新品のメスティンにシーズニングは必要?やる意味と手順を紹介

最近のキャンプシーンで大人気のクッカーといえば「メスティン」ではないでしょうか。
メスティンといえば、スウェーデンのポータブルストーブメーカー「トランギア」の角型飯盒だと思っている方も多いようですが、本当の意味は固有の商品名ではなく「アルミ製の角型飯盒」をさす総称です。
今では国産も含め数多くのメーカー、ブランドから発売されているメスティンですが、一部の製品は使用前に「シーズニング」という工程が必要なことはごぞんじでしょうか。
本記事では、メスティンのシーズニングの意味とその手順をご紹介します。
また、シーズニングが必要のないメスティンも同時にご紹介しますので、おいしいキャンプご飯を味わうヒントにしてください。

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目次

メスティンのシーズニングは「できれば」やったほうがよい

キャンプ用品のシーズニングといえば、鋳鉄製のダッチオーブンやスキレットを思い浮かべる人も多いかもしれません。
出荷時にメーカー側でプレシーズニングがされていない鋳鉄製品は、サビや焦げ付き防止のために購入者がシーズニングを行わなければなりませんが、アルミ製のメスティンの場合シーズニングをしなければ使用できないのでしょうか?
答えとしては、メスティンのシーズニングに関しては「できれば」やったほうがよいという程度とはいえます。
本来シーズニングとは「慣らし」といった意味を持つ言葉です(別の意味で調味料という意味もあります)。
鉄製品の場合、使用前に油の薄い塗膜を作るという慣らしの工程が(メーカー側にせよ購入者側にせよ)必須ですが、アルミ製メスティンの場合は「絶対にやらなければならない」というほど重要なものとはいい切れません。
では、それでもメスティンをシーズニングするメリットとは何なのでしょう?

メスティンをシーズニングするメリット

メスティンをシーズニングするメリットは主に次の3つです。
焦げ付き防止のため
アルミ臭を取り除くため
酸化を防ぐため
それぞれをかんたんに解説していきます。

焦げ付き防止

鋳鉄製品と同様、焦げ付きを防止するというのがシーズニングの第1目的となります。
画像はシーズニング済みのメスティンで白飯を炊いたあとの様子ですが、バーナーの炎が集中して当たる部分に一部焦げは見られますが、少し水につけたあと軽くスポンジでなでるだけでかんたんに落とすことができました。
特に目玉焼きを作るときなどは顕著ですが、シーズニングをしたメスティンはしていないメスティンに比べ明らかに焦げ具合に違いがあります。
また仮に焦げ付いたとしてもかんたんに水だけで落ちやすくなるというのがメリットです。

アルミ臭を取り除く

次に考えられるシーズニングのメリットとしては、アルミ独特の臭いを取り除くことです。
使い始めたばかりのアルミ製品は、どうしても独特の金属臭が残っています。
アルミの金属臭はそこまで強いものではありませんので、気にならない人も多いとは思いますが、プレーンな白飯を炊く場合やコーヒー用のお湯など香りを楽しむ場合などは、特に敏感な人でなくても気になることもあるでしょう。
シーズニングによってアルミ表面に薄い酸化皮膜を作れば、金属臭を抑えることができるのです。

酸化を防ぐ

本来アルミは空気中の酸素と結びつき、表面に薄い酸化被膜という膜を貼る特徴を持っています。しかしそれは極めて薄い被膜であるためとてもはがれやすいのです。
この被膜が焦げ付きを防止し、金属臭も抑えてはいるのですが、なによりアルミも水分中のミネラル成分と化学反応を起こす(酸化する)と黒く変色してしまいます。
メスティンにシーズニングを施すというのは、すべての大元となるこの「酸化現象」を防ぐということにつきるのです。

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メスティンのシーズニング手順

それでは、メスティンの具体的なシーズニング方法について、順を追って解説していきます。
なお、作業時にはヤケド等には十分に気をつけてください。

準備するもの

メスティンのシーズニング作業に必要なモノは次のとおりです。
メスティン
メスティンがすっぽり入る鍋
コンロ
米のとぎ汁(または米ひとつかみと水)
スポンジ
洗剤(画像なし)

メスティンのハンドルを外す

まずはお手持ちのメスティンからハンドル部分を外します。
外すときはあまりハンドル自体を広げすぎず、変形を防いでください。

メスティンを洗剤でよく洗う

メスティンの本体とフタを洗剤とスポンジを使ってよく洗います。これは、出荷時についた油分やホコリなどの汚れを取る作業です。
この際、鋭利なフチで手を切らないよう十分に注意してください。
洗ったあとは洗剤の臭いが残らないよう、念入りにすすぎと行います。

