2022.3.15加筆 デイツ80の明るさを再測定しました!
今回はキャンプの定番アイテムとして定着してきたオイルランタン(ハリケーンランタン)の実際の明るさを調べた結果を紹介します。
私はハリケーンランタンが好きで各メーカーのものを複数使ってきたのですが、どのメーカーの物が明るいのかはっきりさせたかったので、照度計という明るさを測定する器具を使って客観的な数値を調べるという前代未聞?の方法をとってみました。
ハリケーンランタンに興味はあるけどまだ使ったことはないという人、すでに持っていて体感的に明るさはわかっているけど、メーカー別に明るさが違うか気になる人にも、なかなか興味深い記事になるのではないかと思います。
そもそもオイルランタンとは
最近ではYouTubeなどの影響かキャンパーの定番になってきたオイルランタン(ハリケーンランタン)。まだ使ったことのない方のために、簡単に説明しておきましょう。
オイルランタンという言葉は燃料に灯油を使ったランタン全般を指し、その中でも上の写真のような形状のものをハリケーンランタンと呼びます。
ただ最近はオイルランタンといえばハリケーンランタンを指すことが多いようでして、この記事内でも両者入り時混じって記述されてますのであらかじめご理解ください。
ハリケーンランタンは灯油を染み込ませた芯に火を灯すという原始的な構造のランタンです。
もっと細かく言えば燃焼によって暖められた空気をランタン内に循環させ、燃料タンクを暖めたり、上昇気流で炎の形を安定させるなど細かいメカニズムがありますが、基本的には理科の勉強で使ったアルコールランプやロウソクと同じような原理の灯りです。
オイルランタン明るさ決定戦の出場ランタン
今回照度計を使った計測自体が初めてだったので、参考にマイナーズランプと、加圧式のペトロマックスとコールマンのランタンも測定しました。
左から順にご紹介します。まずは撮影し忘れてた修学旅行で欠席した生徒みたいになってるロゴスのランタンから(笑)
- ロゴス ブロンズランタン
- E.Thomas & Williams マイナーランプ
- ペトロマックスHL1ストームランタン
- デイツ78
- フュアーハンド276
- デイツ80
- コールマン12022-Lケロシンランタン
- ペトロマックスHK500
測定方法
ここらは測定方法について説明します。面倒なことはいいから比較結果だけ知りたい人は飛ばしてください。
さて測定方法ですが、照明器具メーカーは専用の小さな暗室状のボックスの中で照明から出る光の総量(ルーメン)を測定するようです。
でも、今回はそこまで厳密にやる必要はないので、夜間にテントの中で照度計を使って測定しました。
テーブルの上にランタンを置き、一定の距離(クリップボードの長さ)を保って照度計を設置して測定しました。
使用した照度計はシンワのもの。JIS規格には準拠していませんがシンワは日本製の測定器メーカーです。測定精度は4%、同条件下でランタンを比較するのに使うにあたっては全く問題ない性能です。
【仕様】
・測定範囲:0~40,000ルクス
・最小表示(分解能):0.1ルクス
・測定精度:0~10,000ルクス:±(4%+10dgt)
10,001~40,000ルクス:±(5%+10dgt)
・再現性:±2%
・測定周期:2回/秒
・受光部:フォトダイオードセンサー
その前に「照度」とは
簡単にいうと照度はランタンそのものではなくてランタンに照らされた特定部分の明るさを表しています。
面倒くさい話なんですが、明るさ表現には、照度のほかに輝度、光束、光度と言ったものがあり、定義が異なります。詳しく知りたい人はここで触れるとけっこう長くなるので、自分で調べてみてくださいね。
照度の具体例
事務所の中は300〜800ルクス、屋内駐車場は5〜30ルクス、月明かりは0.1ルクス以下ということですね。なんとなく数値と具体的な明るさのイメージができたでしょうか。
照度を比較する際の注意点
照度で注意してほしいのは測定距離が近ければ数値は変わるということ。今回だとランタンと照度計の距離によって明るさが変わるということです。
ハリケーンランタン って電球なんかに比べると圧倒的に暗いんですよ。なので測定距離をこのように非常に近づけていますので、その点を考慮の上数値を参考にしてください。
測定スタート
長〜い前置きがやっと終わったので測定スタートしましょう
エントリーNo.1 ロゴス ブロンズランタン
僕がかれこれ20年近く愛用しているランタンです。測定結果は31ルクスと出ました。
続くランタンと比較すると若干暗いです。原因としては炎の形が丸くならないことでしょうね。
エントリーNo.2 E.Thomas & Williams マイナーランプ
