車のバッテリーが上がって困った経験はありませんか?筆者はこれまで、2回経験しました。1回目は若いときだったので対処法の知識がなく、困り果てたことを思い出します。
車のバッテリー上がりは、、誰にでも起こりうるトラブルです。エンジンがかからなくなってしまうと、仕事やプライベートなど、普段の生活に支障をきたします。
バッテリー上がりを起こしたときは、アセらずあわてず、落ち着いて正しい方法で対処しましょう。また、バッテリー上がりの原因を理解し、予防法を実践して、バッテリー上がりを未然に防くことも重要です。
この記事ではバッテリー上がりの原因や対処法、予防法などについて詳しく解説していきます。バッテリーが上がったときの対処やバッテリー上がりの予防に、ぜひお役立てください。
車のバッテリー上がりの注意点
車のバッテリーが上がって、エンジンがかからないときはアセりますよね。なんとかエンジンをかけようとして、エンジンスタートボタンを何度も押したりセルモーターを回し続けたり、いろいろやってしまいがちです。
でも、ちょっとまってください。気持ちはよくわかりますが、間違った対処法をとってしまうと、状況がさらに悪くなってしまうかも知れません。
まずは、バッテリーが上がったときにやってはいけないことなど、基礎知識を身につけておきましょう。
車のバッテリー上がりでやってはいけない3つのこと
バッテリーが上がっても、正しい方法で再充電などの対処をすればバッテリーは復活します。しかし、やってはいけないことをやると、バッテリーが使用不能になる恐れがありますので注意してください。
まずは、車のバッテリーが上がったときにやってはいけない3つのことを紹介します。
長時間放置する
バッテリー上がりを起こした状態でそのまま長時間放置すると、バッテリーの劣化が進みます。これは、バッテリーは電気が使われていない状態でも、少しずつ電力を放電しているためです。
バッテリー上がりを起こした状態は電圧が低下した状態のため、そのまま放置しておくと自然放電によりさらに電圧が低下し、バッテリーの劣化が進行してしまいます。
劣化が進んだバッテリーは、絶対的な蓄電量が減り、充電しても完全に元の状態に戻ることはありません。また、劣化したバッテリーは、発火や破裂のリスクが高まります。
バッテリーが上がっていることに気づいたときは、できるだけ早めに対処し、長時間放置しないようにしましょう。すぐに対処できないときや長期間エンジンをかけない場合は、バッテリーのマイナス側端子をはずしておけば劣化が進みにくくなります。
無理に直そうとする
バッテリー上がりの原因は、バッテリーの劣化や、電気系統のトラブルなど、さまざまです。そのため、自分で対処できる場合もあれば、プロに任せたほうがよい場合もあるのです。
自分で対処するのは、バッテリーの充電が切れていて、バッテリーそのものには問題がないときだけにしましょう。充電が切れているだけであれば、ブースターケーブルを使ったジャンピングスタートなどでエンジンを再始動させることができます。
しかし、劣化したバッテリーに自分で対処するのは危険です。たとえば、液漏れしている場合や、端子が腐食している場合などは、必ずプロに任せましょう。
また、バッテリー上がりを起こした状態でエンジンを何度もかけようとするのもバッテリーに負担をかけてしまい、劣化を早めることになりかねません。
車のバッテリー上がりを起こした場合は、まずは自分で対処できるかどうかを判断します。そのうえで、むずかしそうだと判断したのであれば、無理に自分で直そうとせずプロに任せる判断をしてください。
充電直後に電装品を使う
バッテリーが上がってしまった状態から、ジャンピングスタートなどでエンジンをかけなおした直後は、エアコンなどの電装品を使わないようにしましょう。エンジンを再始動させた直後の状態でエアコンなど電装品を使うと、充電が十分ではない状態でバッテリーに過度な負担がかかってしまうため、再びバッテリー上がりを起こしかねません。
こうした状態を避けるためにも、復活したバッテリーでエンジンが始動できた直後は、エアコンなど電装品を使わないように気をつけてください。
「車のバッテリー上がりが自然回復した」はウソ?
