最近は、キャンプ場でもオシャレな料理を作って楽しむ方も多くなってきました。
その中心で活躍するのが、鋳鉄(キャストアイアン)製のフライパン「スキレット」です。
しかしこのスキレット、テフロン加工されたフライパンなどと違い、「シーズニング」というひと手間が必要な製品で、それゆえ購入を躊躇している方もいるかもしれません。
そこで今回は、スキレットのシーズニング手順を徹底解説!
同時にシーズニング不要のスキレットもご紹介します。
ぜひともスキレットのシーズニング方法をしっかりと学んで、次のキャンプはスキレット料理でキャンプサイトを彩ってみませんか?
そもそもシーズニングとは?シーズニングをしないとどうなるの?
シーズニングとは「出荷時の錆止め防止ワックスを落とし、錆びにくいように表面を薄い油で覆う作業」のことを指します。
スキレットとは鋳鉄製のフライパンの事です。そして鉄というのは放っておけば錆びてしまいます。
そのため多くのスキレットは、製品全体に薄く錆止め防止のワックスなどを塗って出荷されます。
このワックスを洗い流し、表面を薄い油の膜で覆う作業がシーズニングです。
時折「スキレットは使うたびにシーズニングする必要がある」といった記述を見かけることもありますが、そもそもシーズニングは「慣らす」という意味で使われているため、購入後最初の1回だけ行えば問題ありません。
調理で使用するたびに行うお手入れはシーズニングのごく一部の工程(後ほど詳しく紹介)だけで大丈夫です。
シーズニング不要のスキレット
買ったばかりの鋳鉄製のスキレットというのは、本来鈍い銀色をしています。
この鈍い銀色のスキレットを使い込んでいくと、だんだん重厚な黒色に変化していくのですが、最近ショップで見かけるスキレットは全部最初から黒いですよね?
これはシーズニングという作業が多くの愛用者にとって負担になることを見越したメーカー側が、あらかじめシーズニング済みの製品を販売するようになってからのことです。
つまり、最近販売されているほとんどのスキレットは、シーズニング工程を必要としないものも増えていますが、日々のお手入れや、万が一大切なスキレットを錆びさせてしまった時のリカバリーにも応用可能なスキルですので、ぜひ覚えておいてください。
シーズニングの失敗例や注意点
シーズニングは手順さえ守って行えば、特に難しかったり危険だったりするものでもありません。
しかし、最低限守っておきたい注意点もありますので、ここではよくある失敗例と共にご紹介します。
ヤケドや換気に注意
シーズンニング工程のほとんどは火の上で行います。
熱せられたスキレットは、見た目の想像以上に熱くなっていますので、ヤケドをしないよう取り扱いには十分注意してください。
スキレットは蓄熱性も高いため、長時間熱い状態が続きます。
もう冷めたと思って触ると、思わぬ火傷をすることもあるためご注意ください。
また、屋内で行う場合には多少煙も出るので換気にも気をつけてくださいね。
衝撃と急な温度変化は避ける
重くガッチリとした鋳鉄製品ですが、思ったよりも衝撃にはもろいモノ。
素手でつかんで、あまりの熱さに慌てて落としたりすると、かんたんにクラック(亀裂)が入ったり欠けたりする場合もあります。
同時に、熱したスキレットに急に冷たい水をかけた場合、こちらも急激な温度変化によりクラックが入ってしまう場合もありますので注意が必要です。
キャンプ場では冷たい山の水しか出ない水道もあったりしますので、気をつけてくださいね。
取手のシーズニングをやり忘れる
鋳鉄というのは鋳物の型に溶けた鉄を流し込んで作られる製品なため、取手まで一体成型のモノがほとんどです。
この取手にスキレットカバーを付けて利用することも多いと思いますが、そのような場合もしっかりと取手までシーズニングするのを忘れないようにしてください。
普段のお手入れでもこの取っ手に油を塗るのを忘れて、気づいたら錆びていたなんてことはよくある失敗談です。
油を塗りすぎる
一度製品表面の余計な油を焼き切り、再び新しい油で塗膜を作るのがシーズニングの目的です。
しかし、この新しく油の膜を作る時に厚くベッタリと塗ってしまうと、油自体が酸化してカタマリになってしまう事があります。
あくまで表面に油をなじませる程度の薄さにとどめることを心がけましょう。
洗剤を使うのは最初の1回だけ
シーズニングの最初の工程では、出荷時のワックスを洗い流すために洗剤を使いますが、スキレットに対して洗剤を使うのはこの1回だけです。
その後は、鋳鉄の微細孔にせっかく馴染んだ油を洗い流してしまわないよう、絶対に洗剤を使ってはいけません。
万が一使用時の汚れが気になる場合は洗剤を使用しても構いませんが、その場合はシーズニングの工程を最初から繰り返す必要があります。
初心者必見!スキレットのシーズニング方法をわかりやすく解説!
