真冬のキャンプ場で見かけたノルディスクのアスガルドテント。その美しさに、私は一目惚れしました。
そして、車ではるばる5時間もかけてテント展示会へ足を運び、すぐさま購入を決めたのは2019年のことだったと記憶しています。
それ以来ノルディスクの熱心な愛好者になった筆者は、毎年アスガルドを使う冬が来るのを楽しみにしているんです。
ノルディスクのテントには、そんな「人を夢中にさせてしまう」魔法のような魅力があります。
白くて大きなコットンテントはキャンプ場でのインパクトも抜群です。居住空間も広く、普通のキャンプのはずなのに、まるでグランピングにきたかのようなリッチな気分が味わえます。
見た目のよさと快適さ。その両方を兼ね備えたノルディスクのアスガルドは、おしゃれキャンプをはじめたい人におすすめのテントです。
この記事では「アスガルド19.6」と「カーリ20」を保有する筆者が、愛用者目線でノルディスク製品を徹底レビュー!
加えて、アスガルドテントの5つのバリエーションについても解説しますので、ぜひあなたもアスガルドをテント選びの選択肢の1つに入れてくださいね。
キャンパーのあこがれノルディスク
出典:Nordisk
テントの値段は、ホームセンターで売っているような数千円のものから、数十万円、中には100万円以上するものまでピンキリです。
数千円、数万円のテントから始めたキャンパーも経験を積むにつれて、「もっといいテントが欲しい」「もっとおしゃれなテントが欲しい」と欲が出てくるでしょう。キャンパー特有の、いわゆる「ギア沼」ですね。
多くのキャンパーが考える、高価だけどあこがれのテントブランドとして候補にあがるのは、「Snow Peak」「Ogawa」そして「ノルディスク」ではないでしょうか。
この3ブランドの中でも、ノルディスクのテントは、「おしゃれさ」では群を抜いています。
特に、テントサイトをおしゃれに彩りたい女性に人気が高いようです。
ところが、高価格であるうえに、コットンテント特有の「雨や湿気でカビやすい」という性質もあって、メンテナンスが面倒などの理由で、ノルディスクのテントを敬遠している人も少なくありません。
ネットやSNSでも「コットンテントはメンテナンスが大変だから無理」や「高い買い物なのにカビてしまったら立ち直れない」など、ノルディスクのテントは欲しいけど怖気づいてしまう!といった声が多く見られました。
でも逆にいえば、その価格とメンテナンスの難しさから、ノルディスクはキャンパーの中で「高嶺の花だけどあこがれのテント」といった名声を手にしているともいえるのです。
ノルディスクのアウトドアギアコンセプト
出典:Nordisk
ノルディスクのギアは、伝統的な北欧デザインが特徴です。
北欧とは、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの3ヶ国で構成されるスカンジナビア半島周辺を指しています。
この地域は、特に冬場の寒さか厳しいため、シンプルでありながら極寒気候にも耐えうる、最先端機能を取り入れたキャンプギアが求められているのです。
また、ノルディスクは「Hygge(ヒュッゲ)」の考え方を大切にしている企業です。
ヒュッゲとは「心地よい空間・時間」を意味するデンマーク語で、ノルディスクのギアはすべて「ヒュッゲ」をコンセプトに作られています。
まるで大自然の中に建った頑丈な家のように、快適に過ごせるコットンテントをはじめ、軽量で高機能な少人数用テントやvossシリーズなど、全天候対応のテントやタープが揃っています。
自然の中で過ごすことが「贅沢」であると定義し、一つひとつのギアが高いデザイン性と機能を備えているのが、ノルディスクギアの特徴です。
ノルディスクギアの代表はテントとタープ
出典:Nordisk
ノルディスクはアウトドアメーカーなので、テント以外にもさまざまなアウトドアギアを展開しています。
しかし、創業当初はダウン製品が主力だったことや、今でもシュラフやチェア、カトラリーやアパレルまで展開していることは、よほどノルディスク通でなければ知らないのではないでしょうか。
そのくらい「ノルディスク=テントとタープ」、特にコットン製のテントとタープというイメージが定着しています。
ところが、おもしいことにコットンテントが有名なのは、主に日本だけだというのは知っていましたか?
