真鍮カンブリアンランタンE.Thomas & WilliamsとJD Burfordを徹底比較!(前編)

今日は真鍮ランタンの代表である、カンブリアンランタン、別名マイナーズランプとして日本国内で売られている2大ブランド、E.Thomas & Williams(イートマースアンドウイリアムス)とJD Burford(ジェイディーバーフォード)のどちらが優れているか徹底比較していきたいと思います。

目次

カンブリアンランタンとは?

そもそもカンブリアンランタン(別名マイナーズランプ)って何?っていう方のために簡単に説明しておきましょう。

まずカンブリアとはイギリスの地名ウェールズの古い呼び名です。

で、ウェールズでは石炭の炭鉱がたくさんありまして、その炭鉱の中で使われたランプなので、カンブリアンランタンと呼ばれます。

ちなみに恐竜とか古生物が好きな人なら、気になったかもしれませんが「カンブリア紀」のネーミングも、最初にこのウェールズから岩石が発掘されたことから来てるそうですよ。

へー!腑に落ちてスッキリしますね!(私だけ?)

あと、採掘する鉱夫のことを英語でマイナー(Miner)と呼ぶので、別名マイナーズランプと呼ぶわけです。

天空の城ラピュタの中で、パズーとシータが地下を歩いてる時に持っていたランプも、マイナーズランプですよね。

これを見て欲しくなったって人多いんじゃないでしょうか。

と、ここまでは、調べるわりとすぐ出てくる話

私はもうちょい深く知りたかったのでイギリスの文献を調べてみました!

かなりマニアックな話ですので興味のある人は次の項目を見てみてください。

興味ない人はさらーっと飛ばして後編に進んで下さい。

ちなみに、ランプとかランタンとか呼び方を気分で変えてます。

前回の生地でも説明しましたが、あんまり厳密な定義はないようなので、気にしないでようにしましょう。

カンブリアンランタン誕生までの話

で、このカンブリアンランタンの特徴なんですが、

炭鉱の中でも可燃性ガスに引火せず安全に灯りを灯し続けられる、というのが他のランタンと決定的に違うところなんです。

炭鉱ってメタンガスとか可燃性ガスがよく出るので、ロウソクの火が引火すると爆発事故につながるんですね。

なのでそうならないように、火が外のガスに引火しない特殊構造のランプを作ったんですね。

なので当時の現場ではSafty Lamp(安全灯)の呼び名で呼ばれていたようです。

真鍮ランタンであることにも意味があり、岩にあたっても火花が出ないからという理由があります。

1815年頃から開発が始まり、いろんな科学者や発明家が、いくつものランプを開発改良し続けてました。

その後1920年頃には照明としては電灯に変わっていきますが、ガスを検知するためにマイナーズランプはしばらく使われ続けました。

なのでデザインも一定ではなくいろんなものが登場しました。

これが初期の初期のマイナーズランプ、1816年にハンフリー・デービーが作った通称デービーランプです。

出典:museumcrush

全部金網で囲われています。相当暗かったらしいです(そりゃそうだ)

まだ未熟な装置で、金網が錆びたりするとすぐに損傷して、ガスに引火する事故もあったそう。

お次は1839年のクラニー医師が作ったクラニーランプ。金網からガラスに置き換わり、明るさがだいぶアップしたようです。

出典:museumcrush

こちらがその図面。なんだか空気の流れだとか、いろんなことを研究して開発したんだろうな〜と言うのが見て取れますね。

こちらは1882年のフランスの鉱山技師マルソーさんが作ったマルソーランプ。だいぶ見慣れた形になってきましたね。

出典:museumcrush

以上はごく一部、他にもいろんなランプが開発されました。

ランプはガスに引火させないだけでなく、危険なガスが漂ってないかを検知する機能もありました。

ガスがあるとランプの炎の色が変わったり、炎の高さが変わってわかるそうです。

こちらはその検知力を高めたクロウズランプ

出典:museumcrush

水素ボンベが付いていてえらくゴツいですね・・・海底2万マイルとか、もう完全にスチームパンクの世界です。

E.Thomasは優秀だった

で、今回の主役の一つ、我らがエヴァントーマスのマイナーズランプの広告がこちら。

 