「バッテリー上がりを起こしたバッテリーは、そのまま放置しておけば自然回復する」そんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。しかし、これは基本的にはウソです。
バッテリーは、エンジンがかかっている状態で発電機である「オルタネーター」を動かすことにより充電されます。つまり、エンジンをかけずに放置しておくだけでは、自然回復することはありません。
ただし、バッテリーの劣化が進んでいない場合や、バッテリー上がりの原因がヘッドライトやオーディオなどの電装品の消し忘れである場合。あるいはバッテリー端子のゆるみなど、軽微な状態であれば、自然回復する可能性は残されてます。
とはいえ、こうした軽微な状態であるケースは少なく、バッテリーが自然回復することはほとんどありません。原則的にバッテリー上がりを起こした場合は早めに対処し、あわい期待でそのまま放置したりしないように心がけましょう。
車のバッテリーが上がる前兆に注意
車のバッテリーが上がる前兆としては、下記のようなものがあげられます。
- エンジンがかかりにくい
- ライトやウインカーの明るさが暗い
- パワーウインドウの開閉が遅くなる
- アイドリングストップ機能が作動しない
これらの症状が見られたら、バッテリーの状態を点検しましょう。バッテリーの液量が不足していたり、端子が緩んでいたりする場合は、自分で対処することもできます。
しかし、バッテリーの劣化が進んでいる場合は、交換が必要になる場合があるので注意してください。バッテリーの寿命は、おおむね3~5年程度です。
なお、バッテリー上がりを防ぐためには、下記の点に注意しましょう。
- バッテリーの液量を定期的に点検する
- バッテリーの端子が緩んでいないか確認する
- 電装品の消し忘れに注意する
- 長期間車を使わない場合は、バッテリーのマイナス端子を外す
バッテリー上がりは、突然起こることもあります。しかし前兆を察知し、適切な対処をしておくことでバッテリー上がりを防ぐことは可能です。
バッテリー上がりが直ったらしばらく走るのがおすすめ
バッテリー上がりを起こしたあとエンジンを始動させることができたとしても、バッテリーが完全に充電されているとは限りません。エンジンの始動に成功したら、バッテリーに十分な電圧が充電されるまで、しばらく走ることをおすすめします。
バッテリー上がりが直った直後は、バッテリーの電圧が低下しているため、エンジンがすぐに止まってしまう恐れがあります。しばらく走行する際には、下記の点に注意しましょう。
- エンジンの回転を上げすぎない
- 急発進や急ブレーキを避ける
- エアコンやオーディオなどの電装品の使用は必要最低限にする
バッテリー上がりが直ったあと、しばらく走行することでバッテリーが充電され、バッテリー上がりの再発が起こりにくくなります。
バッテリーの劣化を防ぐためにも、定期的に走行してバッテリーを充電することが大切です。
バッテリー上がりの回復方法
バッテリーが上がったときの回復方法の選択肢は、自分で対処するか業者などプロに依頼するか、大きく分けて2つです。
それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。状況に合った回復方法で対処しましょう。
ジャンピングスタート
ジャンピングスタートとは、車のバッテリーが上がってしまったときに、救援車(ほかの車)から電気をわけてもらい、エンジンを始動させる方法です。
救援車を呼べるのであればできますが、救援車を呼べなければできない方法です。
救援車を呼ぶ
まずは、家族や友人、知人などに連絡し、救援車として現場に来てくれるよう依頼しましょう。
なお、救援車を呼ぶ場合は下記の点に注意してください。
- バッテリー上がりの車を安全な場所に停車させる
- 救援車の到着まで、車から離れない
- 故障車の前後に三角表示板などを置き、周囲に知らせる
特に道路上で動けなくなった場合は、道路上の安全対策に気を配りましょう。
バッテリーにケーブルをつなぐ
出典:Amazon公式サイト
救援車が来たら、救援車のバッテリーと故障車のバッテリーをブースターケーブルでつなぎます。つなぎ方の順序を間違うと危ないので、手順を理解しておきましょう。
ブースターケーブルには赤と黒の2本があります。つなぎ方は、下記の通りです。
ケーブルをつなぐ際は、感電などの事故を防ぐためにも、必ず救援車・故障車ともにエンジンを停止してください。また、絶縁用のゴム手袋などをして作業することをおすすめします。
- 故障車のバッテリーのプラス端子に赤いブースターケーブルをつなぐ
- 救援車のバッテリーのプラス端子に赤いブースターケーブルをつなぐ
- 救援車のバッテリーのマイナス端子に黒いブースターケーブルをつなぐ
