キャンパーであれば必ずといっていいほど1つは持っているアイテム。それはシェラカップではないでしょうか?
シェラカップは汎用性が高いため、直火にかけて調理で利用することもあるかもしれませんが、はたして本当にシェラカップは直火にかけても良いのでしょうか?
そこでこの記事では、シェラカップを素材ごとに紹介しながら、直火で利用する場合の注意点について完全解説いたします。
キャンプ道具をできるだけライトに、それでいておしゃれに楽しみたい方はぜひ最後までお付き合いください。
ソロキャンプの強い味方|シェラカップの魅力
シェラカップとは、金属でできたカップのことです。「シエラクラブ」というアメリカの自然保護団体が作ったカップが発祥で、そのため「シェラカップ」と呼ばれています。
キャンプを趣味としていて、シェラカップを知らない方はほとんどいないと思いますが、念の為シェラカップの魅力をおさらいしてみましょう。
汎用性が高くコンパクト
シェラカップ1番の魅力といえば、汎用性が高いことにつきます。
コップやお皿として利用できるだけでなく、直火にかけてかんたんな調理器具として使ったり、それ以外にもさまざまな用途で利用できるなど、できる限り荷物を減らしたいキャンプでは大活躍するのがシェラカップです。
また、シェラカップの形状はメーカーによっても大きくは変わらないため、運搬・保管時は重ねておけるなど、コンパクトにしまっておくことができます。
サイズや容量が選べる
シェラカップはメーカーやシリーズごとにさまざまなサイズ・容量のものが用意されています。
そのため、用途に合わせてピッタリあったサイズのシェラカップを複数用意しておけば、さらに便利にキャンプを楽しむことができます。
気軽に使える
多くのシェラカップはステンレスを中心とした金属製で、サビや衝撃に強いといった特徴を持っています。
そのため、アウトドアの利用でも破損等を気にせず気軽に使えるという点も、シェラカップが多くのキャンパーに愛されている理由の1つです。
コレクション性がある
シェラカップは各メーカーやブランドごとに、実に多くの製品が販売されています。
その1つひとつは比較的手頃な価格のものも多く、キャンプギアの中では数をコレクションしやすいという側面があるため、お気に入りのシェラカップを多数保有しているキャンパーも多いのではないでしょうか。
大見出し)シェラカップの素材別注意点と直火との相性
それでは、実際にシェラカップは直火に耐えうる製品なのでしょうか。
素材ごとにその特徴を解説し、直火との相性についてご説明します。
ステンレス
シェラカップの素材のうち、もっとも多くの製品で採用されているのがステンレスです。
ステンレスは耐熱性と保温性にすぐれ、サビにくいという特徴を持っており、ヘコミや傷にも強く、シェラカップの素材としてはもっとも一般的かつ理想的といっていいでしょう。
ただしその分重量は重くなりがちで、また、熱伝導率が低いため熱が全体に回るのに時間がかかるというデメリットがあります。
そのため、炒めもののような料理よりは炊飯などじっくりと火を通す調理に向いています。
【おすすめ】ステンレス製シェラカップ:スノーピーク ミニシェラカップ
チタン
多くの金属と比べて頑強でサビないというメリットを持ったチタンは、近年のウルトラライトキャンプのスタイルではおなじみとなった素材です。
その理由は、極限まで薄くしても強度を保っているという素材特性にあります。ただし、加工技術が難しいため価格は高くなりがちです。
直火でも問題なく使えますが、熱伝導率が低いため、直火にあたった部分だけが温まるという特性があり、お湯を沸かすなどでは問題ありませんが、炊飯などにはあまり向いていません。
【おすすめ】チタン製シェラカップ:キャプテンスタッグ チタン製シェラカップ
銅
独特のあめ色が見た目にも美しく、コレクション性の高い素材が銅です。
また、酸化しやすくメンテナンスが面倒で、金額も高いためキャンプ道具としてはレアな部類の素材となっています。
しかし、熱伝導率が他の金属と比べて圧倒的に高く、均一に熱が広がるため、直火調理では圧倒的に使いやすいとあって、一部のマニアックなファンには根強い人気を誇っている素材です。
【おすすめ】銅製シェラカップ:ファイヤーサイド コッパーシェラカップ
アルミニウム
メスティンをはじめとするクッカーの素材として利用されるように、熱伝導率も高く調理に向いた素材がアルミニウムです。
直火で調理する場合にも、熱伝導率が高く熱が全体に広がり調理しやすいのも特徴ですが、その反面非常にやわらかい金属のため、あまり薄くするとすぐに曲がってしまうなどのデメリットもあります。
