アウトドアシーンにも様々な新技術が導入され、かつては見られなかった最新キャンプギアというのも登場しています。
しかし、昔から変えず多くのキャンパーから愛されてきたモノがあるのも、また事実。
中でも「ハリケーンランタン」と呼ばれるオイルランタンは、100年以上の歴史があり、ほとんどその形を変えていません。
今回はそんなハリケーンランタンの魅力を中心に、オイルランタンの選び方や使い方、さらには明るさを保つ秘訣とおすすめの製品まで一挙ご紹介します。
キャンプサイトをロマンチックに彩るオイルランタンの世界を、どうぞ垣間見てください。
ハリケーンランタンの魅力とは?メリット・デメリットを紹介
100年以上も昔から愛され続ける「ハリケーンランタン」。
その魅力はどこにあるのでしょう?
まずはメリット・デメリットとともに、その魅力を知ってください。
ハリケーンランタンとは?
ハリケーンランタンとは、オイルを利用したランタン(持ち運びのできるランプの総称)です。
その語源とされている説は2つ。
ハリケーン(台風)でも消えないほど、高い防風性能を持つからという説と、温められた空気が両サイドに設けられたパイプの中を通って、ランタン全体を巡回する構造がハリケーンの渦のようだからという説です。
もっとも、多くのキャンパーたちにとっては「ハリケーンでも消えない」という説のほうが、経験上も実感できる説ではないでしょうか。
それほど防風性は高く、アウトドアでの利用でも風で消えるということはほとんどありません。
ハリケーンランタンの構造
ハリケーンランタンと呼ばれるランタンの多くは、中心部に炎を覆う「ホヤ(ガラスの風防)」があり、両脇に取っ手のようなパイプが付いています。
②上端のキャップ部分から取り入れられた外気が、放出される温められた空気と交換で取り入れられる
③温められた空気と冷たい外気が両端のパイプを通り、混合機となって燃料タンクに送り込まれる
④燃料が芯によって吸い込まれやすくなる
このような構造で、点灯中は常にランタン全体を空気が循環しているのです。
ハリケーンランタンの燃料
ハリケーンランタンの燃料は主に2つ。灯油か専用オイルです。
それぞれの特徴は以下の通り。
灯油:入手のしやすさとコスパは最強。ただし若干ススが出るためランタンの手入れが大変。灯油特有の臭いもある(1Lあたり100円強)
専用オイル:パラフィンオイルと呼ばれるロウを液状化したオイル。無臭で煙もススも出ないが、金額は高い(1Lボトル1,000円以上)
アウトドア好きな男性のソロキャンパーなら灯油を使うのも良いですが、初心者やランタンの手入れが苦手な方、小さなお子さんや臭いに敏感な方がいる場合は、専門店で入手できるパラフィンオイルを使用するのが無難でしょう。
また、夏キャンプでは防虫ハーブ成分の入った「虫よけオイル」と呼ばれる製品もおすすめです。
オイルランタンに関する記事は以下をご覧下さい↓↓↓
ハリケーンランタンのメリット
ハリケーンランタンのメリットといえば、それはまずデザインと雰囲気が魅力的なことです。
オイルと芯が物理的に燃えた炎がハリケーンランタンの光源。つまり、灯りとしてはけして明るくサイト全体を照れしてくれるライトとはなりません。
しかし、近年焚き火が人気なように、実物の炎というモノは人の心を癒やしてくれます。
明るくないとはいっても、テーブル上やその近辺に置いて料理の手元を照らす灯りとしては、なんの問題もありません。
むしろ炎のゆらぎがもたらす暖かな灯りは、キャンプサイトをロマンチックに彩ってくれます。
その他にも次のような多くのメリットがあるのがハリケーンランタンです。
②音が静か:ただ炎が燃えているだけなのでほぼ無音
③価格が安い:有名ブランドのものでも数千円で手に入る
④経済的:燃料の消費量が少なく、灯油であれば一晩10円もかからない
⑤燃焼時間が長い:燃料消費が少ないということは、それだけ長く点灯可能で連泊でも安心
⑥扱いがかんたん:燃料を入れて火をつけるだけという、燃料式ランタンの中ではトップクラスに取り扱いが楽
ハリケーンランタンのデメリット
暖かなゆらぎでキャンプサイトを照らすハリケーンランタンですが、その灯りは最大のメリットであり最大のデメリットです。
マントルの燃焼を利用したガソリンやガス燃料のランタン(オイルランタンも一部マントル利用のモノはあります)、昨今人気のLEDランタンと比較しても、その照度は段違いに低いもの。
はじめてキャンプを体験する人などは、その暗さに戸惑うこともあるかもしれません。
ファミリーやグループでのキャンプの場合、メインランタンとして使うにはいささか心もとない明るさです。
この場合はサイト全体を照らす照度の高いランタンを設置した上で、テーブル上で手元を照らす「インテリアランプ」のような使い方をしたほうが良いかもしれません。
「明るくない」という使い方によっては致命的な弱点の他に、考えられるデメリットとしては次のようなモノが考えられます。
②熱を持つ:炎が燃えているため熱を発するため、やけどに注意すると同時に、夏場は近くにあるとやや暑く感じる
③取り扱いに注意が必要:ガラス製のホヤが割れると燃焼が安定せず、防風性も皆無となる
ハリケーンランタンの選び方
ハリケーンランタンといえば、ドイツのフェアーハンドとニューヨークのデイツが有名です。