ノルディスクのCEO エリック氏によれば、お膝元のヨーロッパでは、ノルディスクユーザーのナイロン・ポリエステル製のテントとコットンテントの比率は7:3とのこと。ちなみに、日本では1:9で圧倒的にコットンテントユーザーが多いというのは、驚きの結果ですよね。
ダウン製品メーカーとして創業したノルディスクも、現在は間違いなくギアの代表はテントとタープになっており、特に日本では「おしゃれテントとタープといえば、ノルディスク」という確固たるポジションを築いています。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」レビュー
出典:Nordisk
ここでは、ノルディスク愛好家の筆者がコットンテント「アスガルド19.6」を徹底レビューします。
サイズや使用感に加え、アスガルドのよいところだけでなく残念なところもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
ノルディスクテント「アスガルドシリーズ」とは
出典:Nordisk
「アスガルドシリーズ」は、日本においてノルディスクの代名詞ともいえるテントです。いわば、ノルディスクのフラッグシップ的な位置づけになっています。
うつくしく広がったルーフが特徴のベル型をしており、ワンポールで建てるシンプルな作りでありながら風や雨雪などの悪天候にも強い、デザイン性と機能性を備えたテントです。
サイズ展開も豊富で、限定モデルやコラボモデルも発売されています。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」のサイズ
「アスガルド19.6」はアスガルドシリーズの中でもっとも大きなサイズで、広さは19.6平米あります。
本体の直径は5m、ガイロープまで含めると10mにも及ぶため、設営の際はサイトの大きさには注意が必要です。
筆者は、はじめて利用するキャンプ場で区画サイトに「アスガルド19.6」を張る場合、必ず事前にキャンプ場へ下見に行き、サイト内に問題なく収まるかを確認しています。
「アスガルド19.6」を張る予定なら、フリーサイトを選択してもよいでしょう。
ポリエステル製のテントと比べてコットンテントは厚手のため重量がありますが、大型の「アスガルド19.6」は超重量級といっても過言ではありません。
フライシートが20kg、フロアシートが12.5kgもあり、ポールも含めると合計35kgを超えるため取り扱いには力も必要です。
公式サイトによると就寝可能人数は10人となっていますが、一般的なキャンプで使うなら、3~5人にちょうどよい大きさでしょう。
たしかに雑魚寝のようなスタイルであれば、10人就寝することも可能です。しかし、ノルディスクのコットンテントはフロアシートがあるので、筆者はほとんどの場合お座敷スタイルで使用しています。お座敷スタイルの場合、半分を寝る場所に、半分をリビングにしてクーラーボックスやラックなどを置くといったレイアウトをとっているため、大人数で使うには手狭になってしまうんですね。
- サイズ:500×470×300cm
- 重量:フライシート 20kg、フロアシート13.2kg
ノルディスクテント「アスガルド19.6」の使用感
筆者は、冬以外の季節は2ルームテントを使っています。2ルームテントはポールの数も多く、建てるのは少々めんどうに感じます。
そのためかもしれませんが、「アスガルド19.6」を使って数年経った今でも、ワンポールテントである「アスガルド19.6」は、これだけ大きくても建てるのが「簡単」「早い」という印象です。
また、強風や雨、雪などの悪天候に強い点も心強く感じます。大型にもかかわらず強風にも耐える安心感があるのは、風をうまく逃がすワンポールテントの特徴と、太いスチールポール、放射状に張る13本のガイロープのおかげです。
フロアシートはポリ塩化ビニール(PVC)で完全防水のため、大雨でも浸水の心配はありません。
フライシートもしっかり撥水加工されており、コットンの特性もあって雨漏りもしにくく、急な夕立やゲリラ豪雨でも安心できるのがうれしいですね。
さらに、屋根の傾斜がきついため、降雪時も雪は積もらず、どんどん流れ落ちていきます。
筆者もこれまでの冬キャンプの経験上、積もった雪の重みで倒壊したテントを何張りも見てきましたので、雪が積もらないというのは安心ポイントです。
一方、大きさと重量があり、ペグダウンの本数も多いため、コンパクトなドームテントに比べると設営と撤収、そして持ち運びが大変だと感じる人もいるかもしれません。