また、薄すぎる製品を直火に長時間あてていると、下手をすると穴が開いてしまう危険性もあるため、シェラカップの素材としてはアルミニウムとの合金で利用されることが多いようです。
【おすすめ】アルミニウム製シェラカップ(ステンレス合金):スノーピーク マグ・シェラカップ
アルマイト
軽く調理にも利用しやすいアルミニウムですが、そのままだと表面が酸化しやすく、すぐに黒ずんでくるという特性も持っています。
それを解消するためにアルミニウムの表面を人工的に酸化させ、硬く腐食しにくい性質に加工したものがアルマイト(アルマイト加工アルミ)です。
直火などの調理に向いたアルミニウムの長所はそのままに、扱いやすさを付け加えたアルマイトですが、加工の手間があるためかあまりシェラカップでは見かけません。
下記の例はあくまで「マッコリ用のコップ」として販売されているものですが、シェラカップとのスタッキングもできるすぐれものです。
なお、アルマイトは表面加工を施した素材のため、金属タワシなどを利用すると加工が剥げてしまう事がありますので注意してください。
【おすすめ】アルマイト製シェラカップ:前川金属 マッコリコップ
真鍮
銅と亜鉛を合わせた合金で、別名を「黄銅(おうどう、こうどう)」とも呼ばれる素材です。
加工しやすく強度としなやかさを兼ね備えたバランスの良い素材として、さまざまな道具に使われていますが、サビやすく、また価格も高めなためシェラカップに使われることはあまりないようです。
ただし、その独特の見た目の美しさと、使い込むとくすんだ色に変色していく特徴で一部のファンからは人気も高く、コレクション性は非常に高いシェラカップといえるでしょう。
【おすすめ】真鍮製シェラカップ:キャプテンスタッグ 真鍮シェラカップ
ホーロー
鉄にガラス素材を吹き付け塗装した素材です。
鉄の熱伝導率の高さと蓄熱性というメリットはそのままに、サビやすいというデメリットをガラス加工で補った、調理器具として利用するには理想的な素材といえます。
また、光沢のある見た目の美しさもおしゃれで、シェラカップとしても気分を盛り上げてくれます。
直火の利用も当然問題はありませんが、表面のガラス加工部分は思ったより弱く、空焚きをしたり強い衝撃を与えたりすると、端が欠けてしまうこともありますので注意が必要です。
【おすすめ】ホーロー製シェラカップ:ポッシュリビング スタッキングカップ
プラスチック
軽く丈夫という特性から、最近では100円ショップなどでも販売されているのが、プラスチック製のシェラカップです。
プラスチックの特性を活かしたカラーバリエーションは魅力的ですが、あくまで「シェラカップの形をしたプラスチックカップ」であるため、当然ながら直火での使用はできません。
【おすすめ】プラスチック製シェラカップ:ユニフレーム カラシェラ
シェラカップの使いみちと注意点
汎用性の高いことが、シェラカップの最大の魅力とは先にお伝えしました。
そこで最後に、シェラカップの使いみちについて、代表的な例をご紹介します。
食器
お皿やコップとして利用する方法です。
シェラカップの1番王道ともいえる使いみちで、人数分の食器として用意しても、シェラカップであれば重ねて場所を取らないというのも、うれしいポイントですね。
直火にかける
素材を選んだ使いみちにはなりますが、直火にかけて調理道具として使えるというのも、シェラカップの大きな魅力です。
鍋やフライパン、炊飯用の釜と、その使いみちは実にさまざまで、ライトな万能調理器具といったところでしょう。
ただし、バーナーなどで利用する場合は、底の面積がせまく安定性にかけるため、バーナーパッドなどを用意しておくと安心です。
計量カップ
カップの内側にメモリのついた製品であれば、お米や水などの分量を計る簡易な計量カップとしても利用可能です。
ただし、その正確性はそこそこといったところですので、あくまで目安程度に考えておきましょう。
おたま
寒い冬のキャンプなどでは、スープなどの汁物はありがたいものです。
しかし、そんな時意外と忘れがちなのが「おたま」ですが、シェラカップが1つあれば、りっぱに代わりを務めてくれます。
火どこ・風防
固形燃料を使う場合のポケットストーブの代わりにしたり、中にアルコールストーブを入れて風防にしたりと、アイデア次第でシェラカップの使いみちは無限大です。
ぜひ、あなたらしい使いみちを発見してみてください。
まとめ
キャンパーなら誰でも持っている、シェラカップの魅力を改めて確認するとともに、シェラカップと直火との相性について考えてみました。
食器として使うだけでなく、調理器具として直火にもかけて使えるシェラカップは、特にミニマムキャンプの強い味方で、汎用性の高い万能調理器具です。
素材ごとの特性をよく理解して、お気に入りのシェラカップを楽しいキャンプのお供に連れて行ってあげてください。