ditting社最新鋭コーヒーグラインダー「804LAB SWEET」の実力は?
①基本編 12段階の粒度設定、ディスクカッターによるグラインド性能を検証!

今回は少しコアになりますが、
高性能業務用グラインダー ditting / 804LAB SWEET を購入したので、使い勝手や性能を検証します!」という内容です。


グラインダー選びの際に私自身が、
「知りたい情報がなかなかwebにない~!」
と感じていた経験を踏まえて書きます。


今回と次回の2回に分けて、グラインダー性能とコーヒー味づくりの関係

などにも言及していきたいと考えてますので、どうぞ一読してみてください。

今回は「基本性能や使い勝手」について、
次回の記事で「グラインド性能とコーヒーの味の関係」に着目して検証を行っていこうと思っています。

目次

なぜこの記事を書くのか?


私は今、北海道にてコーヒースタンドの開業に向けて準備を進めています。


「お客様に色んなコーヒーの味を楽しんでもらいたい」と考え、
複数の豆を用意し、また、お客様ごとにあった抽出レシピを考える、

そんなお店にしたいと考えた結果、
お金をかけてでもグラインダーにはこだわる必要がある。
そう考えるようになりました。
(理由は後で詳しく説明します!)

そして、多くのグラインダーの中から、コーヒー抽出の大会でもよく使用される高性能グラインダー

ditting/804 LAB SWEET Mahlkönig EK43の2つが最終的な候補として残りました。

(ディッティングとマールクーニック。この選択肢は最近のコーヒー店の開業時に意外と多いのではないでしょうか?)

左:ditting/804 LAB SWEET 、右:Mahlkönig EK43


しかし、特にdittingに関する情報がweb上にあまり多くなく、
「マールクーニック のほうが情報が多いしそっちを買おうかな~、でもやっぱりディッティングあまり使ってる人いないしかっこいいし気になるな~」と悶々としていました。

今回の記事は、そんな私の経験をもとに、少しでも似たような境遇の人
(かなり少数の人向けになりますが^^)にとって有益な情報が書ければ、と思い書くことにしたものです。


結論として「ditting買ってよかった!」と思っていますが、
いいところだけでなく気になる部分も含めて感じたことをそのまま書こうと思っています。

少しでも皆さんの参考になればと思いますので、どうぞ読んでみてください!

基本情報 ditting/804LAB SWEET!

こちらが ditting/804LAB SWEET (ラボスウィート)

かっこいい!スイス製!

見た目からコーヒーグラインダーだとわからない人もいるのではないでしょうか?

この形状はditting社独特の形で、この会社のグラインダーラインナップの多くはこの角ばった形で統一されています。

こちらはditting社のHPに掲載している、他の機種の画像です。かっこいい!

https://www.dittingswiss.ch/index.php/en



ditting社は1928年にスイスで自動車ボディーの製造・修理工場として創立された会社。

現在では、コーヒーグラインダー事業に特化し、グラインダー分野で世界のトップブランドとなった伝統ある企業です。

HPを見てみると「SWISS PRECISION」という言葉がよく使われていて、

「スイス製としての品質・精度に誇りを持っている」という思いを強く感じることができます。

MADE IN SWISS に誇りを持って仕事をしている、そんな人たちが作ったグラインダーとそう考えるだけで何やら頼もしく見えてくるというものです。


伝統あるdittingブランドを視覚的にも堪能できる特徴的な形状も、
私がこのグラインダーを選んだ理由のひとつです。

(ですが今回の記事では、個人的な感想は抜きにしてしっかり使いやすさや味の検証をしていきます!)


そしてditting社のグラインダーの特徴である、ディスクカッターによるグラインド。

簡単に言うと、豆を挽く際に、すりつぶすのではなく鋭い刃で切り刻むことでコーヒー抽出に適した粒にする、というグラインダーです。

そんなditting社による2019年の最新鋭機が804LAB SWEETです。

こちらが804LAB SWEETで挽いたコーヒー粉。
確かに粉が刃物で切ったような断面をしていることがわかります。


このカットに使用する刃が従来機種ではステンレススティールだったものが、
804LAB SWEETではキャストスティール(鋳物)へ変更になり、
粉砕能力の向上とともに粒度分布の大幅な改善が行われたということです。

804LAB SWEETで大幅改善!粒度分布とは?