筆者はフレームが多く、ポリエステル製としては布地の重いツールームテントも使っているので、重さには抵抗がありませんでした。それよりも、ワンポールのためかんたんに建てられて、ポールを抜くだけで布地をたためる状態になるアスガルドは、設営・撤収時間の短縮につながっているため、むしろ扱いやすいと感じています。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」のよいところ
なんといっても、理屈ではない「おしゃれ感」がただようのは、大型で存在感がある「アスガルド19.6」ならではの魅力ではないでしょうか。
真っ白ではない、少しベージュがかったやさしいアイボリーの色合いも、おしゃれなウッド系ギアと相性ピッタリです。
機能面では「風に強い」というポイントを、1番のメリットとしてあげます。
筆者は、これまで400泊にも及ぶテント泊を経験してきましたが、強風により倒壊したテントをキャンプ場で何度も目の当たりにしてきました。
大型のワンポールベル型テントは、風に対して垂直の面が少ないため、うまく風を逃がすことができます。
加えて「アスガルド19.6」は放射状に張られた13本のガイロープへ風圧が分散するので、1ヶ所の面やガイロープに風圧がかかりすぎないのも風に強い理由の1つです。
さらには、居住空間の広さも忘れてはなりません。
ノルディスクには、同じ床面積のティピー型ワンポールテント「アルフェイム19.6」がありますが、ティピー型は円錐型のためフライシートの傾斜がきつく、デッドスペースができてしまうのが難点です。
しかし「アスガルド19.6」は、サイドパネルの立ち上がりがあるベル型テントのため、デッドスペースが少なく、広々とスペースを活用することができます。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」の残念なところ
真っ先にあげるのは、ペグダウンの多さです。
ガイロープは13本、フロアシートのペグダウンは12本、計25ヶ所をペグダウンしなければならないのは、ドームテントに比べて骨が折れる作業になります。
また、窓が小さく風が入りとおりにくいため、暑い時期の使用には向きません。
筆者としても大好きなアスガルドですから、できれば1年中使いたいと思うのですが、昨今の日本の夏は猛暑が厳しく、さすがに暑さがこたえます。
もしもオールシーズン使うのであれば、夏場は標高1,000m以上の高地で林間サイトを利用し、昼間はタープの下で過ごして寝る時のみテントの中に入るとよいでしょう。
ただし、林間サイトは区画内に立ち木を自然のまま残していることも多いため、ガイロープを含め直径10mの広さを必要とする「アスガルド19.6」が張れないことも考えられます。
事前にサイトの広さや形状など、下調べをするのが得策です。
冬テントとして使う際に残念なところといえば、入口が完全に閉じないところです。
「アスガルド19.6」の入口は、フライシートと同素材の入口パネルとメッシュパネルで構成されています。このうち、メッシュパネルはジッパーでフロアシートとつながりますが、外側のパネルはフロアシートとつなげるジッパーがありません。
そのため、常にボトムラインがヒラヒラしているので、風や寒気が入ってきてしまいます。
すきま風をシャットアウトできるだけでテント内は暖かく感じられるので、改善してほしい点です。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」のグランドシート
「アスガルド19.6」には、純正のグランドシートはありません。
そこで筆者は、テントを購入してすぐに厚手のブルーシートをフロア型に切り、オリジナルのグランドシートをつくりました。
直径5mの「アスガルド19.6」のフロアに合わせるにはかなりの大きさのブルーシートを用意する必要がありましたが、ちょうど自宅に3m四方ほどの厚手ブルーシートが数枚あったため、貼り合わせて製作したんです。
見た目は多少不格好ですが、シートの上にはフロアシートを敷くため、キャンプ中に目に触れることはありませんので、ブルーシートによる手づくりでも問題ないと感じています。
出典:ハロアウトドア
ノルディスク純正品ではありませんが「アスガルド19.6」にピッタリのグランドシートを製作・販売しているショップもあるので、見た目を気にしたり、自作がめんどうに感じたりする人は、こうした製品を利用してみてもよいでしょう。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」で薪ストーブは使える?
