スパイスコーヒーのひとつに、エキゾチックな香りが魅力のカルダモンコーヒーがあります。
カルダモンコーヒーは、トルコやサウジアラビア、アラブ首長国連邦などの中東で親しまれているコーヒーです。
日本ではコーヒーとスパイスの組み合わせが一般的ではないので、ご存じの方は少ないかもしれません。
そこで今回は、独特の甘い香りが特徴のカルダモンコーヒーについてご紹介します。
カルダモンの効果やカルダモンコーヒーのメリット、作り方もまとめました。
異国情緒あふれるカルダモンコーヒーで、いつもと違ったコーヒータイムを楽しんでみませんか。
カルダモンコーヒーとは?
カルダモンコーヒーとは、「ターキッシュコーヒー」「アラビックコーヒー」などと呼ばれるスパイスコーヒーの一種です。
トルコなどの中東をはじめ、スパイス天国として知られるインドやモロッコなどでカルダモン入りのコーヒーが親しまれています。
まず最初に、カルダモンとはどんなスパイスなのか見ていきましょう。
カルダモンはスパイスの一種
カルダモンはインド料理や中東料理、北欧料理などに欠かせないスパイスのひとつです。
カレーやシナモンロールなどの食べ物、香水などに使われており、特徴的な香りや経済的な重要性からスパイスの女王と呼ばれています。
香りの元になっているのは、2~3センチほどのさやの中にある黒い種子です。
飲み物や食べ物の種類によりさやごと使うこともありますが、コーヒーの場合は一般的に乾燥させた種子を使います。
カルダモンは南インド原産のショウガ科の植物で、主な生産国はインドとグアテマラです。
世界の半分以上のカルダモンを消費しているのはインドとサウジアラビアですが、国民ひとりあたりの消費量がダントツで多いのはサウジアラビア。
サウジアラビアでは30~60%のカルダモンを含むコーヒーを飲む習慣があるので、消費量が多いのだそうです。
カルダモンコーヒーの特徴は独特の「香り」
カルダモンの香りは、簡単に「○○のような香り」と言い表せないほど複雑です。
しょうがのようなツンとした清涼感とレモンのような柑橘系の甘い香り、虫よけで知られる樟脳の香りをミックスしたような香り、というと想像できるでしょうか。
カルダモンが複雑で独特な香りをしているのは、さまざまな香り成分を含んでいるためです。
主な香り成分は、ユーカリの香りの主成分である「シネオール」や、ライラックに似た香り成分「テルピネオール」で、精神を落ち着かせる効果があるといわれています。
このほかの香り成分は、柑橘系の香り成分「リモネン」やフローラル調の「リナロール」、ベルガモット調の「酢酸リナリル」「酢酸テルピニル」などです。
それぞれの香りが絡み合い、カルダモンの上品でエキゾチックな香りを作り出しているのですね。
カルダモンの効果・効能
カルダモンにはさまざまな有機化合物が含まれており、多くの健康効果があることがわかっています。
カルダモンの主な効果・効能は次の6つです。
- 消化促進
- 口臭予防
- リラックス効果
- 抗炎症作用
- 呼吸器系の不調改善
- 発汗作用
カルダモンは、インドでは古くから生薬やスパイスとして、古代エジプトではミイラ作りに、古代バビロニア帝国では毒消しとして使われていたそうです。
また日本語ではショウズクといい、生薬として用いられています。
ここではカルダモンの6つの健康効果について見ていきましょう。
消化促進
カルダモンには、消化を促進して胃腸の働きを助ける作用があります。
胃液や唾液の分泌を促すため、胃もたれや吐き気、消化不良、食欲不振、腸内にたまったガスによるお腹の張りなどの改善に効果的です。
また独特の香りにより胃の機能を促進させる作用「芳香性健胃」があり、漢方薬などにも用いられています。
口臭予防
カルダモンの香り成分「シネオール」には消臭作用があり、口臭予防に効果的です。
シネオールは口臭ケアアイテムにも含まれている成分で、にんにくを使った料理やお酒による口の匂いを防ぐことができます。
またシネオールには抗菌・殺菌作用もあるため、虫歯の予防効果も期待できるそうです。
リラックス効果
カルダモンの香りにはリラックス効果があることがわかっています。
イライラした気持ちを落ち着かせる、不安を鎮めるといった働きがあり、精神面のストレス軽減に効果的です。
気持ちが落ち着いて緊張がゆるむことから、疲労回復の効果も期待できるでしょう。
また、精神を落ち着かせる成分「テルピネオール」には、脳の作動記憶を司る部分を活性化させる作用があるそうです。
テルピネオールにまつわる実験を行ったファンケルでは、認知症の予防効果の可能性があると発表しています。
抗炎症作用
カルダモンの香り成分には、抗炎症作用や抗菌作用、抗酸化作用、抗ウィルス作用、免疫調節作用があります。
抗酸化作用に優れており、ビタミンやミネラルをバランスよく含むことから、美肌効果も期待できるといえるでしょう。
呼吸器系の不調改善