あるコーヒー抽出の大会の映像を見ていた際に、
「ditting社のグラインダーは今まで粒度分布のばらつきが課題であったが、804LAB SWEETではそれが大幅に改善された。」
ということが言われていました。


さきほども「粒度分布」という言葉が出てきましたが、
コーヒーの味を狙った味にしようとするときに必ず必要になってくるのが
豆を挽いた時の「粒度を揃える」ということ
になります。



コーヒーの豆はその成分を効率的に液体に移すために、
そのままお湯に浸すのではなく粉々にすることで「お湯に触れる部分の表面積」を大きくして抽出を行います。

この時、
表面積の大きさ次第でコーヒーの濃度や溶け出す成分にも違いが出てくる
ということが言われています。

つまり、粗く引いた時と細かく挽いた時では同じ豆でもコーヒーの風味が異なったものになるということです。

このことから、「実現したいコーヒーの味」が明確になっている場合、
コーヒー粉の粒度が狙った通りの大きさで均一に挽くことができる
ということが必須条件となってくる
のです。


コーヒーに携わっている人たちと話していると
「おいしいコーヒーを作りたい場合、特にグラインダーにはお金を惜しむべきではない。」
ということをよく言われます。

この発言は「狙った粒度で挽けること、かつその粒度が均一であること」が
コーヒー抽出にとっていかに大切か、ということをよく表していると思います。


私はこの「粒度を揃える」ことを達成するために、高いお金を使ってでもこのグラインダーを購入しようと決めました。

今回と次回でこの粒度にフォーカスをあてて、グラインダー性能を検証していきたいと思います。


では早速、12段階の粒度設定それぞれで豆を挽いてみましょう!!


(簡単な参考)コーヒーの粒度分布とは

挽いた後のコーヒーについて、粒の大きさごとの量を測定し(どうやってるの?!)
その大きさの粒がその試料中にどれくらいの割合存在しているか、をグラフに表示したものです。

図にあるように、
挽いた後の粒の大きさが揃っている = 粒度分布が鋭く
色んな大きさの粒が混在している  = 粒度分布はなだらかに広がったような
グラフの形をとります。

804LAB SWEETはこの図でいう赤い色のグラフのような粒度分布を持つグラインダーということになります。

12段階の粒度 画像で比較!

それでは早速 ditting/804LAB SWEET のグラインド性能を見てみましょう。

中深煎りの豆を使用し、12段階それぞれの設定で豆をひいてみました!
最も細い 1 から最も粗い 12 までです。

画像見づらくてすいません。。

あくまで個人的な感覚ですが、このグラインダーでの8~9当たりが中挽きといわれるレンジかと思います。

10~12の設定は画像で見るとそこまで変化は感じられませんが、
実際に挽いた粉を見ると、徐々に細かくなっていることがわかります。

ただ、粗い粒度設定の時(特に10~12)の粒度のばらつきは目で見ても少し感じられました。

設定粒度が細かくなっていくにつれて(7,6辺りから特に)、
格段に粒度の均一性が増し、より狙った通りの粒度で豆を挽くことができるようになると感じました。


全体的には(あくまで個人的な感覚ですが)
12段階の中から自分が選択した粒度で、しっかりと均一に豆を挽くことができていると思います。

今回撮影用に挽いてみてあらためて、お店の抽出レシピの幅をぐっと広げることができる良いグラインダーだなと思いました。

ディスクカッターの性能-微粉の量は?