筆者は、冬キャンプではテント内に薪ストーブをインストールして、お座敷スタイルでぬくぬく過ごしたいので、「アスガルド19.6」を購入しました。
コットンテントはポリエステルと比べて燃えにくい特徴があるため、薪ストーブは問題なく使用可能です。
とはいえ、「アスガルド19.6」には煙突を外に出すための穴がありません。窓はすべてメッシュが張られているため、窓から出すことも困難です。
薪ストーブの煙突を外に出すには、フライシートに穴を開けて煙突ポートを作る必要があります。
高価なテントに穴を開けるのは、失敗する可能性がゼロではないため躊躇してしまいますが、煙突の径を計測し、フライシートが焦げない対策を講じて、意を決して煙突ポートをDIYしましょう。
どうしても自分では無理だという方は、煙突ポート取り付け加工を受け付けている業者へ依頼するのも手です。
ただし、「アスガルド19.6」で薪ストーブを使うと、フライシートの内側が少なからず「いぶされた」ように茶色くなります。
これは燻製食品が茶色いのと同じ原理で、点火時や薪をくべる際にストーブの窓を開けることにより、煙がテント内に出てフライシートを変色させます。
煙は上へ昇っていくため、特にフライシートの1番高いとんがり部分の変色が顕著です。
変色が気になる場合は、テントクリーニングを利用してもよいでしょう。
しかし、テントクリーニングは特殊な洗剤を使うため、撥水加工が取れてしまう可能性があるため、オプションで撥水加工も同時に施すのがおすすめです。
ノルディスクテント「アスガルド19.6」のレビュー総括
ここまでノルディスクのベルテント「アスガルド19.6」について、ユーザー目線でレビューしました。
「アスガルド19.6」は大きく重いテントで扱いにくい部分もありますが、それ以上にメリットが多く、購入して良かったと心から思えるテントです。
特に冬の悪天候下では本当に心強く、強風の日も大雪の日も安心してキャンプができます。
10m×10m以上の広さがないと厳しい大型テントですが、その分居住空間が広く、グランピング気分でリラックスしながらゆったりと過ごせますよ。
おしゃれキャンプを楽しむだけでなく、圧迫感のない広いスペースでのんびりとした時間を過ごせるのも「アスガルド19.6」のおすすめポイントです。
ノルディスクタープ「カーリ20」レビュー
「アスガルド19.6」と合わせて使いたいタープが、レクタタイプのコットンタープ「カーリ20」です。
筆者は-10℃以下になる極寒地で冬キャンプをすることが多いので、冬にタープの出番はほとんどありませんが、秋や春先のキャンプで使用します。
ここでは「カーリ20」ユーザーの筆者が、実際に使ってみて「よいところ」「残念なところ」を本音でレビューします。
ノルディスクタープ「カーリシリーズ」とは
出典:Yahoo!ショッピング
ノルディスクのタープ「カーリシリーズ」はコットン素材のタープで、バリエーションとしてはレクタタイプの「カーリ12」「カーリ20」、ヘキサタイプの「カーリダイヤモンド10」「カーリダイヤモンド20」があります。
商品名の後ろの数字はタープ面積で、「カーリ12」は300×400cmで12平米という意味です。
アスガルドと同じ素材のため、テントとタープに一体感を持たせることができます。
連結も可能なので、雨の日でも濡れることなくテントとタープを行き来できるのも嬉しいですね。
テントの大きさや形状に合わせて、レクタタイプの「カーリ」かヘキサタイプの「カーリダイヤモンド」を選択可能です。
組み合わせ例としては、「アスガルド」や「ウトガルド」「ユドゥン」は「カーリ」、アルフェイムは「カーリダイヤモンド」と相性がよいのでおすすめします。
「アスガルド19.6」には「カーリ20」がピッタリですよ。
ノルディスクタープ「カーリ20」のサイズ
出典:楽天市場
前述のように、商品名の後ろの数字はタープの面積を表しています。
購入の際に注意しなければならないのは、テント名の後ろの数字は「床面積」であるのに対して、タープ名の後ろの数字は「タープを広げた時の面積」であることです。
「カーリ20」のサイズは400×500cmの20平米。数字上は19.6平米の「アスガルド19.6」よりも広いことになりますが、タープとして使う際にはもう少し狭くなってしまいます。
とはいえ、狭いとはいってもタープとしては大型ですから、かなりゆったりとしたスペースを作ることが可能です。
- サイズ:400×500cm
- 重量:9kg
ノルディスクタープ「カーリ20」の使用感
コットン素材のため、テント同様に重量があるのが難点です。
風が強い日は大きな面に風を受けやすく、ただでさえ重い幕が風にあおられると設営に苦戦します。
レクタタイプの「カーリ20」は、ヘキサタイプのタープよりも風に弱いことがネックになりますが、ポールの本数や位置を変えることで多様なアレンジができるのはレクタタープの醍醐味です。
