今回はテフロン加工、フッ素加工、スリップ加工を施したメスティン 3種類を用意し、その効果を徹底比較&検証いたします。
合わせて、それぞれの加工のメリット・デメリットも紹介いたします。
「メスティンの焦げ付きで悩んでいる…」
「くっつかないメスティンが欲しい…」
そんな方は是非、今回の記事を参考にしてください。
テフロン、フッ素、スリップ加工とは?それぞれ詳しく解説!
まずは、今回の検証に使うテフロン、フッ素、スリップ加工をそれぞれ解説いたします。
実際にメスティンに加工を施した様子も合わせて紹介いたします。
テフロン(フッ素樹脂)加工とは?
焦げ付き防止で一番初めに思いつくのが「テフロン加工」です。
テフロン加工とは「フッ素樹脂加工の一部」で、デュポン社が持つ登録商標を指します。
フッ素樹脂には様々な種類がありますが、共通して「非粘着性(くっつきにくい)」や「耐摩擦性(滑りやすい)」等の性質を持っています。
コチラがメスティン に「テフロン加工」を施したものです。
黒色で、フライパンでよく見られる、おなじみのカラーをしています。
テフロンは離型性(こびり付きにくさ)が高く、日常的に多く使用されています。
しかし、メスティンにテフロン加工を行うことはあまりおすすめできません。
それは、テフロン加工を施す過程で、メスティンに大きな問題が起こるためです。
その問題とは、軽く力を入れて握ると、写真のように弱い力でもベッコリと凹んでしまうのです。
これはメスティンの材料のアルミニウムの「焼きなまし」という現象によるもので、アルミニウムが柔らかくなってしまうのです。
テフロン加工を施す際に、高温でテフロンを焼き付ける工程があるのですが、その熱が原因で焼きなましが必ず起こってしまいます。
薄い生のアルミニウムでできているメスティンはテフロン加工との相性が悪いのです。
蓋をはめて見ると、本体に歪みが発生し、機密性が低下したり、開け閉めが難しくなります。
扱い方によっては、簡単に本体の裏に凹みができてしまうほど、強度が低下してしまうのです。
また、フッ素樹脂(テフロン)は260℃を超えると有毒なガスが発生すると言われています。
通常調理時の器具温度は 150~190℃程度なので、普通に使用していれば問題無いのですが、長時間空焚きをすると有毒ガスが発生してしまうというデメリットを抱えています。
離型性(こびり付きにくさ)は非常に優れているのですが、メスティンにテフロン加工をする場合は強度が低下するため、あまりおすすめいたしません。
フッ素加工とは?
「フッ素加工」とは先ほど紹介したフッ素樹脂加工のことを指す場合もあるのですが、今回は「水溶性のフッ素コート材でコーティングすること」とします。
写真のフッ素革命11 lightのような、水溶性のフッ素を吹き付けて、固着させることで、誰でも簡単にこびり付きにくい加工を施すことができるという商品です。
コチラが、フッ素革命11 lightを使用して、フッ素加工を施したメスティンです。
見た目は通常のメスティンとほとんど変化はなく、やや光沢が増す程度です。
加工方法はメスティンに水溶性フッ素を吹きかけて、よく伸ばし、温めて固着させるだけです。
テフロン加工と比較して、誰でも簡単に加工を行うことができるというメリット持っています。
一方、フッ素樹脂加工やテフロン加工と比較すると「こびり付き防止効果は低い」というデメリットを持っています。
その効果については記事の後半の検証で紹介いたします。
また、「効果の持続期間が短い」というデメリットもあり、数回使用しただけで効果はほとんどなくなってしまうというデメリットを抱えています。
フッ素コーティング加工に関する詳しい記事は下記のリンクをご覧ください↓↓↓
スリップ加工とは?
シルバーメタリックのカラーが特徴的なのが「スリップ加工」です。
こちらもテフロンと同様に離型性(こびり付きにくさ)が高い加工となっています。
大きな特徴はテフロンよりも焼き付けの温度が低いため、焼きなましが少なく、本体の強度がほとんど変化しないという点です。
力を入れて握っても、メスティンが凹みやすいということはありません。
また、耐熱温度も300℃とテフロンよりも高い耐熱性を持っています。
デメリットとしては一般の方がこの加工を行える場所はほとんどないため、加工のハードルが高いという点です。
メリット・デメリットまとめ
加工名 | メリット | デメリット |
テフロン加工 | ・離型性(こびり付きにくさ)が高い | ・焼きなましが起こる ・260℃を超えると有毒ガスが発生する ・加工料金が高い |
フッ素加工 | ・誰でも簡単に加工ができる | ・離型性(こびり付きにくさ)が低く、持続時間が短い |
スリップ加工 | ・離型性(こびり付きにくさ)が高い ・焼きなましがほとんど起こらない | ・一般の方が加工を行える場所が少ない ・加工料金が高い |
メスティンにテフロン加工は自作(DIY)できる?
