商圏が広い北海道で、広告の配信エリアをどう切るか|来店型と通販型の考え方
北海道の事業会社がWeb広告の配信エリアを決めるときの考え方を、来店型と通販型に分けて整理しました。エリアを絞りすぎる失敗と広げすぎる失敗、配信エリアを決めて見直すまでの手順もまとめています。
Web広告では、広告を表示する地域を指定できます。これを地域ターゲティングと呼びます。設定そのものは難しくありません。難しいのは「どこまでを自社のお客様の範囲とみなすか」を決めることです。
北海道は、この判断に迷いやすい土地です。都市と都市の間の距離が長く、車で1時間かけて買い物に行くことも珍しくありません。冬になれば移動のしかたも変わります。道外や海外から訪れる人もいます。この記事では、広告を任せる前に社内で整理しておきたい「配信エリアの考え方」を、来店型と通販型に分けて説明します。
最初に決めるのは「お客様がどこにいるか」
配信エリアを考えるとき、多くの人は自社の所在地から考え始めます。けれども、本当に決めるべきなのは、自社の場所ではなくお客様の場所です。そして、その答えは商売の形によって大きく変わります。
まず、自社がどちらに近いかを確認してください。
| 観点 | 来店型(店舗・施設・訪問サービス) | 通販型(EC・電話注文など) |
|---|---|---|
| エリアを決めるもの | お客様が無理なく来られる距離、または自社が訪問できる範囲 | 商品を届けられる範囲と、送料を含めて利益が残るかどうか |
| エリアの広さ | 比較的狭い。市区町村や距離で区切る | 広い。道内だけでなく、道外も候補になる |
| よくある迷い | どこまで広げれば、来店につながるのか | どの地域から優先して出すべきか |
| 見るべき成果 | 来店、予約、電話、訪問の依頼 | 購入、定期購入、再購入 |
来店と通販の両方がある会社は、この2つを同じ設定の中で混ぜないことが大切です。目的もエリアも違うので、分けて考えたほうが、結果の良し悪しを判断しやすくなります。
来店型は、移動の実態からエリアを決める
来店型のエリアは、地図上の距離よりも「お客様が実際にどう移動しているか」で決めるほうが現実に合います。車での移動が中心の地域では、同じ距離でも、幹線道路沿いなら近く感じ、峠や川を越えるなら遠く感じます。
手がかりになるのは、社内にすでにある情報です。
- 会員カードや予約の記録に残っている、お客様の住所の分布
- 問い合わせの電話で聞いた「どこから来るか」
- スタッフの感覚として「このあたりまでは来てくれる」という範囲
もう一つ、北海道ならではの注意点が冬です。雪の季節は移動に時間がかかり、遠方からの来店が減ることがあります。反対に、冬に需要が増える商材なら、エリアを広げる判断もありえます。季節によって配信エリアを変えてよいという前提で考えておくと、判断が楽になります。
また、観光地や空港の近くでは、住んでいる人と一時的に滞在している人の両方がいます。広告の媒体によっては、その地域に「いる人」だけでなく、その地域に「関心を示している人」にも表示する設定があります。執筆時点ではこうした選択肢がありますが、名称や初期設定は媒体ごとに異なり、変わることもあるため、公式ヘルプで確認してください。住民向けの商売なのか、旅行者向けなのかで、選ぶべき設定が変わります。
通販型は、配送と利益でエリアを決める
通販型では、エリアを道内に限る理由は多くありません。北海道の商品は、道外のお客様にとって魅力になることがあるからです。ただし、広く出せば良いというわけでもありません。
判断の軸は、配送と利益です。遠い地域ほど送料がかかり、届くまでの日数も延びます。冷蔵や冷凍の商品であれば、なおさらです。送料を自社で負担するのか、お客様に負担してもらうのかによっても、地域ごとの利益は変わります。
あくまで考え方を示すための架空の例ですが、仮に1回の購入で残る利益が2,000円の商品で、ある地域への送料の負担が他の地域より1,000円多いとします。その地域では、同じ広告費をかけても、残る利益が半分になります。こうした差がある場合は、地域ごとに広告の費用の上限を変える、送料の見せ方を工夫する、といった判断が必要です。
最初から地域を細かく分ける必要はありません。まずは配送できる範囲で広く出し、成果に差が見えてきた段階で分けるほうが、データが分散せずに判断しやすくなります。
絞りすぎる失敗と、広げすぎる失敗
絞りすぎたときに起きること
エリアを狭くしすぎると、広告を見る人の数が少なくなります。同じ人に何度も広告が表示され、見飽きられやすくなります。また、配信を自動で調整する仕組みは、ある程度のデータがないと働きにくいため、成果が安定するまでに時間がかかります。「近所の人だけに届けたい」という気持ちは自然ですが、その範囲に見込み客が十分いるかは、確かめておく必要があります。
広げすぎたときに起きること
エリアを広くしすぎると、来店できない人や、配送の条件に合わない人にも広告費が使われます。クリックは集まるのに、問い合わせや購入につながらない。数字だけを見ると「反応はあるのに成果が出ない」という状態になり、原因が分かりにくくなります。
どちらの失敗も、エリアを決めたまま見直さないことから起きます。最初の設定は仮の答えだと考えてください。
配信エリアを決めて、見直すまでの手順
- 来店型か通販型かを決める。両方ある場合は、分けて考えます。
- 社内の情報からお客様の分布を確かめる。住所の記録、問い合わせ、スタッフの感覚を集めます。
- 最初のエリアを、少し広めに決める。来店型なら無理なく来られる範囲、通販型なら配送できる範囲が目安です。
- 地域ごとの成果を見られるようにしておく。広告の管理画面で、地域別の数字を確認できるかどうかを依頼先に確かめます。
- 一定期間のあとに、地域ごとの結果を比べる。成果の出ない地域は外し、成果の良い地域には予算を寄せます。
- 季節の変わり目に、エリアを見直す。冬と夏で移動や需要が変わる商材では、特に大切です。
広告の運用を任せる場合も、1と2は自社にしか分からない情報です。依頼先に伝えられるよう、先に整理しておくと話が早く進みます。
FIG.配信エリアを決めて、見直すまでの手順
- 来店型か通販型かを決める
- お客様の分布を確かめる住所の記録、問い合わせ、スタッフの感覚
- 最初のエリアを少し広めに決める
- 地域ごとの成果を見られるようにする
- 地域ごとの結果を比べる成果の出ない地域は外し、良い地域に予算を寄せる
季節の変わり目に見直す
まとめ
配信エリアは、自社の場所ではなく、お客様の場所から決めます。来店型なら移動の実態と冬の影響を、通販型なら配送と利益を軸に考えます。
絞りすぎても、広げすぎても、成果は出にくくなります。最初のエリアは仮の答えとして少し広めに置き、地域ごとの結果と季節の変化を見ながら見直していく。この前提を依頼先と共有しておくことが、広い北海道で広告費を無駄にしないための第一歩です。
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