- 故障車のエンジンブロックなどの金属部かバッテリーのマイナス端子に黒いブースターケーブルをつなぐ
救援車のエンジンをかける
ブースターケーブルを確実につないだら、救援車のエンジンをかけます。手順は次の通りです。
- 救援車・故障車ともにギアを、AT車の場合はパーキング、MT車はニュートラルにする
- サイドブレーキを必ずかける
- 救援車のエンジンをかける
故障車のエンジンをかけアクセルをふかす
救援車のエンジンをかけてアクセルを少し踏み、エンジン回転数をアイドリング状態より少し高い状態にしたまま、故障車のエンジンをかけます。
故障車のエンジンがかかったら、アクセルを少し踏んでエンジンをふかしましょう。
バッテリーケーブルを外す
故障車のエンジンが無事にかかったら、つないでいるブースターケーブルをつけたときと逆の順番で外します。外し方は下記の通りです。
- 故障車の車体(またはバッテリーのマイナス端子)につないだ黒いブースターケーブルを外す
- 救援車バッテリーのマイナス端子につないだ黒いブースターケーブルを外す
- 救援車バッテリーのプラス端子につないだ赤いブースターケーブルを外す
- 最後に故障車バッテリーのプラス端子につないだ赤いブースターケーブルを外す
ブースターケーブルを外したら、救援車はエンジンを停止してもOKです。
バッテリー上がりのあとはエンジンを付けたまましばらく待つ
故障車のエンジンがかかって安心し、すぐにエンジンを止めてしまうと再始動できない場合があります。
エンジンをかけるためのスターターを回すためには大きな電力が必要です。故障車のエンジンが無事にかかったらエンジンをしばらく停止せず、上がったバッテリーに十分充電ができるまでしばらく待ちましょう。
ジャンプスターターを使う
出典:Amazon公式サイト
ジャンプスターターとは、バッテリー上がりを起こした車を始動させるための機器で、最近では大きさが手のひらサイズ程度のものもカー用品専門店やECサイトなどで販売されています。
救援車を呼ぶ方法とは違い、ジャンプスターターがあればひとりでも対処が可能です。
ジャンプスターターの一般的な使い方は下記の通りですが、取扱説明書に記載されている方法を守って使いましょう。
- ジャンプスターターにケーブル(赤と黒)をつなぐ
- ジャンプスターターの電源を入れ
- ジャンプスターター本体の充電量が80%以上になっていることを確認する
- 故障車バッテリーのプラス端子にジャンプスターターのプラス側ケーブル(赤い端子)をつなぐ
- 故障車バッテリーのマイナス側端子にジャンプスターターのマイナス側ケーブル(黒い端子)をつける
- 車のエンジンをかける
- ケーブルをマイナス端子(黒)、プラス端子(赤)の順に外す
- エンジンがかかったらしばらくの間、エンジンをかけたままにしておく
つなぐ際はプラス(赤)とマイナス(黒)を間違えないようにしてください。
ロードサービスを頼む
出典:JAF公式サイト
バッテリー上がりに自分で対処できない場合、ロードサービスを頼む方法が手軽です。ロードサービスは、JAFや自動車保険会社などが行っています。
JAFは、日本全国に会員数約1,300万人を抱える、日本最大の自動車連盟です。JAFの会員になると、バッテリー上がりの対応を含む、さまざまなロードサービスを無料で利用することができます。
また、最近は自動車保険のオプションでロードサービスが付帯されている場合もあります。保険会社によりサービスに違いはありますが、無料または有料でロードサービスの利用が可能です。
なお、ロードサービスには下記のメリットとデメリットがあることをしっかりと理解しておきましょう。
メリット
- 自分で対処できないバッテリー上がりを解決してもらえる
- 安全に作業を進めてもらえる
- 無料の場合がある(JAF会員の場合など)
デメリット
- ロードサービスの到着まで待つ必要がある
- 料金がかかる場合がある(保険会社やJAFによって異なる)
ロードサービスに依頼の連絡をする際は、JAFの会員証や自動車保険証番号などを控えておくと話がスムーズに進みます。
プロの業者に頼む
JAFなどのロードサービス以外でも、近くの自動車ディーラーやガソリンスタンド、自動車整備工場など、さまざまな業者がバッテリー上がりの対応を行ってくれます。
自動車ディーラーは、車の販売だけでなく、点検・修理なども行っており、バッテリー上がりの対応にも慣れているため、安心して任せることができます。ただし、料金は高くなる傾向です。
ガソリンスタンドの中にはバッテリー上がりの対応を行っているところもあり、比較的安価で対応してくれる場合も少なくありません。ただし、バッテリーの状態を詳しく調べてくれるかどうかはガソリンスタンドによって異なります。また、自動車メンテナンスの技術も、ガソリンスタンドによりまちまちです。
