今日はMakuakeで話題になった、最新ペグを手に入れたので、その特徴と通常ペグとの違いを確かめていきたいと思います。
BITE STAKEとは
まずはBITE STAKEの概要についてご紹介します。
BITE STAKEは2021年5月にクラウドファンティングのMakuakeで販売された、新しいコンセプトのキャンプ用ペグです。
1ヶ月で200人以上のサポーターから支持を集め、150万円を超える支援を獲得した話題のギアです。
メーカーのSALTAHIKE(サルタハイク)は兵庫県尼崎市に誕生した兄弟2人で立ち上げた、新鋭のガレージブランドです。
お兄さんが突然の病で視力に障害を負ってしまったことから、一緒にできる仕事は何かと考えた末、兄弟二人が好きなキャンプでギア開発する道を選んだと、オフィシャルサイトに記述がありました。
ブランド名「SALTAHIKE」は旅人・道案内の神様である猿田彦神様からとったネーミングで、「皆様の旅の安全を祈ると共に皆様と私達を導いてくれるブランドになるように」という思いが込められているそうです。
Makuakeの活動レポートには、開発にいたる苦労や、モノ作りへの徹底したこだわりなどが掲載されており、彼らのギアへの情熱がひしひしと感じられるので、ご興味のある方は是非そちらもチェックしてみてください。
https://www.makuake.com/project/bite-stake/?utm_source=default&utm_medium=widget&utm_campaign=widget
BITE STAKEの特徴1 高い抵抗力を発揮するアーク(弧)型ボディ
BITE STAKEの最大の特徴は、インパクト抜群の「弧を描いたボディ形状」です。牙のような形状が地面に鋭く突き刺さる感じが容易にイメージできます。
公式サイトでは「アーク型」という表現をされています。アーク(arc)とは英語で円弧の意味があるそうです。
ずっと持っていたくなるような、洗練された機能美を感じます。
著者としてはBITE(噛む)から連想して「牙(FANG)」なんて表現のほうがしっくると思うんですが、皆様はどうでしょう?
この独特な形状が、単に美しさだけではなく、高い抵抗力の理由になっています。
一般的なテント付属ペグと比べるとこの通り。
見ただけでもわかりますが、実際触ってみても強度の差は歴然としています。
BITE STAKEの特徴2 スタッキングもできる洗練された形状
一般的な丸棒タイプではなく、平面形状なので、下の写真のように綺麗に重ね置きをすることができます。
普通のペグは丸棒型にはない、スタックできる気持ち良さがあります。整理整頓が好きなキャンパーには喜ばれそうです。
バンドなどで縛ってしまえがガチャガチャ音がしなくていいかもしれません。
鍛造ペグ「エリッゼステーク」とサイズ比較
さて、細ペグとの性能差は歴然としているのはわかりきったことなので、ここからは定番鍛造ペグとの比較をしていきたいと思います。
予備知識。鍛造(たんぞう)ペグとは
知らない方のために鍛造ペグについて簡単に説明しておきます。
鍛造(たんぞう)とは「金属を叩くことで内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する(wikipedia)」製法のことで、金属の強度が上がるため、昔から刀や刃物などが作られてきました。
有名な鍛造ペグとしてはスノーピークのソリッドステークがあげられます。
ちなみに、似たような言葉で鋳造(ちゅうぞう)がありますが、全然違うものです。
鋳造(ちゅうぞう)は砂型などに鉄を流し込んで成形する製法で、鍛造(たんぞう)より成形は簡単で低コストですが、脆いという弱点があります。ダッチオーブンなど鋳物を作る際に使われる製法です。
メジャー鍛造ペグのエリッゼステークとサイズ比較
今回はスノーピークよりもリーズナブルなところが人気のELLISSEのエリッゼステークと比較してみます。
こうしてみるとカーブした形状の他に、長さが短い、最大幅が太い、シルバー塗装という違いあります。
サイズ比較
長さではエリッゼステークが280mmに対し、BITE STAKEが229mmと、5センチ短いです。
ペグの太さはともに8mmで同じ。
そして最大幅が20mmということで大きな差があり、ロープに引っ張られる角度で非常に頑丈そうです。
エリッゼステークと材質比較
つぎに材質について簡単に比較します。著者も専門知識はないので調べてみました。
BITE STAKE
SS400は一般構造用の熱間圧延鋼材ということです。よく使われるコスパの良い鋼材のようです。
クロムメッキはその名の通り金属のクロムの幕を作る表面処理です。ボルトナット、ゴルフクラブや、車の部品などにも使われるほど、耐摩耗性、耐食性、硬度、安定性に優れています。
BITE STAKEを持った感じもスパナを持った感じに似ています。
エリッゼステーク
S55Cも鋼材ですが、SS400より硬度もコストも高いようです。
鋼材はほかにS15C、S45C、S50C、S55C、S60Cなど炭素含有量によって種類があり、S55Cは炭素量が多い部類のようです。
ここだけ見るとエリッゼステークのほうが材質が良さそうですが、炭素量が増えると逆に割れやすいなど脆くなる性質があるそうなので、一概にどちらがいいのかは断言できなさそうです。
