【マルチグリドルのデメリット】万能鉄板を購入する際はここに注意!

「キャンプ飯に革命をもたらした!」とまでいわれる、新しい調理器具。それが「マルチグリドル」です。
登場以来、あっという間に多くのグルメ派キャンパーに受け入れられ、「万能鉄板」とも呼ばれる革新的なマルチグリドルですが、「ほとんど焦げつかない」「焦げついてもすぐに汚れが落ちる」など好意的なレビューをたくさんみかけます。

しかし、本当にマルチグリドルはよいことばかりなのでしょうか?デメリットもあるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、実際にマルチグリドルをキャンプに利用している筆者の経験をもとに、マルチグリドルのデメリットを紹介します。
さらに、マルチグリドルにまつわるデメリットの噂について考え、最後にはどんなマルチグリドルを買えばよいのかについてもご紹介しますので、どうぞご参考にしてください。

また、マルチグチドルについてはこちらの記事でもご紹介しています!

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目次

マルチグリドルのデメリット

出典:株式会社ジェイエイチキュー

万能鉄板ともいわれるほど、一見メリットだらけのように思えるマルチグリドルですが、当然のごとくいくつかのデメリットがあります。
これからマルチグリドルの購入を考える場合は、メリットと同時にそうしたデメリットも合わせて理解しておかなければ、「買って後悔した」ということにもなりかねません。
そこでまずは、マルチグリドルのいくつかのデメリットを紹介します。

取っ手が熱くなる

出典:株式会社ジェイエイチキュー

マルチグリドルは、アルミ合金でできた一枚のプレートです。取っ手も同じ板からハンドル部分としてともに打ち抜いただけの作りをしているため、断熱構造などは特別にほどこされていません。
そのため、本体を火にかけて熱くなっているときは、取っ手部分も相当な熱さになります。
付属のハンドルカバーを使用するか、耐熱グローブなどを使用しなければ、とても熱くて素手でさわることはできません。

材料がこぼれやすい

マルチグリドルは有効スペースの広い一枚鉄板ですから、材料はたくさん入るのですが、あまりたくさん入れてしまうと炒めるときが大変です。
というのも、マルチグリドルは中央に向かってゆるやかにくぼんだお皿のような形状をしていますが、その縁に普通のフライパンのような立ち上げ部分はありません。
そのため、材料を入れすぎたり勢いよく炒めたりしてしまうと、縁からこぼれてしまうのは大きなデメリットです。

安定感がイマイチ

出典:株式会社ジェイエイチキュー

マルチグリドルの重量は、直径33cmタイプのものでもわずか1kg程度です。
持ち運びや取り回しの際はこの軽さは大きなメリットですが、軽い分使用時の安定感が若干欠けてしまいます。
さらに、マルチグリドルはその形状のため大きさの割に接地面が小さくなっています。
そのため、焚き火用のファイヤーピットやガスコンロの五徳上で使う際には、取っ手部分を支えていないとツルツルすべってしまい、炒めものなどがうまく行えません。

輻射熱の危険性

マルチグリドルを使用する際に、もっとも気をつけなければならない問題が「輻射熱の危険性」です。
輻射熱とは、遠赤外線が発する放射熱のことで、熱源によって熱せられた鉄板や鍋底などが熱を反射し、下部に影響を与える状態を指しています。
キャンプで特に問題になるのは、大きめの鍋や鉄板をガスコンロにかけた時、輻射熱によってコンロ本体に取り付けられたガスボンベが輻射熱によって高温となり、最悪の場合爆発してしまうことです。
マルチグリドルは、その広いボディサイズがあって便利な分、輻射熱が影響する範囲も広いのが大きな問題となっています。

メーカーにより価格がさまざま

マルチグリドルの原型は、韓国発祥のサムギョプサルなどを作る調理器具に端を発していますが、それを「鉄板マルチグリドル」として広めたのは福岡県太宰府市に本社を置く「株式会社ジェイエイチキュー(JHQ)」です。
いわば、マルチグリドルの本物とはJHQが製造する「鉄板マルチグリドル」のことを指しています。
しかし、同社のマルチグリドルが人気を集めたことにより、さまざまなメーカーがさまざまなマルチグリドルを製造・販売をはじめました。
現在のマルチグリドルは、本家であるJHQだけでなくたくさんのメーカーから価格も性能もさまざまな製品が販売されているため、どれを選べばよいのか判断がつきづらいというのも、マルチグリドルを選ぶ際のデメリットの一つでしょう。