風向きや風の強さ、天気や人数に適したタープアレンジをすることで、どのシチュエーションでも快適に過ごすことができます。
また、タープ下の居住スペースが広いので、筆者は囲炉裏テーブルを中心に、周りに調理台やツーバーナー、木製のラックなどを配置してキッチンダイニングのようなレイアウトにしています。
囲炉裏テーブルの真ん中には焚き火台を置き、炭を起こしてBBQコンロ代わりにすることで、焼いたものをみんなで囲んで食べることができるのも、ポリエステルより燃えにくいコットン素材の安心感があるからこそです。
特定の調理担当を決めなくても、全員が座ったまま焼きたて熱々の料理を食べられるのはうれしいですよね。
ノルディスクタープ「カーリ20」のよいところ
出典:Pinterest
アイボリーの優しいカラーでタープ下がほどよく明るいにもかかわらず、遮光性があり涼しく過ごせるのが1番の魅力です。
遮光性のあるタープは、通常タープ下が暗くなってしまいますが、コットン素材の「カーリ20」は適度に日差しの明るさがタープ下まで届きます。
日差しの明るさを感じられるのに遮光性があるというのは矛盾を感じますが、ポリエステルよりも厚手で日差しを通しにくいのが矛盾のからくりです。
上を見上げれば明るいのに、地面を見ると色濃い影を落としており、遮光性があることを物語っています。
また、前述のように豊富なタープアレンジができるのも「カーリ20」の魅力です。
250cmのポールが2本付属していますが、ポールを追加することで色々な形にアレンジすることができます。
なお、筆者が所持している「カーリ20」のグロメットは12ヶ所ですが、2022年モデルからは16ヶ所に増えたので、より多くのアレンジバリエーションが楽しめそうですね。
ノルディスクタープ「カーリ20」の残念なところ
出典:Pinterest
ポールが2本しか付属していないところが、筆者個人としては残念に思います。理由は、設営のアレンジが限られてしまい、居住スペースも広く取れないからです。
筆者が所有している別メーカーのレクタタープは、「カーリ20」と同じくらいの大きさでポールが8本付属していました。250cmのメインポールが2本、180cmのサブポールは6本付属しており、アレンジが自由自在です。
そのため、「カーリ20」を使う時は付属のポールに加えてスチールポールを2~4本持っていき、その時の天候や気分でタープをアレンジしています。
ノルディスクタープ「カーリ20」と焚き火の相性
燃えにくい素材のコットンが原料の「カーリ20」は、タープ下で焚き火をすることができます。
ポールも250cmと長いため、タープまで火の粉が届きにくいので安心です。
ポリエステル素材のタープは火の粉が付着すると燃え広がる可能性が高く、「タープ下では焚き火をしない」ことが常識でした。
しかし、難燃性のコットンタープであれば、最悪の事態として火の粉がタープに付着しても、火の粉で穴が開いたりごく狭い範囲が焦げたりする程度で、ポリエステルのように燃え広がる可能性はほとんどありません。
その点を考えても、コットン素材の「カーリ20」は、焚き火との相性はよいといっても過言ではないでしょう。
ただし、燃え広がる可能性が低いとは言っても、前述のとおり「焦げる」危険性はあります。大切なタープを焦がさないためにも、焚き火の大きさは控えめにしましょう。
コロナ禍でキャンプがブームになったころから、焚き火を勢いよく燃やすキャンパーが多くなったように感じます。
まるでキャンプファイヤーのように高く火柱を上げているのですが、いくら難燃性のコットンといえど、タープ下で火柱を高くするのは危険です。
タープ下では、ゆらゆらと小さく揺らめく炎を楽しみましょう。
ノルディスクタープ「カーリ20」のレビュー総括
出典:Pinterest
ここまで、ノルディスクのコットンタープ「カーリ20」をレビューしました。
「アスガルド19.6」と同様に重さがネックになりますが、「コットンは重いもの」と割り切ることができれば、とても魅力あふれるタープです。
タープ下の明るさと遮光性を兼ね備えているのはコットン素材だからこそ。通気性も良いので気持ちよく過ごせます。
ぬれると繊維が膨張して隙間がなくなり耐水性が高くなるコットンの特徴により、もちろん雨の日も安心して使うことができます。
アレンジバリエーションが多く、人の視線や西日をさえぎったり、雨の吹き込みを防いだり、効率よく雨水を落としたりと、さまざまなタープアレンジが楽しめるのもうれしいですね。
燃えにくいコットンだからこそ、タープの下で焚き火を楽しむことができるのもうれしいポイントです。
雨だからといって、焚き火をあきらめる必要はありません。
「カーリ20」は居住性と機能性のバランスがとれているタープです。