次は、コーヒーの雑味やえぐみの原因の一つと言われている「微粉」について検証します。

微粉とはコーヒー豆を挽く際にどうしても発生してしまう、非常に細かい粒に粉砕されたコーヒー豆のことです。

微粉については、
味の阻害要因と捉える人も、味に深みを加える要素と捉える人もいますので、
一概には良し悪しは言えません
が、

狙った粒度以外の粒が発生してしまう、ということは事実ですので
味をコントロールするためにはできるだけ少ないほうが望ましいと考えられます。


今回は、一番粗い12の粒度設定で10gの豆を挽き、それを茶こしにかけ、その後に残った粉の粒度を測定しました。

本来であれば他の機種との比較検証を行うべきですが、私はこの機械しかもっていないので、
ひとつの目安程度にとらえていただければと思います。

まずは豆をグラインドし、gを測定。(10.1g)

そしてこの粉を茶こしで1分ひたすら濾します。

微粉はやはり少なからず発生するものなのですね~。

そして、残った粉を計測!

9.0gに!

10.1g の中に 1.1gの微粉があったことになります。

この数字が大きいのか小さいのか、、正直なところ他のグラインダーとの差はわからないのですが、
味に対する影響は少なくはないと思います。

味に関しては次回の記事で書くつもりですが、
微粉を取り除いた粉とそのままの粉とでコーヒーの飲み比べをしましたが
(ドリップにて抽出。10gに対して90℃のお湯150gを注湯)

微粉を取り除いたものは香りは感じるのですが、
味がかなり薄く、コーヒーを薄めた液体を飲んでいるような印象を受けました。


微粉の存在が風味への良い影響を与えるか、悪い影響を与えるかは
抽出方法やどんな豆を使用するかによっても異なると思いますが、

少なくとも微粉を除去するかどうかで味の印象が変わるということは
このグラインダーについてもいえるようです。

使いやすさ-グラインダーに残留する粉量はどうか?

このグラインダーを使用していて最も(唯一?)気になった点は、

グラインダー内に残るコーヒー粉の量が多いことです。

特に1~3等の極細で挽くと、グラインダー内に結構な量粉が残る印象を受けました。


早速、12の粗挽きで検証。

10gの豆を測り、、

挽いた粉を測ると、、、

増えた!!!

グラインダー内に前回までの粉が残っていたのか?

もう一度測ると、、


今回も、増えました。

前回までの粉が残っていることに加えて、今回入れた豆もグラインダー内に残留するということがあるようですね。


何回かやってみましたが、だいたい±1gの誤差になります。


製品の正規取り扱い説明書にも記載があるのですが、
異なる粒度や豆を使用する場合は、

挽く前に1~2gの豆を挽いて、前回分の粉と混ざらないようにする必要があります。



次に最も細かい粒度1で10g挽いてみます。
挽いて粉を計測すると、、、

うっ!結構減りました、、、!

一番細かい設定(エスプレッソ挽き)だとかなりの量が内部に滞留していしまうようです。

2でも10g投入して8~9gが出てくる程度でした。


ちなみに、手動ノッカーの内側をブラシでこすると結構な量の粉が落ちてきました。
(静電気で付着していたようなのですが、冬の乾燥した時期なのでそれも影響しているかもしれません)



私の携わるお店ではエスプレッソメニューは提供しないので
1~3の粒度を使用することはない想定なのですが、

エスプレッソ用に使用する際は豆ではなく、挽いた後の重さを測るなど、
オペレーションに工夫をする必要がありそうですね。


基本編 まとめ

少し細かい内容になりましたが、基本編いかがでしたでしょうか?

今回はditting/804LAB SWEETの基本的なスペックを書きました。


個人的にはディッティング非常に気に入っています。
 ・粒度コントロールが非常に楽でハイクオリティ

 ・グラインドスピードが速い
 ・見た目がかっこいい


次回の記事では、この804LAB SWEETを使用して

粉の状態と実際に飲んだ時の風味の関係について検証を行おうと考えています。


具体的な内容としては、
 ・12段階の粒度それぞれでコーヒーを抽出し、TDSと風味を検証

 ・豆を挽いてから1日目、2日目、・・7日目の粉でコーヒーを抽出したものと、その直前に挽いたものの風味の比較


について書きます。

しっかりと中身のあるものにしますので、ぜひ読んでみてください!

読んでいただいて、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

北海道の日本海を眺めながらアウトドアに関する情報を発信する「道産子アウトドア編集部」

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