今回はフェザースティックのとは何か?、その作り方や上手にできるコツを紹介いたします。
この記事を見れば必ずフェザースティックが作れるようになります。
ブッシュクラフトや焚き火で、フェザースティックに挑戦したいという方は是非今回の記事を参考にしてください!
フェザースティックとは?
フェザースティックとは「木の棒の表面をナイフで薄く削り羽のようにしたもの」を指し、焚き火で火を起こす際の焚き付けとして使用します。
主にメタルマッチでの着火に使用され、ナイフ1本あれば焚き付けを作ることができるので、ブッシュクラフトやサバイバル好きの方に人気のテクニックです。
フェザースティックは「キンドリングフェザー」と「ティンダーフェザー」という2つの呼び分けがあります。
キンドリングフェザー
明確な基準はありませんが、下の写真のような普通に削ったフェザースティックが「キンドリングフェザー」です。
あとで紹介するティンダーフェザーより羽が厚く、メタルマッチで直接着火するのは難しいけど、しっかり燃えるので小枝を着火させる役割を果たします。
大雑把に作っても機能するので初心者はまずこれを目指しましょう。
ティンダーフェザー
写真のようなフェザースティックが「ティンダーフェザー」です。まだ甘いという人もいるかもしれませんが、私なりにけっこう薄めに削りました。くるくるカールが上手く出来た目安です。
Tinder(ティンダー)というのは火口の意味です。キンドリングフェザーよりも更に羽を薄く細かくして、メタルマッチの火花で直接着火できるようにするのが狙いです。
これが作れれば、麻ひもやチャークロスなどの火口がなくても、薪だけで火起こしが完結出来るのは、たしかにカッコいい気はします。
ただし、良く切れるナイフが必要で慎重なナイフテクニックが必要ですし、麻ひものほうが作るのも着火するのも10倍ラクです(笑)
フェザースティックづくりに必要なもの
フェザースティックに必要なものを説明します
よく切れるナイフ
切れ味もそうですが、木を削るのにけっこう力をかけるので、折れないようブレードの厚みも2mm以上はあったほうがいいです。
初心者にはモーラナイフをおすすめします。コンパニオンでしたら2000円ちょっとで買えますし、買ったばかりの刃でもフェザーは削れます。刃厚も2.5mmと充分です。下の写真は刃厚3.2mmのHeavy Duty MGです。
刃厚もあんまり厚いとバトニングには頼もしいですが薄いフェザーは削りにくくなりますのでご注意を。
手斧(ハチェット)
というか、そもそも薪割りには斧をおすすめします。バトニングはナイフにダメージを与えますので。
5000円くらいあれば安い手斧(ハチェット)が買えますので、焚き火を思い切り楽しむなら購入することをおすすめします。
まだそこままで余裕がない方は、とりあえずバトニングで割りやすい細い薪や木材を買いましょう。後述します。
針葉樹の薪
フェザースティックを上手に作るためには、まずは適した木を選ぶことがポイントとなってきます。木は針葉樹と広葉樹の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
特徴 | 代表的な樹種 | |
針葉樹 | 軽い、柔らかい、火付きが良い | マツ、スギ、ヒノキ |
広葉樹 | 重い、硬い、長時間燃える | ナラ、ブナ、サクラ |
フェザースティックには柔らかくて削りやすい針葉樹がオススメです(広葉樹でも出来なくはありません)
もし、あなたの近くのアウトドア用品店などに売っている薪がナラとか広葉樹のものしかない場合や、斧を持ってない場合は、ホームセンターの木材コーナーに行きましょう。
建築用のツーバイ材(SPF)、タルキ、サンギとかって名前で売られている木材はみんな針葉樹です。価格も安くて300円もあればフェザースティック練習に充分な量の木が買えます。
ちなみに選ぶのは木そのものの無垢材です、複数の木をボンドで張り合わせて作っている集成材や合板は選ばないようにしましょう。
ちなみに割り箸も針葉樹ですがあっという場に細くなって折れちゃうので、よほど切れるナイフでティンダーフェザーを作るとき以外はオススメしません。
フェザースティック作りの際のナイフの持ち方
フェザーを削る。。その前に安全なナイフを使い方をチェックしましょう。
革グローブ着用
ナイフによる怪我だけではなく、薪のトゲが刺さる危険もあるのでグローブを装着しましょう。防御力の高い革のグローブをおすすめします。
以降の写真、私は素手でやってますが、慣れているのと、撮影でカメラを触るためですのでご了承を。
フォアハンドグリップで握る
ナイフの握り方はスタンダードなフォアハンドグリップ(ハンマーグリップ)を使います。
なんの芸もない”どストレート”な握り方ですが、力が入りやすく安定して削れます。
デストライアングルに注意
つぎに体勢ですが、刃の進む方向に体がないことが原則です。
特に注意が必要なのは、デストライアングルと呼ばれる太もも内側です。
太い血管が走っているのでナイフで切ってしまうと大量出血で容易に死に繋がるので、絶対にデストライアングルの中でナイフを扱ってはダメです。ゼッタイ
なので下の写真のように太ももから体の外に向かってナイフを押し出すと安全です。
フェザーにオススメの体勢
フェザーでとくにオススメなのは、膝より前に切り株などの木の台を置いてスティックを固定する方法です。
片手でもラクな力でスティックを固定できるので削る精度が上がります!
