたりして、個人事業やフリーランスとして活躍している人が多く、稼ぎもその人の働き方によって大きく異なります。
兼業で通訳案内士をしている人も少なくないため、国の統計では、通訳案内士としての年収で最も多いのが「100万未満」となっており、6割の通訳案内士の年収が200万円以下といわれています。
通訳案内士の相場としては、一日ガイドの日当が1~3万と言われています。ベテランガイドで指名を受けるような人になると、1日5万以上というガイドもいるようです。兼業で週末のみやっているようなガイドの場合、月2,3の稼働だと、年収100万未満となるのも頷けます。ベテランガイドとして、月20日稼働しているような人だと、ひと月100万を稼ぐ人もいるということです。
ただ、通訳案内士の仕事量はシーズンによって需要の上下があるので、一年通して安定して稼ぐということは難しいです。そのため、観光シーズン以外はその語学力を生かして、通訳案内業務だけではなく、国際会議などの通訳業務や翻訳業務などを兼業として行っていることが多いようです。
通訳案内士の楽しさ

通訳案内士の仕事のたのしみは、主に以下の3つです。
- 外国人と日本の架け橋になれる
- 仕事で日本全国を旅行できる
- 日本を深く知ることができる
外国人と日本の架け橋になれる
まず何といっても海外から来た人たちと日本をつなぐ架け橋になれるということでしょう。これはお金には代えられないやりがいにつながります。通訳案内士は、“民間の外交官”といわれるほど、海外から来た観光客が一番印象に残る日本人となる大切な存在なのです。
仕事で日本全国を旅行できる
2つ目のたのしみとしては、仕事として日本全国を旅行ができることです。確かにお仕事ではありますが、お給料をもらいながら旅行ができるということは旅好きにはたまらないお仕事です。ゴールデンルートといわれる、訪日旅行の人気行程はもちろんですが、最近では地方など日本に住んでいてもあまり行くことのない地域へも訪日ツアーが実施されることもあり、知らなかった日本の魅力に気づくことができます。
日本を深く知ることができる
そして、日本という国を深く知ることができ、ますます好きになれる仕事でもあります。通訳案内士は、日本の歴史や地理はもちろん、常に日本の文化について新しい情報を収集し続ける必要があります。近年では、日本人よりも日本に詳しい海外の方も多く、通訳案内士に求められるレベルは日々高くなっていきます。日本の新旧の文化を知ることで、日本への誇りを持てるようになるでしょう。
まとめ
通訳案内士の資格試験は決して簡単なものではありません。
しかし、訪日外国人観光客の増加に伴って、通訳案内士の活躍の場は今後も広がっていき、やりがいのある仕事であることは間違いありません。訪日観光客のニーズも多様化が進んでおり、今までになかった観光地、今までになかったニッチな分野への需要が高まっています。
通訳案内士も、ただ外国語ができる、日本の地理や歴史を知っているだけではなく、例えばアニメに詳しい人や日本刀に詳しいなど得意分野を持っているとより活躍の場が増え、ますます楽しい仕事になっていくでしょう。