イルビフさんで買った高級ランタン。真鍮製でずっしりしてます。もとは炭鉱でガスに引火しないよう発明された特殊構造のランタンです。カンブリアンランタンとも呼ばれますね。
こちらのE.Thomas & Williamsのものは芯に平芯を使っていて棒芯よりは明るいはずなんですが、やはりハリケーンランタンのようなバーナー構造がないせか、3ルクスとかなり厳しい結果となりました。
雰囲気は最高にかっこいいんですけどね。
エントリーNo.3 ペトロマックスHL1ストームランタン
私が買った時は3000円しなかったのに、いまではプレミアついて馬鹿みたいに高騰しているランタンですね。
さて本体はフュアーハンドに比べて小ぶりなんですが、炎の形がよく、数値も36ルクスと出ました。
実際に見てみても明るいなと思います。やりますねペトロマックス。
エントリーNo.4 デイツ76
見た目もスペックもフュアーハンドと同じですね。ほぼ同じ。このシルバータイプはかっこいいですね。
高騰したペトロマックスのストームランタンを買うなら、似たようなルックスでタンク容量が多いこちらをお勧めしますよ。
照度は51.5ルクス。なかなかいいですね!
エントリーNo.5 フュアーハンド276
真打登場ですね、デザイン、安定性、各パーツの締まり具合というか動き具合、どれもとっても満点・・・。
と言いたいところですが、あれ、明るさ39ルクスとデイツに負けてますね・・・。
これはおそらく若干ホヤがススで曇っていたからだと思います。ごめんなさい。芯は同じ4分芯(12mm)ですし、これまで使って経験上はデイツと同じ明るさだと思います。
2023年オイルランタンランキング!!
オイルランタンは部屋にあっても雰囲気が最高ですよね。今どのオイルランタンが人気なのか?ランキングしてみました。さて大型ハリケーンランタンの登場です。ペトロマックスより大きくらいのサイズですね(笑)でもサイトに置くと存在感あって素敵ですよ。
芯も7分芯(21mm)と太くなっており4文芯ランタンより明るいはずなので期待がもてますね!
さて結果は・・・51ルクス。うーんデイツ78と変わらん(笑)なぜだ!? いつもはもっと明るいのになあ。これまで使った印象だと70ルクスは行くはずなのに。
思い当たる原因は炎の形が細かったことですね。7分芯はどうも炎が安定しにくい気がします。あとホヤの曇りも大きな原因ですね。
このままじゃ無用の長物になってしまうため、名誉挽回のためまた次回測定をやり直したいと思います。
2022.3.15追記 デイツ80 明るさ再測定
というわけで、えらい時間が経ちましたが、デイツ80のイベンジ測定をすることにしましたので紹介します。
まずはホヤをしっかり吹いてスッキリクリアにします。
前回と同じ距離で測定します。三脚は微妙に違うけどまあ誤差範囲ということで。
ということで出ました!63ルクスと結果がでました!
そしてこのデイツ80は個体差なのか炎に安定性があまりなくて、中央部分が上に伸びて煤が出やすいです。
なんですが、ギリギリのギリギリまで芯をぎりぎりまであげて測定すると
70ルクスまで行きました!
というわけで、デイツ76とフュアーハンドに完全に勝ちましたね、当然といえば当然です。こんなにデカいし、芯も太いんですから。
ならべて炎の大きさを比較してみました
なんか微妙ですけど、マジかでみると明確に大きさは違います。
まあ人によっては「これだけ?」と思うかもしれませんね。
計算してみると
デイツ76が4分芯に対して、デイツ80が7分芯なので、芯の太さは1.75倍の太さ
でも明るさは、デイツ76が51ルクス、デイツ80が70ルクスなので、明るさは1.37倍にしかなっていません。
なのでハリケーンランタンの構造上、もっとも効率が良いサイズが4分芯ランタンなんじゃないかと私は思います。
エントリーNo.7 コールマン12022-Lケロシンランタン
さてここで、ハリケーンランタンとはそもそも構造の全く違う、プレッシャーランタンの明るさを参考程度にご紹介しましょう。
なぜか日本では発売されてないコールマンのケロシン(灯油)ランタンです。灯油を霧状に気化させてマントルに吹き付け発光させているので、ロウソクみたいなハリケーンランタンとは次元の違う明るさとなります。
数値はやはりというか圧倒的な485ルクスです。明るいけど眩しくはなく、扱いも簡単で私はお気に入りです。
エントリーNo.8 ペトロマックスHK500
最強の明るさと言われるドイツのプレッシャーランタン、ペトロマックスHK500。ポンピングは大変だったり、マントルが外れやすいとか癖はあるけど、この格好よさと明るさで人気ですね。
明るさはなんと驚愕の1245ルクスと出ました!