メスティンにテフロン加工を自作(DIY)できるのか?と考える方も多いと思います。
結論としては「現実的に非常に難しい(ほぼできない)」と言えます。
テフロン加工の工程は以下の通りで行われます。
①脱脂 | 製品に付着している油脂などを洗浄剤、または空焼きをし取 り除く。空焼きは380〜450℃で行われるため、メスティンの焼きなましの要因ともなります。 |
②下地処理 | 素材との密着性を高めるため、アルミナ粉等を用いてブラスト処理をします。表面をざらざらにすることで密着性を高めます。 |
③コーティング | テフロンの樹脂を吹き付け、コーティングを行います。 |
④乾燥・焼成 | 焼成炉を用いて乾燥・本焼成を行い、樹脂を固着させます。 こちらもメスティンの焼きなましの原因となります。 |
このように、テフロン加工を行うには多くの機械や技術が必要で、個人が行うのは現実的ではありません。
また、先ほど紹介したように水溶性のフッ素コーティングを用いての加工であれば個人で行うことができますが、効果や持続性はテフロン加工には及びません。
メスティンにテフロン加工を業者にお願いした際の価格は!?
メスティンにテフロン加工を行う際の価格の目安は本体内側2000円前後、フタの内側1700円前後となっており、合計で3700〜4000円前後かかります。
さらに、送料もかかるため業者にテフロン加工をお願いすると5000円以上かかってしまいます。
テフロンの効果は素晴らしいですが、メスティンの強度が落ち、価格も高価なためあまりおすすめできません。
メスティン にテフロン、フッ素、スリップ加工を施し、効果を比較してみた!
次に、先ほど紹介した3つの加工の効果をそれぞれ検証してみたいと思います。
今回の検証はそれぞれの加工で目玉焼きを焼き、その剥がれやすさをみることで離型性(こびり付きにくさ)の高さを評価したいと思います。
メスティンに卵を入れてから火を着け、2分後に取り出し、焦げ付き具合を判定します。
テフロン加工メスティン
テフロン加工を行ったメスティンの結果は上の通りです。
こびり付きもなく、フライ返しもスルッと入りこみました。
離型性(こびり付きにくさ)も高く、テフロン加工の力を実感することができました。
フッ素加工メスティン
フッ素加工を行ったメスティンの結果は上の通りです。
こびり付きが多く、目玉焼きを綺麗に剥がすことができませんでした。
テフロンと比較すると、水溶性のフッ素による加工は効果が薄いことがわかりました。
メスティンの焦げ付き防止対策としてはあまりおすすめの方法ではありません。
スリップ加工メスティン
スリップ加工を行ったメスティンの結果は上の通りです。
テフロン加工と同様に、こびり付きもほとんどなく、スルッと持ち上げることができました。
スリップ加工も非常に離型製(こびり付きにくさ)が高いことがわかりました。
比較結果まとめ
3つのメスティンの検証結果は上の通りとなりました。
画像から、テフロンとスリップ加工は離型性(こびり付きにくさ)が高く、フッ素加工はあまり効果が見られないことがわかりました。
こびり付きが多いとお皿に盛るときに崩れてしまい、見た目も良くありません。
こびり付きを防止することは、使いやすくなるだけでなく、料理の仕上がりを綺麗にしたり、洗い物の手間を軽減するというメリットがあることがわかりました。
テフロン、フッ素、スリップ加工の特徴まとめ
加工名 | テフロン加工 | フッ素加工 | スリップ加工 |
離型性(こびり付きにくさ) | 高い | 低い | 高い |
本体強度の低下 | 有り | 無し | ほとんど無し |
効果持続時間 | 長い | 短い | 長い |
色の変化 | ダークメタリック | 無し | シルバーメタリック |
加工のハードル | 高い | 低い | 高い |
加工費用 | 4000円〜 | 2600〜4200円 | 4000円〜 |
これらの結果を比較するとスリップ加工は焼きなましによる本体強度の低下も起こらず、離型性(くっつきにくさ)も高いためメスティンの加工に適していることがわかります。
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【まとめ】メスティンの焦げ付き防止にテフロンやフッ素コーティング加工はおすすめできない!スリップ加工がおすすめ
以上、今回はメスティンにテフロン、フッ素コーティング、スリップ加工を施し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説いたしました。
また、実際に目玉焼きを焼いて、その効果を検証いたしました。
これらの結果から、メスティンにはテフロンやフッ素コーティング加工はあまりおすすめできないことがわかっていただけたと思います。
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