それでは、実際のシーズニング工程を写真入りでご説明します。
ちなみに使用したスキレットは、LODGE(ロッジ)の6.5インチキャストアイアンスキレットです。
こちらの製品はプレシーズニングがされている製品のため、最初から黒色をしており、本来はここまで入念なシーズニングは必要ありません。
ただし、手入れを怠り錆びさせてしまった時のお手入れなどにも参考になると思います。
必要な道具
・カセットコンロ
・食器用中性洗剤
・たわし
・鍋つかみ(耐熱グローブ、スパナなどでもOK)
・油(植物性、オリーブオイルが望ましい)
・キッチンペーパー
・クズ野菜(香味野菜や根菜類がベスト、捨ててしまう皮や芯でOK)
・菜箸やトング
step.1:洗剤で洗う
出荷時に表面に塗られた錆止めワックスなどをたわしと洗剤で洗い流します。
step.2:お湯を沸かす
洗い残したワックスや油分を浮き出させるため、スキレットでお湯を沸かします。
(スキレット全体が浸かる大きめの鍋などがあれば、その中で煮てもOKです)
step.3:空焚きする
沸かした湯を捨て、軽く洗い流したらコンロの上で空焚きして、完全に水分を飛ばします。
この時、白い煙が立ち上るくらいまでしっかりと加熱するのがポイントです。
step.4:油を塗る
火を止めたら、全体になじむようにキッチンペーパーを使い油を塗ります。
裏側や取っ手もお忘れなく。
*煙が出るまで熱したスキレットは相当な温度になっているため、火を消してすぐに油を垂らすと引火する危険もあるのでお気をつけください。
step.5:空焚き~油塗りを繰り返す
十分にスキレットが冷めたら、再び空焚き~油塗りを繰り返します。
これにより油の層が厚くなり、調理の時食材がこびりつかないなど、使い勝手が良くなります。
(ただし、プレシーズニング済みの製品では、最初の1回で住む場合がほとんどです)
step.6:クズ野菜を炒める
出荷直後のスキレット特有の鉄臭さを取るために、クズ野菜を炒めます。
step.7:仕上げる
炒めたクズ野菜を捨て、一旦水、またはお湯で洗ったら、最後にもう一度空焚きして水分を飛ばし、全体に油を塗ってなじませます。
この時の油は表面が濡れるほど塗る必要はなく、触れれば油膜がついているのが分かる程度で十分です。
最後は新聞紙に包んで保管します(油をまとったスキレットで他のキャンプ道具を汚さないためにも有効)。
普段のお手入れ
使い終わったスキレットは、できるだけ早く水、またはお湯で洗い流し、火にかけて水分を飛ばした後、再び薄く油を塗って保管します。
洗う際に洗剤を使用してしまうと、スキレットに馴染んだ油まで落としてしまうため、必ず水またはお湯だけで洗い流すようにしましょう。
材料がこびりついた時などは、湯を沸かしながらササラや木べらでこそげ取ってから、この作業を行ってください。
間違っても金属製のたわしでゴシゴシやると、油膜をすべて削り取ってしまったり、傷によって錆びやすくなってしまうのでご注意を。
シーズニング不要のスキレットを紹介!
先述したように、最近のスキレットはプレシーズニングして出荷された製品がほとんどです。
そんなシーズニング不要のスキレットの人気商品をご紹介します。
ロッジ 9インチキャストアイアンスキレット
9インチ(外径22.9cm)のサイズ感は、ソロキャンプやグルキャンのサブスキレットとしても大活躍。代表的ブランドの定番商品です。
全長 | 約34.8cm |
内径 | 22.5cm |
深さ | 4.3cm |
重量 | 1.93kg |
キャプテンスタッグ 両手スキレット18cm
アウトドアクッキングで使いやすい、両側に取っ手がついたタイプのスキレット。
キャンプテーブルの中央にパエリアやグラタンなどをサーブするのにもピッタリです。
全長 | 約25cm |
内径 | 約18cm |
深さ | 約5cm |
重量 | 1.3kg |
バンドック ミニスキレット2個セット
お手頃サイズの2個セットスキレット。アヒージョやベーコンエッグなど、ソロ~デュオで品数を作りたい時にも便利です。キャンプ用オーブンにもそのまま入れられるサイズ感がGood。
全長 | 約19.5cm |
内径 | 約12.5cm |
深さ | 約3cm |
重量 | 約185g *サイズ・重量は1個分 |
コールマン クラシックアイアンスキレット10インチ
豪快にステーキを焼くにはジャストサイズ!さらに裏にリベットが付いたフタ付きなので、無水調理などレシピの幅が広がります。専用の収納ケース付きなのも嬉しいポイント。
全長 | 約41.5cm |
内径 | 約27cm |
深さ | 約4.7cm |
重量 | 約4.4kg |
ユニフレーム スキレット10
鋳鉄製ではなく、こちらは黒皮鉄板を使用したスキレットのため、鋳鉄製と比べシーズニングや使用後のお手入れなども圧倒的にかんたん便利な製品です。ただし、焼き上がりの香ばしさなどは鋳鉄製に劣ります。
全長 | 約39cm |
内径 | 約25cm |
深さ | 約5cm |
重量 | 3.2kg |
スキレットで美味しいキャンプ料理に挑戦しましょう!
食卓をオシャレに彩り、コンロでも焚き火でも使えるなど、アウトドアクッキングの強い味方になってくれるスキレット。
シーズニングや使用後のお手入れなど、何かと不便も感じる製品ですが、使い込むほどに油が馴染み、くろぐろとしてこびりつきも次第になくなります。
そんな「育てる」使い方ができるのも、キャンプ道具として古くから愛されている魅力の1つ。
あなたもお気に入りのスキレットを見つけて、キャンプクッキングの心強い相棒にしてみませんか?