実感的に明るいとは思っていたけど、同じプレッシャーランタンのコールマンの3倍近い数値とは・・・ いやはや恐れ入りました。もはやハリケーンランタンと比べると地球人とサイヤ人くらい違いますね(例えが古い?)
番外編 LEDランタンの実力はどのくらいか?
さてここまで、灯油を燃料としたオイルランタンの明るさを調べてきましたが、LEDランタンと比べた時の明るさの差も気になるところなので、有名なジェントスのLEDランタンで検証してみました。
エントリーNo.9 ジェントスEX-136S
単3形アルカリ電池×6本、置くのも吊るすのもOK、水に浮かぶ防水性、非常に使い勝手のいいランタンですね。
明るさスペックは明るさ最大で光束370ルーメンとのこと。照度と比較はできない数値ですから検証してみましょう。
ではまずLOWモード
25ルクスと出ました。ロゴスのブロンズランタンより暗いですね。
お次はMIDモード
あらま、一気に戦闘力が228ルクスまで上がり、ハリケーンランタン を圧倒しました。
本気のHIモード
本気を出すとこの数値509ルクス。コールマンケロシンランタンを上回りました。
カタログ上は9時間持つと記載ありますが実際にはこの明るさを維持できるのは2時間が精一杯だと思います。
プレッシャーランタンは5〜6時間くらいは持ちますから、それと比較するとLEDはちょっと頼りないですね。
結果発表 ハリケーンランタン1位はデイツ78とデイツ80
では結果発表です! ハリケーンランタン1位はデイツ76と、デイツ80でした。
全部並べて見てみましょう。参考出場した加圧式ランタンのペトロマックスは明るいですね。
マイナーランプはこう見ても暗い。大型のデイツ80は当初ホヤが曇っていて実力発揮できず、デイツ76と同着でしたが、ホヤを磨いて再測定したところ、70ルクスまであがりました。可能性大。
この写真はホヤが曇ってはいるもののハリケーンランタンの炎の大きさがよくわかりますね。これがそのまま明るさになっている感じです。
検証を終えての感想
その1 ハリケーンランタンはやはり暗かった
検証を終えてわかるのは、プレッシャーランタンやLEDランタンに比べて、ハリケーンランタンはものすごく暗いということですね。
私も実感としてわかってはいましたが、数値として見ると改めて納得です。まだ使ったことのない人は、ちょっとがっかりしたかもしれませんね。
その2 メーカー別の差はある
ロゴスやキャプテンスタッグから出ているブロンズランタンは、フュアーハンドやデイツに比べるとバーナー構造が悪いせいか暗いです。
ホヤも曇りやすいので明るさはさらに低下します。
あとこれまで7個くらい買ったことがありますが(笑)個体差がありすぎて不良品みたいなものも多いので、価格は安いですが初心者にはオススメしません。
その3 マイナーランプは飾りにしか使えないかも
さすがに暗かったですね。これは照明というよりは完全に雰囲気を出すためのランタンと割り切った方が良さそうですね。
コンパクトなのでキャンドルがわりにテーブルに置いたりしてもカッコいいです。明るさも実際キャンドルとさほど変わらないと思います。
それでもやっぱりハリケーンランタンは使える
実験でジェントスLEDランタンのLOWモードよりは明るいことが実証されましたね。
サイト全体を照らすことはできませんが実用には耐えます。実際私はソロキャンプではハリケーンランタンだけでキャンプできています! テント用、タープ用、テーブル用、焚き火用、合わせて4台くらい持っていきますが(笑)
何より雰囲気最高ですからね。この写真のキャンプもハリケーンランタンだけでした。
※ただし!ファミリーキャンプで照明はハリケーンランタンだけってのは無理がありますのでご注意を。
以上!オイルランタンの照度測定の結果でした。購入の参考になれば嬉しいです。次回は芯のカットの仕方や、ホヤの磨き方でどの程度ハリケーンランタンを明るくできるかお届けしたいと思いますのでお楽しみに!