カルダモンはのどの痛みや咳、たん、鼻詰まりといった呼吸器系の不調改善に効果的です。
香り成分のシネオールによる抗炎症作用や去痰作用、テルピネオールによる抗炎症作用、喘息を鎮める作用などが関係しているといわれています。
インドの伝統医学アーユルヴェーダでもうがい薬などにカルダモンを使っており、風邪やインフルエンザ、花粉症の症状緩和に効果が期待できるスパイスです。
発汗作用
カルダモンには発汗作用があり、体温調節に効果的です。
発汗作用は、シネオールやリモネンの血液循環促進作用によるものと考えられています。
熱い地域では汗をかいて体温を下げるため、寒い地域では体を温めるためにカルダモンをとり入れているのかもしれませんね。
また脂肪燃焼を促す効果や、利尿作用によるむくみ解消効果も期待できることから、ダイエットにも効果的といえるでしょう。
ラットを使った実験では、お腹周りにつく脂肪が減ったという結果も出ています。
カルダモンコーヒーに期待できるメリット
さまざまな健康効果のあるカルダモンを入れたコーヒーには、次のようなメリットが期待できます。
- 口臭予防
- リラックス効果
- 消化促進効果
- カフェインの毒性を中和する効果
ここでは、エキゾチックな香りを楽しめるカルダモンコーヒーのメリットについて見ていきましょう。
口臭予防
カルダモンコーヒーを飲むことで、口臭予防や口臭改善効果が期待できます。
カルダモンには消臭・抗菌作用があるので、においの気になる食事のあとやお酒を飲んだあとに飲んでみてはいかがでしょうか。
コーヒーを飲んだあとは口臭が強くなりがちなので、カルダモンはコーヒーと相性のよいスパイスといえるでしょう。
リラックス効果
カルダモンコーヒーには高いリラックス効果が期待できます。
カルダモンとコーヒーにはそれぞれリラックス作用があるため、気持ちを落ち着かせたいときにおすすめです。
消化促進効果
食後に飲むカルダモンコーヒーには、胃酸の分泌を促して消化を助ける効果が期待できます。
食後の胸やけや胃もたれが気になる方は、カルダモンコーヒーを試してみるとよいでしょう。
ただし、空腹時に飲むと胃が荒れてしまう可能性があるため、食後に飲むことをおすすめします。
カフェインの毒性を中和する効果
カルダモンにはカフェインの毒性を中和する効果があるといわれています。
カルダモンは毒に対する耐性が強く、毒殺を恐れていた古代の権力者たちは、カルダモンなどのスパイスを調合した解毒剤を常用していたそうです。
カフェインによる影響が気になる方は、コーヒーにカルダモンを加えてみるとよいでしょう。
カルダモンコーヒーの作り方
最後に、カルダモンコーヒーの作り方をご紹介します。
カルダモンはホール状のものとパウダー状のものがあるので、それぞれの作り方をまとめました。
また、カルダモンには「グリーンカルダモン」と「ブラウンカルダモン(ワイルドカルダモン・ビッグカルダモン)」の2種類があります。
ブラウンカルダモンは香りが強くえぐみもあるので、コーヒーに使う場合はグリーンカルダモンがおすすめです。
カルダモンホールを使う
カルダモンホールは、種子をさやごと乾燥させた状態です。
ホールを使う場合は、まずさやから黒い種子を取り出しましょう。
種子に割れ目をいれるかつぶしてから使うと、香りを強く出すことができます。
コーヒー1杯あたり種子1~3粒が目安ですが、お好みに応じて調節してください。
カルダモンの種子を直接入れる方法
ふだん通りに抽出したコーヒーに、カルダモンの種子を入れます。
香りがお好みの強さになったところで種子を取り出しましょう。
カルダモンホールを煮出す方法
鍋にコーヒーの分量の水とカルダモンのさや・種子を入れて、沸騰させます。
そのお湯を使ってコーヒーを抽出すればカルダモンコーヒーの完成です。
カルダモンの種子をコーヒー粉に入れてドリップする方法
コーヒー粉にカルダモンの種子を入れて、ふだんどおりにドリップします。
1杯あたり種子1~3粒を目安にしてみてください。
カルダモンパウダーを使う
カルダモンパウダーは種子をすりつぶした状態です。
パウダーを使う場合は、抽出したコーヒーに振りかけるか、コーヒー粉に混ぜて抽出しましょう。
ホール状のものより香りが強くなりやすいので、コーヒー1杯に1~2振り程度を目安にして、お好みで調節してください。
インスタントコーヒーを使っても美味しいカルダモンコーヒーになります。
カルダモンコーヒーのスッキリとした香りでリフレッシュしよう
カルダモンコーヒーは、甘く爽やかな独特の香りが魅力のスパイスコーヒーです。
エキゾチックな香りを楽しみながら、口臭予防や消化促進、リラックス効果などが期待できますよ。
カルダモンコーヒーを飲める喫茶店やカフェを探すのは難しいかもしれませんが、カルダモンホールやパウダーを使えば簡単に作ることができます。
スッキリとした香りのカルダモンコーヒーでリフレッシュしてみませんか。