ナイフを手から離すときは即収納
ナイフを使い終えたらソッコーでシース(ケースのこと)に収納しましょう。折りたたみナイフのときは折りたたみます。
人間はすぐに忘れる生き物です、置きっぱにしたこと忘れて、後で踏んだり手をついて怪我する可能性大です。
これは自分だけでなく周りの人の為にも絶対守るべきことです。
フェザースティックの削り手順
準備が整ったら、フェザースティックを作りましょう。
①薪をスティックサイズになるまで細かく割る
握りやすい太さになるまで薪を細かく割っていきます。太い薪は斧で割っていきましょう。
ある程度細かくなったら、小回りの効くバトニングで割っていきましょう。
まだ斧やナタを持っていない場合は、太い薪をバトニングで割るのは大変だし、ナイフにも負担がかかるので、最初から細いサイズで売っている建築用木材がとてもオススメです。
スティックの最終的な太さの目安は、その人の手の大きさによって異なりますが、だいたい握りやすく折れにくい、直径2〜3cm位が丁度いいと思います。長さは30〜35cm位をおすすめします。
②土台にスティックを固定し、フォアハンドグリップでナイフを持つ
丸太や、材木など水平な木の上に固定します。
間違っても自分の太ももに置かないように。あとコンクリートなどの硬い物の上もナイフの刃が痛むので絶対ダメです。
③真っ直ぐな繊維部分を探す
基本的に繊維に沿って削るとスムーズに削れます。
曲線部分はナイフで削るのが難しいので、まっすぐなラインを探しましょう。
とくに節(フシ)の付近は繊維が曲がっていてうまく削れないので避けます。木の皮もボソボソでフェザーには向かないので避けます。
④スティックの面ではなく角を狙う
角は弱い力で削ることが出来るので角を狙います。面を削るのが大変なのは容易に想像つきますよね。
⑤なるべく上の方にナイフを置く
長い距離を削ればその分フェザーの量が増えるので、無理のない範囲でなるべく上の方から削り始めます。
一度下の方から削ってしまうともうやり直しできないので注意です。
⑥一定の力でゆっくり薄く削っていく
一定のパワー、一定のスピードで、木の繊維に沿って削ります。
削り落としてしまわないように先端付近でスピードを緩めて止めます。
⑦1本目のフェザーは若干厚めにしてストッパーとして利用する
フェザースティックでよくある失敗は、ナイフの勢いが余って、フェザーを完全に切り落としてしまうこと。
そうならないように、一番最初のフェザーは若干厚めに削ってストッパーにします。
以降は薄く削っていけば、ストッパーのところでナイフにブレーキがかかるので、切り落とす心配がなくなります。
⑧また別の角を狙って同じことを繰り返しフェザー完成
一度削ったところは平らになるので、スティックを回してまた別の角を狙って削ってを繰り返し、完成させましょう。
木が柔らかくてそのまま削れるならそうしても構いません。
⑨薄く細く作ればティンダーフェザーになる
キンドリングフェザーが作れるようになったら、ティンダーフェザーにチャレンジしてもいいかもしれません。
キンドリングフェザーよりも、弱い力で繊細に薄く削ります。
ただしよく切れるナイフが必須です。やりたい方は砥石を必ず買いましょう。
私はこのシャプトンの「刃の黒幕」をオススメします。ステンレスのモーラナイフでもよく研げます。
よくある失敗Q&A
ナイフテクニックは実際にやって感覚を掴むしかありませんが、上手く行かない場合は以下の項目を参考にして下さい。
Q.フェザーがやたら太くなってナイフが進まなくなる
A.ナイフの角度が深すぎます、繊維に沿って薄く削りましょう
Q.ナイフ角度が浅いのにフェザーがやたら太くなる
A.木の上下を変えてみて下さい、繊維の状態によってはそうなることもあります
Q.フェザーを切り落としてしまう
A.最初から薄いフェザーを作ろうとすると失敗します、1本目のフェザーは厚めにしてストッパーにしましょう
Q.長いフェザーが作れない
A.硬い広葉樹の薪ではありませんか?針葉樹であればなるべく手前から削りましょう
Q.ナイフが滑って木に食い込まない
A.ナイフの刃を研いでみたら解決するかもしれません
フェザースティックにルールなんてない
フェザースティックに決まったルールなんてとくにありません。1本で火起こしできる素晴らしいフェザースティックを作れなくてもいいし。
木材の状態によっては頑張っても上手く作れないこともあります。そんなときは無理に頑張らず、新しい木でチャレンジしてください。
それにフェザースティックもたくさんある方が上手く燃えます。失敗して削り落としたクズも集めて使いましょう。
ようは焚き火が着火すればオーケーです。気楽に楽しんでやりましょう。
フェザースティックを使った着火方法
最後にフェザースティックを使った焚き火の火起こしの方法をご紹介します。
- メタルマッチでティンダーフェザーに着火
- ティンダーフェザーからキンドリングフェザーに着火
- キンドリングフェザーから細い薪に着火
- 細い巻きから中くらいの薪に着火
- 中くらいの薪から太い薪に着火
今回はティンダーフェザーを使いましたが、メタルマッチの着火のハードルが上がります。
最初は麻ひもやティッシュを使うことをオススメします。
以上、フェザースティックの作り方でした。参考にしていただければ幸いです。