米のとぎ汁を用意する

次に、大きめの鍋にメスティンを入れ、米のとぎ汁をメスティン全体がすっぽり沈むまで満たします。
もしも米のとぎ汁がない場合でも、わざわざお米を研がなくても大丈夫。水と一緒にひとつかみの米を入れれば問題ありません。ただし、その際は無洗米ではなく普通の米を使うようにしてください。
ちなみに画像ではフタが鍋に収まっていませんが、この場合は別々に作業するか、途中で上下を入れ替えるなどして対応します。その際、ヤケドには十分注意してください。

米のとぎ汁でメスティンを煮る

コンロに点火しメスティンを米のとぎ汁で煮ます。おおよそ沸騰した状態から10~15分ほど煮ればOKです。
吹きこぼれには十分に注意して、煮終わったらそのまま粗熱(あらねつ)が取れるまで放置しておきます。

水洗いして乾かす

熱くなった鍋が十分に冷めたことを確認したら、流しで「水で」洗い流します。
生米を使用した場合はメスティン本体にこびりついている場合もあるかもれませんので、その際はスポンジを使って軽くこすり取ります。
ただし、洗剤を使うのはNGです。ここで洗剤を使うとせっかくついた酸化被膜がはがれてしまいますので、スポンジもよくゆすいで洗剤分が残っていないモノを使ってください。
水で洗い流したあとは、自然乾燥させればシーズニング作業は完了です。

米のとぎ汁以外に使用できるもの

米のとぎ汁をシーズニングに利用するのは、とぎ汁で表面に薄い膜を張ることで、空気とメスティンのアルミ素材が直接触れるのを防ぐためです。
つまり「空気とアルミの間」に薄い塗膜を張ることさえできれば、米のとぎ汁でなくても同様の効果を発揮できるはずですよね。
そのためにオススメなのが、タンニンという成分を利用する方法です。タンニン成分が薄い被膜を作り、米のとぎ汁と同様の効果をもたらします。
ここでは、2つの素材をご紹介します。

野菜くず

鋳鉄製ダッチオーブンのシーズニングでおなじみの「野菜くず」は、メスティンのシーズニングでも役立ちます。
鋳鉄製の場合は野菜くずに含まれる油分が鋳鉄の微細孔に入るよう炒めるのですが、アルミの場合は野菜くずに含まれるタンニン成分が被膜を作るよう、メスティンと一緒に並べて煮て利用します。
野菜くずの種類は何でも構いませんが、玉ねぎやセロリといった香味野菜のほうがオススメです。

お茶

タンニンといえばポリフェノールの一種です。そして、ポリフェノールといえば紅茶や緑茶に含まれているカテキン成分が有名ですね。
鍋でメスティンを煮る際に、紅茶や緑茶のパックを1つ水と一緒に放り込んで煮るだけで同様の効果が得られる分、米のとぎ汁や野菜くずよりは用意がしやすいかもしれません。
鉄製品のサビ止めを目的として使用されることの多いお茶のタンニンを利用したシーズニングですが、アルミでも同様の効果を発揮します。
ただし、10~15分煮終わったあとにそのまま冷めるまで放置しておくと、逆にお茶の色素沈着を起こす可能性もありますので、お茶を利用する場合は鍋が熱いうちに流水で洗い流してください。

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メスティンのシーズニング注意点

メスティンのシーズニング手順を一通り分かっていただいたところで、最後にシーズニングの注意点についてご紹介します。
以下で紹介することに注意しさえすれば、メスティンのシーズニングはそれほど難しい作業ではありません。

バリ取りが必要な製品に注意

メスティンのフチは薄く鋭利なものです。洗うときなどは指を切ったりしないよう十分に注意してください。
また、一部の製品には「バリ」と呼ばれるアルミ切断時の切り跡が残っていて、タオルなどの繊維が引っかかったり指を切りやすくなったりしているモノもありますので、十分な注意が必要です。
軽く指で触れてみて、ザラザラと引っかかる感覚がある場合は、シーズニング前にサンドペーパーで軽くこするなどの「バリ取り」作業を行ってください。

ハンドルのカバーはとぎ汁につけない

シーズニング前にハンドルは取り外すというのは前述しましたが、これは作業がしやすくなるという以外にも意味があります。
ハンドルカバーを米のとぎ汁やタンニンにつけると変色する可能性があり、またハンドル部とカバーのスキマに成分が入り込む可能性もあるからです。
また、鍋底にハンドルカバーがあたったまま加熱すると、熱により変形したり溶けたりしてしまう可能性もありますので、絶対にハンドルは外してから作業してください。

