コーヒーはコレステロール値を下げてくれる!?コーヒーとコレステロールの関係とは

何らかの原因で血液中のコレステロールが増加すると、動脈硬化のリスクが高まるといわれています。
健康のためにコレステロール値を下げる食べ物を積極的に摂取している、という方も多いのではないでしょうか。

実は、コーヒーに含まれる成分がコレステロール値に影響を与えるという研究結果が出ているのです。
そこで今回は、コーヒーとコレステロールの関係について詳しくご紹介します。
日常的にコーヒーを飲んでいて、コレステロール値が気になっている!という方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

そもそもコレステロールとは?

とかく悪者扱いされがちなコレステロールですが、そもそもコレステロールとはどんなものなのでしょうか。
まず最初に、コレステロールについて説明していきます。

コレステロールとは

コレステロールとは体内の脂質の一種であり、細胞やホルモン、胆汁酸、ビタミンKなどの原料になっています。
不足すると血管が弱くなったり免疫力が低下したりする、人間の体に欠かせない栄養素のひとつです。
コレステロール=悪者というわけではありません。

また、健康診断の結果などにある「総コレステロール」とは、「善玉(HDL)コレステロール」「悪玉(LDL)コレステロール」「中性脂肪」を合わせたものをいいます。
これらは相互的に作用しており、それぞれの役割も異なるため、一定のバランスが保たれていることが大切です。

バランスが崩れると動脈硬化などのリスクが高まるので、総コレステロール値だけでなく、それぞれの数値も確認するとよいでしょう。

善玉コレステロール

血管内などの余分なコレステロールを回収してまわり、肝臓に戻す役割があるのが「善玉(HDL)コレステロール」です。
細胞から肝臓へと運ぶことで血液中のコレステロールの蓄積を防ぎ、動脈硬化を抑制する働きがあることから「善玉コレステロール」と呼ばれています。

悪玉コレステロール

肝臓から体内の隅々までコレステロールを運ぶ役割があるのが悪玉(LDL)コレステロールです。
悪玉コレステロールが増えすぎると血管壁にキズがつき、悪玉コレステロールはそこから血管内に入り込みます。
血管内に入った悪玉コレステロールは、動脈硬化のリスクを高める「酸化LDL」となるため、「悪玉」と呼ばれているのです。

ただ、LDLコレステロール自体は重要な役割を果たしているので、本当の「悪」は酸化LDLといえるかもしれません。

コーヒーとコレステロールの関係は?成分による違いを解説

コーヒーそのものにコレステロールは含まれていません。
しかしコーヒーには、コレステロール値を上昇させる成分が含まれていることがわかっています。

ここでは、コレステロール値と関係のあるコーヒーの成分についてまとめました。

コレステロール値を上昇させる「ジテルペン」

コーヒー豆には、植物由来の成分である「ジテルペン(カフェストールとカーウェオール)」が含まれています。

「ジテルペン」は、肝臓のコレステロール分解酵素の働きを抑制する作用や、発がん物質を無毒化する酵素を活性化させる作用がある成分です。
抗炎症作用やがんの抑制効果が期待できる成分なのですが、コレステロールの代謝を阻害するため、高脂血症の原因になるといわれています。

北欧の国フィンランドなどでは、ろ過していない煮出しコーヒーを飲む習慣があり、高脂血症や心臓病になる人が多かったそうです。
しかし飲み方を変えたところ、心血管疾患による死亡率が低下したため、コーヒーの抽出方法によってジテルペン含有量が異なることがわかりました。

善玉コレステロールを増やすニコチン酸

コーヒーにはビタミンB群の一種である「ニコチン酸」が含まれています。

ニコチン酸は深煎りのコーヒーに多く含まれる、コーヒー成分のうちの唯一のビタミンです。
古くから悪玉コレステロールと中性脂肪を減らす作用があることが知られていて、高脂血症の治療薬などに使われています。

さらにニコチン酸には、善玉コレステロールを増やす作用もあるため、総コレステロールのバランスを保つ効果が期待できるかもしれません。

動脈硬化を防ぐ「カフェ酸」と「フェルラ酸」

コーヒーに含まれるポリフェノール「クロロゲン酸」は、体内で分解されて「カフェ酸」と「フェルラ酸」になります。
防衛医科大学での研究によると、「カフェ酸」と「フェルラ酸」には善玉コレステロールの働きを助ける作用があることがわかりました。