しかし、ハリケーンランタンが人気になるとともに、最近では各社からさまざまな製品が発売されるようになりました。
ここではハリケーンランタンの選び方をご紹介します。
明るさ
ハリケーンランタンの明るさは、芯の太さで決まります。
芯は一部丸芯や巻き芯も使われますが、ほとんどのハリケーンランタンは平芯がメイン。
芯幅が広ければより明るくなります。
4分芯(12mm):一般的なランタンに使用、やや暗め
5分芯(15mm):一般的なランタンに使用、やや明るめ
7分芯(21mm):大型ランタンに使用、読書灯としても使える明るさ
また、芯を長く出せばその分明るくはなりますが、不完全燃焼をおこしススが出やすくなりますので注意してください。
燃焼時間
芯が太ければ太いほど明るくなりますが、その分消費燃料も増えるため燃焼時間は短くなります。
燃焼時間は芯の太さと燃料タンクの大きさで決まりますので、両方のバランスを見てください。
20時間ほどの燃焼時間が設定された製品なら、冬場の1泊、夏場の2泊程度なら燃料補給は最初の1回だけで済むでしょう。
デザイン
ハリケーンランタンのデザインは、両脇のパイプの角度や取り付け方など、メーカーによって微妙な違いがあります。
そうしたデザインの違いや色と質感で選ぶのも、ハリケーンランタン選びの醍醐味です。
キャンプにおすすめのハリケーンランタン6選!
FEUERHAND(フュアーハンド)ベイビースペシャル276(ドイツ)
1902年にドイツで生まれた伝統的ランタンメーカーのフェアハンド。
中でも日本でも有名なスタンダードモデルがベイビースペシャルです。
100年以上経った今も基本デザインはほとんど変わらず、雨風の中でもサイトを照らし続けています。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:幅約15cm、高さ約26cm
- 重量:約430g
- 燃焼時間:20時間以上
- 芯の種類:専用芯(4分芯)
Dietz(デイツ)リトルウィザード30(アメリカ)
1840年ニューヨーク州ブルックリンで、照明器具メーカーとして創業したR.F.DIETZ。
創業から現在まで、ハリケーンランタンの製造を続けており、先駆的な技術開発で数々の賞や特許を取得しています。
手頃な価格でありながら良質で信頼性の高いと評判で、日本でも高い人気のランタンです。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:幅約18cm、高さ約30cm
- 重量:約650g
- 燃焼時間:約23時間
- 芯の種類:5分芯(15mm)
Petromax(ペトロマックス)ストームランタンHL-1(ドイツ)
加圧式ランタンで有名なペトロマックス製のハリケーンランタン。
当時は加圧式ランタンが主流で、今のようにハリケーンランタンが人気がなかったという理由ですでに製造中止になっており、その価格が高騰しています。
しかし、古き良き形を愛するファンの声に後押しされての再販が望まれる一品です。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:幅約14cm、高さ約21cm
- 重量:約460g
- 燃焼時間:最大20時間
- 芯の種類:4分芯(12mm)
HOLMEGAARD(ホルムガード)ハリケーンランタン(デンマーク)
ハリケーンランタンという商品名で風にも強い製品ですが、その構造は単純燃焼式ランタンと言えるでしょう。
しかし、デンマーク王室ご用達ブランドのホルムガードが作り出した美しい吹きガラス製のホヤは、耐衝撃性・耐熱性を兼ね備えたまさにアウトドア専用に開発されています。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:高さ約33cm
- 重量:約460g
- 燃焼時間:最大5,000時間
- 芯の種類:グラスファイバー製丸芯
カメヤマキャンドルハウス オイルランタン(日本)
1927年創業のローソク製造メーカー、カメヤマ株式会社のインテリア雑貨・ブライダル部門が製造するアウトドア用ランタン。
タンク容量が20mlと小さめなため燃焼時間は短いが、サイズと価格が手頃なため最近では人気を集めています。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:幅約15cm、高さ約27cm
- 重量:約340g
- 燃焼時間:約6時間
- 芯の種類:4分芯(12mm)
CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ)オイルランタン小(日本)
高品質ながら手頃な価格でオールジャンルのキャンプ用品を展開するキャプテンスタッグ。
そのラインナップの中にハリケーンランタンは以前から存在していましたが、近年のブームにのって小サイズが発売されました。
大・中・小と揃う中でも、小サイズで4色展開されたランタンはなかなかお目にかかれません。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:幅約12cm、高さ約19cm
- 重量:約250g
- 燃焼時間:約10時間
- 芯の種類:3分芯(9mm)
ハリケーンランタン以外のオイルランタン3選!
