ペトロマックスHK500のメンテナンス!ガスチャンバーとノズルはステンレス化するべき?

灯油ランタンのペトロマックスHK500のノズルの落下事故を防ぐため、ガスチャンバーとノズルをセラミック(陶器)からステレンレスにパーツ交換する様子をご紹介します。

”ステンレス化”のメリット&デメリットを検証していきます。

目次

ペトロマックスHK500のすごい困るアクシデント「ノズル落下現象」

機構が複雑でパーツ種類も多いペトロマックスHK500ですが、扱いが難しいという声もけっこうよく見聞きますよね。実際私も使っていて何度もアクシデントを経験してます。

プレヒート不足の炎上ももちろんありますが、まあそれはポンピング不足だからよいとして(よくないけど)

本当に困ったのがノズルの落下なんですよね。

ノズルが落下するとと言うことはマントルも落下して粉々になっちゃいます。そうするとマントルを付け直して空焼きしないといけません。最悪な場合はノズル自体が割れてしまいます。

キャンプの夕暮れ時に、早く明かりが欲しいのに、マントルの交換とか面倒なことしたくないですよね。

それにマントルって高価。キャンプ用品店では1つ330円、アマゾンなんて680円もしますから結構ツライです。

原因はノズルとガスチャンバーの熱膨張

ランタンの高温でパーツが熱膨張してスカスカになって落下してしまうんですね。

この写真のノズルは斜めに付いていますが、私のつけ方がガサツなためではありません。

もともと正常に付いていたノズルが、熱膨張でユルユルになってズレて、そのあと冷めて固定されてしまったんですね。

こうなるとノズルを回して外すこともできません。困ったものです。

で、この現象の原因はノズルなのか?ガスチャンバーなのか?

どちらの可能性もありますが、ノズルを新品に交換しても落下する場合は確実にガスチャンバーがダメになっていますので交換が必要です。

解決策 ノズルとガスチャンバーをステンレス製に交換する

調べてみるとペトロマックスHK500のノズルやガスチャンバーはセラミック(陶器)製です。そのためにこういう膨張現象が発生するとのことでした。

そして解決策を探したところステンレス製のパーツに交換すれば良いとのこと。

そしてじつはペトロマックスから純正のステンレス製のガスチャンバーが販売されています(じゃあ初めからステンレス製付けとけよっ!)

ステンレスノズルの方は「花信風」とかいう聞きなれないブランドから販売されています。

HK500のユーザーでステンレス製に交換している人はけっこういるようです。というわけで私もAmazonで購入してみました。

蛇足。じつはステンレスの方が熱膨張率が高いらしい・・・スルーすべし!

ところで本当にセラミックが熱膨張しやすいのか本当かどうか気になったので、熱膨張率を調べてみました。

下のグラフは膨張しやすい方が数値が高くなることを示しているのですが、

えっ ステンレスのほうがより熱膨張しやすいじゃん

熱膨張係数
出典:株式会社アピステ

グラフ中のSUS304とか SUS430というのはステレンスのことです。ステンレスはセラミックの倍以上も膨張しやすいことがわかりました。

この結果には首を傾げるばかりです、これでパーツをステンレス化する理由が崩壊してしまいますね・・・。

そこで私が導き出した仮説は以下の通りです。

ステンレスは熱伝導率が高いので、ガスチャンバーと同じくらいノズルも膨張する、結果スキマは空かないので落下しない。

ということで、自分を納得させステンレスパーツを購入することにしました。まあ壊れにくいのは絶対ステンレスですしね

セラミック製ガスチャンバーとステンレス製ガスチャンバーの比較

パーツがAmazonから届いたのでまずは見た目で比較してみます。

横から

左がこれまで使ってきたセラミックガスチャンバー。

右が新しく届いたステンレス製ガスチャンバー。

若干くびれのところの形状が違いますが、サイズはほぼ同じですね。

上から

ただ、持ってみると「元のガスチャンバーって本当にセラミック?重くね?」でした。

下から

ノズルは間違いなくセラミックっていう軽さなんですが、ガスチャンバーは思いのほか重い。この重さ=密度が熱膨張に関係しているのでは?と思いました。

セラミック製ノズルとステンレス製ノズルの比較

お次はノズルです。これは非常に違いがわかりやすいですね。

左がこれまで使ってきたセラミック製ノズルです。使い古してきたせいもあるのか、ネジ山が下の方がかなり消えかかっています。

横から

右のステンレス製ノズルはしっかりしており頼もしいですね。くびれもしっかりしておりマントルを縛り付ける作業がしやすそうです。

ひっくり返して

そして何より写真の見た目よりずっとどっしりしており、良質なステンレスの頑丈さを感じます。

一点気になるのはガスの噴出する穴がステンレスノズルは少ないし小さいこと。

上から

この写真を一部重ねてみるとこの通り

穴の大きさがセラミック製の半分くらいの大きさですね

これが明るさに影響しなければ良いのですが・・・。

ステンレスノズルがしっかりハマるのか

つぎにパーツがしっかりハマるのか確認しました。

結果は下記の通り。

セラミックガスチャンバー×セラミックノズル△ゆるいけどなんとか締まる
セラミックガスチャンバー×ステンレスノズル△ゆるいけどなんとか締まる
ステンレスガスチャンバー×セラミックノズル×途中までしか入らない
ステンレスガスチャンバー×ステンレスノズル◯しっかり締まる

使い古しのセラミックパーツはネジがユルユルでかろうじて固定されている感じです

検証の結果しっかり締まるのはステンレス同士の組み合わせのみ。

ステンレスガスチャンバーとセラミックノズルはまったく合わないことがわかりました。途中までしかはいりません!