ここでちょっと動脈硬化のメカニズムを見ていきましょう。

増えすぎた悪玉コレステロールは血管内に入り込んで酸化し、酸化LDLになります。
酸化LDLを異物とみなし食べて処理をするのは、白血球の一種であるマクロファージです。
しかしマクロファージは、酸化LDLを食べ過ぎると死んでしまい、コレステロールの塊「プラーク(こぶ)」になります。
血管内にプラークができて、血管の柔軟性が失われた状態が「動脈硬化」です。

また、大きなプラークほど薄くて破れやすく、破裂すると傷口をふさぐために血が固まり、やがて血の塊になります。
血の塊=血栓が大きくなると血管が詰まりやすい状態になり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのです。

善玉コレステロールには、プラークの中からコレステロールを引き抜いて肝臓に戻す働きがあり、カフェ酸とフェルラ酸はその働きを助けます。
コーヒーを飲むことで、動脈硬化や血栓症の予防効果が期待できるといえるでしょう。

コレステロール値を上昇させるコーヒーの淹れ方とは?

血中コレステロール値が上昇するのは、コーヒーに含まれるカフェストールとカーウェオールという成分によるものです。
これらは脂質の一種であり、コーヒー豆やコーヒーオイルに多く含まれています。
炎症を抑える、ガンのリスクを下げるなどの働きがあるのですが、コレステロール値を上昇させる働きもあるのです。

ただし、コーヒーによるコレステロール値の上昇は一過性であり、高脂血症の直接の原因になる可能性は低いと考えられています。
とはいえ、コレステロール値が気になる方は、できるだけカフェストールとカーウェオールを含まないコーヒーを飲みたいかもしれません。

カフェストールとカーウェオールの含有量は、コーヒーの淹れ方によって差があります。
コレステロール値を気にせずにコーヒーを楽しむためにも、淹れ方による違いについて知っておくとよいでしょう。

ろ過したコーヒー

カフェストールとカーウェオールの含有量が少ないのは、ペーパーフィルターや布フィルターでろ過したコーヒーです。
日本ではフィルターでろ過したドリップコーヒーが主流なので、カフェストールとカーウェオールによる影響はほとんどないといわれています。

ただし、金属フィルターはコーヒーオイルを吸収しません。
コーヒーオイルによって香り高いコーヒーを味わえるのですが、カフェストールとカーウェオールも一緒に抽出されてしまいます。
コレステロール値が気になる方は、ペーパーフィルターや布フィルターでドリップしたコーヒーを選ぶとよいでしょう。

ろ過していないコーヒー

フレンチプレスやトルココーヒー、煮出しコーヒーなどのろ過していないコーヒーは、カフェストールとカーウェオールを多く含んでいます。
また、イタリアなどで主流のエスプレッソ、金属フィルタ―で抽出するベトナム式コーヒーなどもコーヒーオイルを含むコーヒーです。

北欧やイタリアでは心血管疾患のリスクが高いというデータが出ているため、コレステロール値が気になる方は飲む量に注意したほうがよいかもしれません。

インスタントコーヒー

インスタントコーヒーに含まれるカフェストールとカーウェオールの量は、コーヒー豆の産地や銘柄により異なります。
ただ、インスタントコーヒーを飲む量とコレステロール値の上昇には関係がないというデータが出ているので、適量であれば問題ないといえるでしょう。

コレステロール値が気になる人は生活習慣とコーヒーの飲み方を見直そう

コーヒーを飲むとコレステロール値が上昇することがわかっていますが、コーヒーだけがコレステロール値を上げているわけではありません。
コレステロール値を下げるには、普段の食生活を見直す、適度な運動をするなど、生活習慣の改善が大切です。

ただしコレステロール値が気になる方は、ペーパーフィルターや布フィルターでろ過したコーヒーを選ぶとよいかもしれません。
コーヒーの健康効果を得るためにも、淹れ方や飲む量に気をつけてみてくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次