オプション品が欲しくなる

出典:Amazon

マルチグリドルの本家JHQ製でもっとも人気のあるモデルは、直径33cmのフラットタイプです。
同製品はソロでもグループでも扱いやすく、調理の幅も広く非常にすぐれていますが、唯一の難点は取っ手の熱をカバーするシリコンミトンが一組付属しているだけで、収納ケースも含めて他の付属品は一切ついていません。

これに対して、コピー品でもある各社のマルチグリドルは、多くの場合JHQ製品の約半分という価格の割に、ケースや取っ手カバーなどが付属しています。

とはいえ、その全てが実用性にあふれ、デザイン的にもスマートなものかと問われれば疑問符がつきます。
その点、マルチグリドルはたくさんのオプション品が充実していますので、自分好みのデザインのものがつい欲しくなってしまうかもしれません。

せっかく安く購入したのに、結果的にコスパが悪くなってしまうというのも、隠れたマルチグリドルのデメリットといえるでしょう。

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マルチグリドルのデメリットに関する噂と対処法

マルチグリドルに関して、実際に筆者が使用してみた上でのデメリットをご紹介しましたが、SNSなどではマルチグリドルのデメリットに端を発した不安や噂がたくさん投稿されています。
そこで、この章ではそんな噂はどの程度デメリットになりうるのかについて解説します。

カセットコンロは爆発する?

マルチグリドルのデメリットに端を発したキャンパーの一番の心配は、「輻射熱によりカセットコンロは爆発しないの?」ということではないでしょうか。
マルチグリドル33cmタイプを使用した場合、通常のカセットコンロはカセットガス(CB缶)がどうしても本体の下に埋まってしまいます。
一般のカセットガスは、通常40度以上の場所に放置しないように注意書きがされています。また、種類や条件にもよりますが、60度程度で缶が膨張し、72度~80度あたりで破裂・爆発することが実験により明らかになっているのです。
短時間の利用でここまでの温度になることはほぼ考えられませんが、10分、20分と長時間使い続けることにより輻射熱はどんどん上がってしまい、ガスボンベに深刻な熱を加えることは間違いありません。
「このような使い方をすると爆発する」と定義づけられるわけではありませんが、マルチグリドルの縁がカセットボンベ部分にかかってしまうようなサイズの組み合わせでは、使わないことをおすすめします。

考えられる事故は?

輻射熱による爆発以外に、マルチグリドル使用時に考えられる事故はどんなものがあるのでしょう。
もっとも考えられるのはヤケドです。熱くなった取っ手をつい触ってしまったり、あるいは不安定な状況で中にスープや油などの液体を入れて使っていたりする場合は、ちょっとしたことでヤケドをしてしまうことも考えられます。
特に、焚き火台やコンロ自体が安定感に欠ける製品の場合は注意が必要です。
マルチグリドルはその本体面積の割に底面が小さくなっていますので、先述のようにバランスがあまりよくありませんので、しっかりと安定感を考えて使用しないと中身がこぼれてヤケドしてしまうことは十分にありえます。
筆者も、焚き火台の上でマルチグリドルでアヒージョを作っていた際、ちょっとマルチグリドルの場所を移動させたら焚き火台ごとひっくり返り、熱くなった油をぶちまけてしまったことがありました。
その時は重大な事故にはつながりませんでしたが、マルチグリドルの安定感は安全のためにもしっかりと確認してから使いたいポイントです。

コーティングは剥がれない?

JHQの正規版マルチグリドルは、特殊な「イノーブルコーティング」という加工がなされています。
この加工は、錆びず、シーズニングも必要としないコーティングで、これがあることでマルチグリドルを便利な「万能鉄板」たらしめているのです。

JHQの公式サイトによれば、イノーブルコーティングは約100万回の摩耗テストに合格するほど耐久性にすぐれており、有害物質の検出も確認されないとの報告がなされています。
筆者も実際に使用してみたところ、これまでにコーティングの剥がれなどを心配するシーンはありませんでしたが、JHQ以外のすべてのマルチグリドルが同様だとはいえないでしょう。

価格が安いマルチグリドルには、安いなりのわけがあるはずですし、公式サイトなどでコーティングの信頼性に関する裏付けが書かれていない製品に関しては、一抹の不安が残ります。
もしもコーティングが剥がれてしまうことを不安に思うのであれば、正規品のJHQ製品、もしくは同等の性能や保証が約束されている製品を購入するようにしましょう。

ちなみに、JHQのマルチグリドルは、製品の不具合でコーティングが剥がれてしまったような場合に備えて、一年間のメーカー保証が設けられています。

滑る場合の対策は?