ステンレスガスチャンバーを購入する人は、必然的にステンレスノズルを買う必要があります。

ちなみにステンレスガスチャンバーとランタン本体との固定も、しっかりしていて全く問題ありませんでしたのでご安心ください。

発熱時にしっかりハマるか検証

今度は熱膨張時にしっかりハマるか実験してみました。

ランタンを点灯して加熱された状態を再現するために、簡易的にパーツをガスコンロで炙ります。

その結果は先ほどと同じでした。しかし1つに気になったことがあります。

セラミックガスチャンバー×セラミックノズル つまりオリジナルの組み合わせの時にネジがひっかかって閉まりにくいという現象が発生しました。

ノズルのネジ山が膨張したのか、ガスチャンバーのネジ穴が膨張したのか、どちらに問題があるのかは不明ですが、セラミックパーツが熱で変形することはハッキリしました。

ステンレスの場合は締めやすさに全く変化はありませんでしたので安心して使えると思います。

ステンレスノズルの点火テスト

というわけでさっそくステンレスノズルで点火してみます。

特に問題なくつきました。

消灯後ノズルをみてもパーツの傾きは見られません。いい感じです。

ただし、ネジというものは熱したり冷ましたりするとどうしてもゆるみは生じますので、定期点検は必要と思われます。

消灯直後のガスチャンバーとノズル。高熱で赤く発光しています。ちょっと恐いけど大丈夫です。

HK500をステンレスノズル化すると明るさ変化するか

さて、先ほどのパーツの見た目比較で唯一気になった点、ステンレスノズルのガス穴が少ない(小さい)ので明るさが落ちるのではないか?

と言う懸念があったので、照度計を使って明るさを比較することにしました。

照度計は光源からの距離で明るさが変わるので、距離が同じになるようにランタンハンガーの間隔を固定して、セラミック製パーツとステンレス製パーツでそれぞれ計測しました。

セラミックガスチャンバー&セラミックノズルの明るさ

384ルクスと出ました。

ステンレスガスチャンバー&ステンレスノズルの明るさ

239ルクスと出ました! えっ 暗いじゃん! 光量約40%ダウン!!

ステンレスガスチャンバーが暗くなった原因は?

じつはアルコールプレヒートでマントルの空焼きしてすぐに点灯し、最初はいい感じだったんですが、空焼きが進行するにつれ通常よりマントルが萎んでいき光量が落ちてしまったんです。

で、マントルを取り出して、比較してみました。

これはヒドイ・・・。マントルの大きさイコール明るさと言っても過言ではありません。

マントルの大きさも40%くらい小さくなっていますね、これがそのまま明るさダウンにつながったようです。

ステンレスノズルはマントルが小さくなる?

ちょっとこの結果はスルーできなかったので、本当にステンレスノズルに原因があったのか?それとも今回私のマントルの付け方が悪かったのか?

再度マントルを付け直して検証し直すことにしました。

で気づいたのが、ステンレスパーツの方がマントルを引っ掛ける出っ張りが大きく、ガス噴出口までの距離(厚み)が長いということ。

結果、ガスの当たるマントル体積が小さくなってしまうんですね。

これは購入して実際に確かめないと気づけないポイントでした。

当初懸念していたガス穴の大きさとは全然違うポイントに問題がありましたね。

ステンレスノズルはマントルを出来るだけ大きくするよう心がけよう

なので、そこを考慮し出来るだけマントルを大きくするように、気をつけてマントルを取り付けることをオススメします。

写真のように出来るだけ、マントルをギリギリのところまで外側に引っ張ってつけます。

と言うわけで再度、マントルを空焼きした結果がこちらです

だいぶマシになりましたね、これなら明るさも20%ダウン程度に収まるんじゃないでしょうか。

まとめ ペトロマックスHK500のガスチャンバー&ノズルはステンレス化をオススメ

ここまででの検証の結果を整理します

ステンレス化のメリット

ノズルがガスチャンバーにしっかり固定されるので、マントル落下事故を大幅に減らせると思います。

なので、マントルとノズルの損傷と交換費用がかからなくなりますね。なによりキャンプの安心感が全然違います。

ステンレス化のデメリット

まずは交換費用がかかります。2020/6/2現在でガスチャンバーが1252円。ノズルが2522円。合計で3774円です。

光量が若干下がる。検証の結果ノズルの形状のせいでマントルの発光面積が小さくなる傾向があることがわかりました。

これはキャンプ用品販売店の店員さんも言っていました。

私の個人的見解は、ガスチャンバー&ノズルはステンレス化すべし

では私はどうかと言うと、ステンレス化します。

キャンプの時の不安やストレスが一気に解消されるメリットが大きすぎるからです。(ただしゆるみの危険はゼロではないのでちゃんと定期点検しましょう)

交換費用は長い目で見ると十分元は取れると思います。セラミックパーツは間違いなく劣化してどのみち交換が必要になるので、最初からステンレス化したほうがスッキリします。

明るさダウンに関しては、じつは私はむしろありがたいと思ってます。というのもペトロマックスHK500は正直明るすぎるので若干光量が落ちるほうが私にはちょうどいいからなんです。

コールマンのケロシンランタンはガスチャンバーもノズルも最初からステンレス製です。なぜペトロマックスも最初からステレンレス製にしないのか不思議ですね。

最後に繰り返しになりますが、ガスチャンバーとノズルはどちらもステンレスにしないとあまり意味ないので、ガスチャンバーを買うならノズルを一緒にまとめて購入しましょう。

以上ご参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

北海道の日本海を眺めながらアウトドアに関する情報を発信する「道産子アウトドア編集部」

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