灯油、もしくはパラフィンオイルと使ったランタンは、ハリケーンランタン以外にもさまざまな機能・形状を持ったものの存在します。
ここでは、そんなハリケーンランタン以外のオイルランタンの種類別特徴を、おすすめ銘柄とともにご紹介します。
単純燃焼式オイルランタン
キャンドルのロウの代わりをオイルタンクが果たし、ゆらゆらと揺らめく炎が美しい単純燃焼式のオイルランタンです。
特徴
ハリケーンランタンのように特別な機能を持たない分、形状は自由にデザインできます。
また、燃焼に空気の力を必要とせず、燃焼時間が長いのも特徴のひとつ。
反面、明るさは一般的なキャンドルとさほど変わらず、料理の灯りなどに使うにはいささか心もとないのが現状です。
単純燃焼式オイルランタンのおすすめ銘柄/マイナーズランプ(L)
石炭鉱業時代にキャンドルの炎による引火爆発事故を防ぐために生まれた、マイナーズランプ(坑夫のランプ)と呼ばれるランタン。
イギリスJD Burford(JDバーフォード)製のマイナーズランプは、機能を厳選することでアンティークのような美しさながら、お求めやすい価格を実現しました。
- 燃料:パラフィンオイル
- サイズ:幅約9cm、高さ約22.5cm
- 重量:約980g
- 燃焼時間:約5時間
- 燃焼体:専用丸芯
加圧式オイルランタン
ハリケーンランタンが今のように流行する前は、ガソリンランタンの多くに見られるように、オイルランタンでも一時期は加圧式ランタンが主流でした。
特徴
オイルの入ったタンクに、「ポンピング」と呼ばれる加圧作業を行うことで燃料を強制噴射。
それをガラス繊維製の「マントル」を燃焼体とすることで、ハリケーンランタンや単純燃焼式では実現不可能な、高輝度の明るさが魅力です。
ただし、初心者には多少扱いづらいのが難点なため、使用時には取り扱い方法をしっかり確認するようにしてください。
加圧式オイルランタンのおすすめ銘柄/ペトロマックスHK500
加圧式オイルランタンの中でももっとも有名で人気の高い、ドイツのペトロマックス社のレトロな風合いのランタン。
400w相当の明るさを持っているため、グループキャンプのメインの灯りとしても十分な光量が確保できるでしょう。
最近はドイツ製だけでなく、中国工場で生産されたロットも出回っています。
- 燃料:灯油、パラフィンオイル
- サイズ:幅約17cm、高さ約40cm
- 重量:約980g
- 燃焼時間:約8時間
- 燃焼体:専用マントル
テーブル型オイルランタン
もともとは食卓などのアクセントとして使うことを想定して作られたインテリアランタンです。
特徴
形状に機能的な規制が少ないため、自由なデザイン性で作られた製品が数多く存在します。
カップルでおしゃれなキャンプリビングを作りたい時など、抜群の演出をしてくれることは間違いありません。
しかし、アウトドアでの使用を念頭に作られた製品では無いため、特に運搬時などには十分ん注意が必要です。
テーブルランタンのおすすめ銘柄/スタガー
花型のガラスが特徴的な、ポーランドのオイルランプメーカースタガー社のクラシック・アンティーク・シリーズ。
インテリアランプとしては美しいデザインですが、ホヤとオイルタンク共にガラス製品のため、アウトドアでの利用には十分な注意が必要です。
- 燃料:パラフィンオイル
- サイズ:幅約6cm、高さ約13cm
- 重量:約154g
- 燃焼時間:約10時間
- 燃焼体:専用丸芯
オイルランタンでキャンプをよりオシャレに楽しみましょう!
ソロキャンプで焚き火をしながらのんびりとした時間を過ごしたいなど、絶妙な明るさでサイトを照らし、没入感のあるキャンプを楽しみたい時には必須のアイテムであるオイルランタン。
特にハリケーンランタンはその雰囲気と取扱のかんたんさから、ソロキャンパーを中心に近年絶大な人気を誇っています。
その分、プレミア価格が付いてしまった製品も数多く見かけますが、定価販売の商品を見かければ儲けものです。
揺れる炎がリラクゼーション効果ももたらす、ロマンチックなオイルランタンの灯りで、キャンプサイトをおしゃれに彩ってみませんか?