自動車整備工場は車の修理や点検を専門に行っているので、バッテリー上がりにも対応してくれます。バッテリーの状態を詳しく調べ、バッテリー劣化の原因を探ることもしてくれるでしょう。ただし、料金は高くなる場合があります。
プロの業者に頼む場合は、いざ作業が終わってから料金トラブルにならないよう、料金や修理内容を事前にしっかりと確認しておきましょう。
車のバッテリーが上がる原因
車のバッテリーが上がる原因はさまざまです。バッテリーが上がる原因を知り、バッテリーが上がらないよう日頃から気をつけておきましょう。
バッテリーの自己放電
バッテリーは、使用していなくても少しずつ放電しています。これを「自己放電」といいます。自己放電の原因は、下記のとおりです。
- バッテリー内部の化学反応
- バッテリー端子の緩みや汚れ
- 外気温の変動(高温・低温の温度差)
自己放電で減った程度の電圧なら、通常は車を走らせることで自然に回復します。しかし、長期間車に乗らない場合や劣化が進んだ古いバッテリーなどの場合は、走行による充電が追いつかず、バッテリー上がりにつながってしまうのです。
バッテリーの寿命や故障
出典:Amazon公式サイト
バッテリーの寿命は、一般的に2~5年程度といわれていますが、使用環境や使用状況により、寿命が短くなる場合もあります。
寿命が近いバッテリーの症状は、下記の通りです。
- エンジンがかかりにくい(セルモーターが回る音や勢いが弱くなったなど)
- ライトなどの電装品が正常に動作しない(ライトが暗い、パワーウィンドウの動きが遅くなったなど)
電装品の使いすぎや消し忘れ
車のバッテリーが上がる原因としてもっとも多いのは、電装品の使いすぎや消し忘れです。電装品を使いすぎたり、消し忘れたりすると、バッテリーの電力が徐々に減っていき、バッテリー上がりにつながります。
特に、ヘッドライトはバッテリーの電気を大量に消費するため、消し忘れには注意が必要です。最近は自動点灯・消灯する車が増えましたが、古い車など自動点灯・消灯システムがない車を運転するときは注意しましょう。ルームライトの消し忘れにも注意が必要です。
そのほか、24時間監視型のドライブレコーダーにも注意が必要です。駐車している間も車を監視してくれるドライブレコーダーは便利ですが、エンジン停止しているときも作動しているので電力を消費します。
ドライブレコーダーを使用する場合は、消費電力をよく調べて取り付けましょう。
バッテリー液不足
出典:Amazon公式サイト
バッテリー液の補充が必要なタイプのバッテリーは、バッテリー液が不足したまま使い続けると、バッテリー上がりや故障につながります。バッテリー液が不足していたら、すみやかに補充しましょう。
少なくとも、月に一度はバッテリー液の点検をするのがベターです。
短距離や短時間の運転が多い
普段から長時間エンジンをかける機会のない場合はさらに要注意です。筆者の体験談を紹介しますね。
十数年前のとある冬の朝、自分の車を運転しようとするとエンジンがかかりませんでした。完全にバッテリーが上がっていたんです。
ライトの付け忘れなどもしていませんし、バッテリーが上がるなんの予兆もなかったのですが、いろいろと原因を調べてみると、どうやら日ごろから短距離(短時間)の運転が多かったのが問題だったようです。
車は、運転している間バッテリーの電力を使うと同時に発電して、バッテリーへの充電もしています。しかし短距離の運転や、短時間の運転を繰り返した結果、電力の消費に対して充電が間に合わず、徐々に電圧が低下していきバッテリーが上がることがあります。
普段たまにしかエンジンをかけなかったり、短距離・短時間の運転しかしていない場合は、たまにチェックするようにしてください。
バッテリー上がりでやってはいけない事に注意して安全に車に乗ろう
車のバッテリーが上がったとき、アセって自分でどうにかしようとすると、かえって状況を悪くしてしまうことがあります。
バッテリーが上がったときは、無理にエンジンをかけないようにしましょう。何度もエンジンをかけようとすると、バッテリーにさらに負担がかかり劣化を早めてしまいます。
また、バッテリーが上がった状態のまま放置すると、バッテリーの劣化が進みます。バッテリーが上がった状態で長時間放置しないようにしましょう。
さらに、バッテリーを充電した直後の電装品使用にも注意が必要です。充電直後は、まだ十分に充電されてない状態のため、電装品を使いすぎると再びバッテリーが上がる恐れがあります。充電直後は、電装品をなるべく使わないようにしてください。ヘッドライトなど、電装品の消し忘れにも要注意です。
バッテリー上がりは、誰にでも起こりうるトラブルです。しかし、バッテリー上がりの原因を知っていれば予防できますし、万が一上がってしまっても落ち着いて対処できるでしょう。
日頃からバッテリー上がりを予防する運転や車のチェックを心がけ、安心・安全なカーライフをお過ごしください。