「アスガルド19.6」と合わせて使うことで、より一層快適な居住空間が作れるのでおすすめです。
ただし、120平米ほどの広さが必要となりますので、サイト選びは注意してくださいね。
ノルディスクテント「アスガルド」のバリエーション
ノルディスクテントの中でも、「アスガルド」は圧倒的にバリエーションが多いテントです。
限定テントやコラボレーションテントが、ほぼ毎年のように発売されています。
ここでは、「アスガルド」の豊富なバリエーションをご紹介します。
HUMAN MADEとコラボしたノルディスクアスガルド
「アスガルド12.6 HUMAN MADE」
出典:HUMAN MADE
「アスガルド12.6 HUMAN MADE」は、アメリカンカジュアルをベースとしたファッションとライフスタイルのブランド「HUMAN MADE」とのコラボレーションによるテントです。
ノルディスクのスカンジナビア・デザインが「HUMAN MADE」のコンセプト「過去と未来の融合」により、スタイリッシュなデザインで登場しました。
ノルディスクのクラシックなデザインに「HUMAN MADE」の都会的スタイルが見事に融合しています。
都会的でありながら自然にも溶け込む配色は、フィールドで悪目立ちせずに人の視線を釘付けにすることまちがいなしです。
老舗デニム会社とコラボしたノルディスクアスガルド
「アスガルド7.1 デニムテント」
出典:Nordisk
広島県福山市の老舗デニムメーカー「カイハラ株式会社」とのコラボレーションにより実現した「アスガルド7.1 デニムテント」は、あざやかなデニムカラーが特徴です。
カイハラ株式会社のデニムは品質の高さとうつくしい風合いが評価され、世界の多くの有名なファッションブランドやデザイナーが「カイハラデニム」を使用しています。
誰もが知る有名な企業では、「ユニクロ」が1998年からカイハラデニムを使用しており、今ではユニクロデニムの8割をカイハラデニムを使用しています。
ただし、「アスガルド7.1 デニムテント」はカイハラデニムの色合いが美しいテントですが、素材はデニムではなく、他のアスガルド同様テクニカルコットン(TC素材)です。
カイハラデニムカラーで、青い空や青い海とのコラボを楽しんでみませんか?
かっこいい黒のノルディスクアスガルド
「アスガルド12.6 ブラックエディション」
出典:Nordisk
2021年に店舗限定で販売され即完売となった「アスガルド7.1 Phantom Black edition」が、色味はそのままにサイズを変えて「アスガルド12.6 ブラックエディション」として、2023年に個数限定で販売されました。
やさしいアイボリーのコットンからイメージをガラっと変えた漆黒のアスガルドは、シロクマのロゴが通常の2倍の大きさになってルーフへ移動し、より存在感がアップしていますね。
なお、「カーリ20 ブラックエディション」も同時発売されています。
筆者は1度だけキャンプ場でブラックエディションのテントとタープの組み合わせを見かけましたが、そのサイトはキャンプギアもすべてブラックで統一してあり、サイト全体の一体感と存在感が素晴らしかったのを覚えています。
鮮烈な赤のノルディスクアスガルドとタープのセット
「アスガルド7.1+カーリ12セット Burnt Red」
出典:Nordisk
ノルディスクでは初めてのカラー展開となる、真っ赤な「アスガルド7.1+カーリ12セット Burnt Red」は、100セット限定で発売された激レアテントです。
2023年4月、三重県にオープンしたノルディスクのコンセプトキャンプ場「Nordisk Hygge Circles UGAKEI」の記念モデルとして発売されました。
シロクマロゴの他に「Nordisk Hygge Circles UGAKEI」のロゴも入ったテントとタープは、キャンプ場でも目立つことまちがいなしです。
ミニサイズのノルディスクアスガルド
「アスガルド テックミニ」
出典:Nordisk
アスガルドのサイズラインナップの中で最小・最軽量の「アスガルド テックミニ」は、ソロキャンプにピッタリのサイズです。
ソロでもおしゃれなサイトにしたいキャンプ女子にも人気で、インスタグラムでかわいいサイトレイアウトが披露されています。
出典:Nordisk
なお、「アスガルド テックミニ」には本体以外の付属品は一切ついていません。そのため、ポールやガイロープ、ペグは別売りの「アスガルドミニ カラーパック」を購入する必要があります。
その分、「マスタード」「チェリー」「チョコレート」の3色が用意されているので、好きな色や自分のサイトにマッチしたカラーを選ぶことができますので、サイトコーディネートを楽しむこともできますね。
ノルディスクアスガルドは中古を買うのはあり?