一言言えるのは手で触っても、硬さの違いはわかりません笑
表面処理は、メッキではなくカチオン電着塗装を施しております。塗装としては耐腐食性や硬度が高いようですが、クロムのような金属ではなく、あくまで塗料なのでクロムメッキよりは劣るようです。
BITE STAKEの打ち込み具合を検証
つぎに実際にBITE STAKEをペグ打ちしてみます。
湾曲した形状なのでペグの打ち方には少しコツがいります。
下の写真のように、ヘッドの丸で囲んだ部分を地面に対して垂直にした状態で地面に打ち込みます。
打ち始めはしっかり抑えた方が適正な角度をキープできます。
撮影は素手で行いましたが、怪我しないようにグローブを履くことを強くお勧めします。
カーブを描きながら地面にするどく刺さっていく感触が、普通の直線のペグとは違います。
牙が食い込むように地面を噛んでいます。これは頑丈そうです。
ロープをかけた感じも良好です。独特なフック形状はロープをかけやすく抜けにくい嬉しい特性がありました。
BITE STAKEの抜きやすさを検証
このペグは抜きやすさも考慮して設計さており、3パターンの抜き方ができます。
①もう1本ペグを差し込み、持ち手として引き抜く方法
ロープをかけるフックに、別のペグがジャストサイズで差し込めます。もちろん細ペグのようにフックが変形して曲がることもありません。
しっかりと引き抜くことができます。
②もう1本のペグを使ってテコの原理で抜く
1番目の方法でも、硬い地面の場合は抜きづらいこともよくありますよね。無理に頑張ると腰を痛めかねません。
そんな時に便利な方法がこちら。
他のペグにはできない、独特のカーブ形状のおかげでなせる技です。
さきほどと同じようにもう1本のペグをフックに通しますが、今回は短めに差し込みます。
硬い地面を使ってテコの原理で上に引きます。
ある程度緩んだら、普通に引き抜きましょう。
③もう一本のペグをハンドルにして回して抜く
それでも抜けづらい時の奥の手がこちら。こちらも普通の鍛造ペグと比べ圧倒的な抜きやすさがあります。
1番と同じように別ペグで持ち手を作ります。
そしたら今度は、手首を捻って刺さっているペグをグイッと回します。
BITE STAKEの円ではなく長方形型の断面が、地面の穴を大きく変形させて隙間を生んでくれます。
隙間ができれば硬い地面でも簡単に抜き取ることが可能です。
これは感動ものでした。
通常の鍛造ペグの場合、がっちり差し込める反面引き抜きが非常に苦労することもあります。
そんなときもBITE STAKEなら簡単に引き抜くことができるでしょう。
BITE STAKEの強度をエリッゼステークと比較してみた
次に実際にロープを張ってみて、強度に問題ないか調べてみます。
通常の土の地面で、ロープを張って手で弾いて簡単に抜けないかチェックしてみました。
ペグの長さはエリッゼステークに比べ短いBITE STAKEですが、しっかりと固定されいる感じがしました。
ロープで引っ張った時のペグの動きに関してはBITE STAKEのほうがしなりが少なく強度の高さが感じられました。
公式サイトに引き抜きテストをしたデータがありました。
その280mmの鍛造ペグ(ブランド不明)と比べると、長さは81.8%にも関わらず、抵抗力は95.2〜97.7%と、若干下がるながらも優秀な性能を発揮するようです。
また曲げ強度については縦横ともに2000N(ニュートン)を超え、ガイロープの対荷重に匹敵する強度があるようなので心配はなさそうです。
BITE STAKEとエリッゼステーク砂浜での抵抗力を比較
土の地面ではほぼ互角の勝負でしたので、参考程度に今度は砂浜で比較してみました。
結論としては、どちらも引っ張ると割と簡単に抜けてしまいましたが、若干エリッゼステークのほうが踏ん張った気がしました。
海の砂地の場合は、長いペグのほうが地中深くの硬い層に届きやすく、有利かもしれません。
もちろんBITE STAKEも、テント付属の細ペグよりは圧倒的に抵抗してくれました。
BITE STAKEの長所まとめ こんな人にオススメ!
ここまでの情報を整理して、エリッゼステークとどちらが優れているか比較をまとめます。
判定 | 解説 | |
引っ張り抵抗力 | × | 若干エリッゼが上ですが、ほぼ互角です |
ペグ抜きやすさ | ◯ | 硬い地面でも3つの方法で簡単に抜けます |
耐久性 | ◯ | ロープ牽引方向に関しては厚みがある分頑丈です |
耐摩耗性 | ◯ | クロムメッキのほうが耐摩耗性・硬度など優れています |
収納性 | ◯ | 長さが短く、スタックもできます |
ロープ抜けづらさ | ◯ | フックの形状が機能的です |
ルックス | – | 個人の好みですが機能美を感じるデザインは好印象です |
コスト | × | お値段は高めです |
以上のように性能に関しては、定番のエリッゼステークと比較しても非常に優れていると言えるのではないでしょうか。
ただし、一般販売予定価格 : 648円(税込)/本と、コストはけっこう高いので、お財布と相談となるかもしれません。
ペグ抜きに苦労するのが嫌、エリッゼステーク並の抵抗力がありつつもコンパクトにしたい、機能的なルックスが好み、という人には自信を持ってお勧めできるペグだと思います。
以上、購入の参考になれば幸いです。