金属たわしを使わない

アルミは非常にやわらかい金属です。金属たわしに用いられているステンレスよりもやわらかいため、洗浄時に金属たわしを使うと表面がかんたんに傷ついてしまいます。
シーズニング作業のときだけでなく、通常でもメスティンには金属たわしは使わないということを習慣づけましょう。

シーズニングしたメスティンは洗剤で洗わない


一度シーズニングを行ったメスティンは、その後の使用時にも絶対に洗剤を使ってはいけません。
洗剤を使ってしまうと、せっかく張った酸化被膜がすべて取れてしまいますので、調理に使用したあとも洗剤で洗うことは控えてください。

効果が落ちてきたら再度シーズニングする

米のとぎ汁やその他の素材を使った場合でも、シーズニングで作られた被膜は非常に薄くもろいもので、何度か調理に使用しているだけでその効果は段々と薄れてきます。
「少し焦げつきが目立つようになった」など、シーズニングの効果が薄れてきたように感じたら、再度同じ手順でシーズニングをし直してください。

重曹の使用に注意

鉄製品の場合などは洗剤を使わない場合の洗浄時に、よく重曹を使うと紹介されていることもあるかもしれません。
しかし、メスティンの場合はアルミ製ですので、アルカリ性の重曹と反応して劣化してしまうといわれています。
メスティンの洗浄には重曹はNGです。

焦がしたメスティンは「お酢」を使う

それでもどうしても落ちない焦げ付きを落とす場合には、お酢を使うのがオススメです。
メスティンの中に水を張りそこに少量のお酢(水500ml:お酢大さじ3杯程度)を入れ、約20分ほど煮ます。
火を消したあと冷めるまでの間に割り箸などで焦げ部分をこそげ取るようにすると、お酢の効果により焦げがやわらかくなって落ちやすくなっています。
そのあとは洗剤とスポンジでよく洗い、再びシーズニングの処理を施してください。

シーズニングがいらないメスティンもある

出典:8A GARAGE PRODUCT 公式ショップ
シーズニングは新調したメスティンにとって「できればやったほうがいい」作業だとはご説明しましたが、中にはシーズニングが必要ないメスティンもあります。
ここではそんなシーズニング不要のメスティンについて、かんたんに解説します。

国産のメスティンはアルマイト加工されているものが多い

トランギアなど海外製メスティンは、特に出荷時の加工などされていない製品も多く、そうした製品ではシーズニングを行うほうが理想的です。
しかし、最近になって発売された特に国産メーカーの商品などは、あらかじめ「アルマイト加工」という人工的に酸化皮膜を作る処理がされている製品も多く、そうした製品ではシーズニングの必要はありません。
パッケージの製品概要欄などを見て「アルマイト加工」の文字がある製品は、シーズニングは不要です。

撥水・撥油効果のある特殊加工済みメスティン

テフロン加工(フッ素加工)やセラミック加工に代表される特殊加工されたメスティンは、単にアルマイト加工をして酸化防止処理を施したメスティンと比べてはるかに使い勝手がよいものです。
こうした一連の製品はサビや変色といった酸化を防ぐだけでなく、調理時に食材が焦げ付くのを防止する効果まで持っています。
特に特殊被膜加工に加え、表面に微細な凹凸ができるように処理された独自の「特殊スリップ加工」を施した【8A GARAGE】のスリップメスティンシリーズは、調理とメンテナンスのしやすさには目を見張るものがあります。

出典:CAMP HACKより引用加工
この画像はスリップメスティンと海外製T社(加工なし)、国産N社(アルマイト加工)のメスティンと目玉焼きを作って比較した様子ですが、明らかに焦げ付きの差が出ています。
自然保護の観点からもなるべくキャンプ場で洗剤を使わないということは、現代キャンプでは推奨される行為でもありますが、【8A GARAGE】のスリップメスティンであれば、洗剤の使用などごく最小限に抑えることができるでしょう。

 

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まとめ

ソロキャンプを中心に、今や日本のキャンプシーンでは大人気のアルミ製角型飯盒「メスティン」のシーズニングについて、行うメリットと手順、そして注意点について紹介してまいりました。
メスティンのシーズニングは必ずしもやる必要があるものではなく、また今はその必要がないメスティンも数多く販売されています。
ご自身のキャンプスタイルに合わせそうしたメスティンを選ぶことで、より快適なキャンプライフが送れることは間違いありません。
どうか本記事を参考に、おいしいキャンプご飯を楽しんでください。

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この記事を書いた人

多数のジャンル案件を手掛けるWebライター。

趣味のソロキャンプを活かしたアウトドア案件は特に得意とし、取材を兼ねた愛車のジムニーJA-11改でキャンプ場ワーケーションに出かけることも多い。

元飲食店主の経歴もあるためキャンプ飯にはこだわりたいタイプ。

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