ノルディスクのアスガルドは高価であることから、メルカリなどのフリマサイトで出品される中古品も人気があります。
出典:メルカリ
アスガルドのサイズや状態にもよりますが、メルカリでは中古なら5万円前後から出品されています。
筆者の個人的な考えとして中古での購入は問題ありませんが、メンテナンスの必要があること、日本正規品と並行輸入品の違いに注意してください。
1つずつ解説します。
メンテナンスの必要性
高価なアスガルドを少しでも安く買うために、中古品を選択する気持ちはよくわかるのですが注意も必要です。
数回〜数年間使われてから出品されたテントは、撥水加工が効かなくなっている可能性があります。
こうしたテントは購入後に撥水加工を施す必要があるなど、メンテナンスを要する可能性があることを知っておいてください。
なお、しっかりと撥水加工をするには専門業者に依頼することになりますが、料金は「アスガルド12.6」なら2万5,000円ほど、「アスガルド19.6」では3万5,000円ほどかかります。
日本正規品と並行輸入品
次に、日本正規品と並行輸入品の違いについて解説します。
メルカリでは、新品なのに中古品と大差ない金額の「並行輸入品」のアスガルドが売られていることをご存じでしょうか。
日本正規品とは、ノルディスクの日本代理店である「ノルディスクジャパン」から販売されているテントのことで、金額は「定価」です。
一方、並行輸入品とはノルディスクジャパンを通さず、海外(主にヨーロッパ)で買い付けをして輸入した商品となります。
デンマークが本社のノルディスク商品は、ヨーロッパ各国では日本より安価で販売されています。
ルイ・ヴィトンやグッチなどのハイブランドも、日本より本場の方が安価であることと同じですね。
アウトドア用品店や個人がヨーロッパの小売店などから購入し、独自に輸入したものが「並行輸入品」であり、もちろん商品自体はノルディスクの正規品です。
「それなら、日本正規品より並行輸入品を買う方が断然お得じゃないか!」と安易に考えてはいけません。
ノルディスクは、修理や部品交換に関して次のようにアナウンスしています。
・正規品、非正規品、個人売買に関わらず修理、交換対応を受付しております。 (中略) ・ギャランティカードの有無によって、修理金額が異なります。 引用:Nordisk JAPAN |
日本正規品にはギャランティカードが付いていますが、ノルディスクジャパンの正式アナウンスでわかるように、ギャランティカードの有無で修理や部品交換の金額が変わってしまうのです。
正規品は安価な特別価格で修理が可能ですが、並行輸入品などの非正規品の修理は、正規品の3倍もかかってしまいます。これは、かなりの差ではないでしょうか。
万が一のことを考えて、並行輸入品を購入するかどうかは慎重に検討してくださいね。
ノルディスクアスガルドとタープはキャンプをもっと楽しくしてくれる
インスタグラムが普及してからというもの、さまざまなキャンプスタイルが登場し「映える」「魅せる」サイトづくりをするキャンパーが増えました。
また、「グランピング」という文化が始まったことで、より豪華でラグジュアリーなキャンプスタイルが流行中です。
ノルディスクの「アスガルド」はグランピングテントとして使われることも多く、おしゃれキャンパーあこがれのテントとして、常にトップクラスの人気を博しています。
おしゃれキャンプインフルエンサーのSNS投稿で、「アスガルド」が登場しているのを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
また、おしゃれキャンプにはそこまで興味がなくても、純粋に広々としたテントでゆったりとした時間を過ごしたい人にも、筆者は「アスガルド19.6」をおすすめします。
天井が高く圧迫感とは無縁ですし、薪ストーブを入れても十分すぎるほどスペースが確保できます。
筆者は大型のエアーベッドも使っていますが、それでも窮屈さはありません。
さまざまなサイズとバリエーションで、サイトレイアウトを存分に楽しめる「アスガルド」と、テントとの連結が可能でタープアレンジも豊富な「カーリ」があれば、キャンプがもっと楽しくなりますよ。
ぜひ、ご自身オリジナルのサイトづくりを楽しんでくださいね。