よく見るとクラニーランプを改良したと書いています。

安全灯(マイナーズランプ)コンテスト1位

いろんな発明家によってランプは色々作られても、構造に欠陥があり鉱山事故が多発するので、1884年イギリス政府は爆発原因を解明する王立委員会を立ち上げ、いろんな安全灯を検査しました。

その過程で、可燃性ガスに引火するメカニズムなども明らかになっていき、最終的に4つのランプが信頼できるとして選ばれました。

それがこれ

  • Gray’s Lamp
  • Evan Thomas No. 7
  • Marsuat
  • MeuselerBonneted

その中でもE.ThomasのNo.7が最も優秀だと結論付けられたそう。

でそのNo.7がこちら。経年劣化してるのか、私達が知ってるカンブリアンランタンより色あせて見えますが、これが防爆機能を実装した本物のE.Thomasのカンブリアンランタンですよ〜。

ばらした様子がこれ。金属メッシュが2つもあって複雑な構造ですね。バーナー周りもなんか違います。

ちなみに真鍮製のボディにも意味があって、真鍮は柔らかく、坑道内の岩とか硬いものに当たっても火花が出ないというメリットがあるようです。

1907年にエヴァン・トーマスさんと、同じく安全灯の権威であったルイス・N・ウイリアムズさんがE.Thomas & Williams Ltdをアバーデアというウェールズの町で立ち上げました。

のちのランタン1910年頃のE.Thomasの企業カタログに乗ってる製品がこれ。

9Fランプ。

簡単に蓋が開けられないロックがついてる以外は、今の製品に近いですね。

JD Burfordは歴史に登場しなかった

さてここまで見て来て、JD Burfordの名前が出てこなかったけどなんで??? と思われたかもしれません。

出典:ブッシュクラフト

そうなんです。調べたところ、じつはJDバーフォードは、歴史上マイナーズランプ開発を一切していません!

では何なのかというと、

ウェールズにある創業40年ほどの、金属加工や照明器具、キッチン用品を作っているフツーの会社です。

現代になってから、ご当地ウェールズの伝統製品として、カンブリアンランタンのレプリカを作っているだけです。

なのでランプ本体にも自分の会社名は一切入れず、MADE IN WALESと刻印されています。

うーん、E.Thomasに比べてJDバーフォードは自己アピールが足りないというか、情報がないなあと持っていたら、こんな事情だったとは・・・。

正直少し残念ですねえ。

前編まとめ キャンパーは歴史から何を考えるべきか

以上の歴史を踏まえ、我々キャンパーはE.ThomasとJD Burfordのランタンを比較をする上で、どう考えたらいいでしょう。

例えば以下のような思いが錯綜するかもしれません。

  1. JDバーフォードは本物じゃなくてレプリカだから却下
  2. E.Thomasだって今売ってるのはレプリカだからJDバーフォードでも別にいいじゃん
  3. 今はレプリカかもしれないけど、リーバイスのように歴史的なカンブリアンランタンメーカーのE.Thomasのランプを持ちたい
  4. そんな特殊な安全灯だったのなら、キャンプに使うのはそもそも間違いなんじゃ?オーバースペックでしょ
  5. 歴史なんてどうでもいい!俺はパズーのランプを使いたいだけなんだ

などいろいろあると思いますが、私は最終的には5番目のノリでいいんじゃないかなと思います(笑)

キャンプなんて所詮は遊びだし、ハイテクな現代にあえて不便なオイルランタンを使うのは、完全に雰囲気目的ですからね。

というわけで、後編は歴史的な背景はおいておき、キャンプで使う上で、どっちのランタンがいいのか比較していきます。

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この記事を書いた人

北海道の日本海を眺めながらアウトドアに関する情報を発信する「道産子アウトドア編集部」

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