出典:Amazon

キャンプ用コンロの五徳や焚き火で利用するロストルなどはシンプルな構造のものが多く、滑りやすいマルチグリドルを安定して置くことにはあまり適していません。
こういったコンロを使う場合は、別売りの五徳などを用意するとよいでしょう。

焚き火台であれば、スキマの多い形状のロストルではなく、網状になったものを使用するのもおすすめです。また、中華鍋を使用するための、中央が丸く開いた形状になっている製品も販売されています。
コンロで使う場合であれば、別売りのミニ五徳やバーナーパットを用意して、五徳の滑り止めとするのもおすすめです。

焚き火でも使用できる?

出典:株式会社ジェイエイチキュー公式サイト

マルチグリドルは、ガスコンロからIHコンロまで、熱源を選ばずに利用できるのも大きな魅力です。当然、焚き火でも使用することができます。

ただし、焚き火で使用する場合には、注意しなければならないポイントもあります。
一つは、先述したように安定性に気をつけることです。別売りのロストルや五徳などを用意して、焚き火台自体の安定性にも十分に注意して使いましょう。

もう一つは、マルチグリドルは長時間高温にさらしてはいけないという注意点です。
マルチグリドルの素材はアルミ合金ですが、アルミ合金は長時間高温で熱し続けると変形したり、最悪の場合溶けてしまったりします。

そのため、その都度火をつけたり消したりできない焚き火で使用する場合は、長時間焚き火にかけっぱなしにして使用するのではなく、料理のたびに火からおろさなければなりません。
このことだけ注意すれば、マルチグリドルは焚き火でも十分に調理を楽しむことができます。

タフまるの相性はいい?

出典:岩谷産業公式サイト

丈夫で使いやすい岩谷産業のカセットコンロ「タフまる」は、アウトドア用に設計されたまさにキャンプのために生まれたカセットコンロです。
今なお多くのキャンパーに愛されているタフまると、マルチグリドルの相性はどうなのでしょう?
結論からいうと、「使えるが推奨されるわけではない」となります。

岩谷産業が公表するタフまるでの使用が推奨された鍋のサイズは、鍋底の直径24cmまでのものです。
ただし、マルチグリドルの場合、鉄板の周辺は底面より少し高さがあり、ガスコンロからの距離が若干あります。
岩谷産業が販売する「鉄板焼プレート」は幅が325cmある鉄板ですが、こちらの商品は普通にタフまるのオプション品として指定されていますし、ボンベにかかる縁はほんの数センチであり、全体をおおってしまうわけではありません。

この鉄板焼プレートとほとんどサイズが変わらないマルチグリドルも、同等の使用ができることは想像できます。
ただし、長時間の調理はしないことと、あくまで「推奨されているわけではない」ということは理解しておく必要があるでしょう。

ちなみに、ソロキャンパーを中心に人気の「タフまるJr.」は、33cmマルチグリドルだと完全にボンベをおおってしまいますので、使用は避けておいたほうが無難です。

マルチグリドルに本物と偽物があるの?

先にも触れたように、マルチグリドルには本家といわれる「JHQ製鉄板マルチグリドル」と、そのコピー品であるさまざまなメーカーの製品があります。
これはいわば、市場には本物のマルチグリドルと偽物のマルチグリドルが存在するという状態です。
とはいえ、本物だけが正義で、偽物はすべて悪というわけではありません。
偽物にもよい製品はありますので、自身の予算と使用方法に合わせて、最適なものを選ぶことをおすすめします。

デメリットを補うマルチグリドルの魅力

出典:株式会社ジェイエイチキュー

この記事では、さまざまなマルチグリドルのデメリットを紹介してきましたが、これだけマルチグリドルの人気が高いということは、やはりデメリットを補ってあまりあるメリットがたくさんあるからです。
ここでは、そんなマルチグリドルの魅力を簡単にご紹介します。

マルチグリドルの最大の魅力は、特殊コーティングがもたらす「取扱いの簡単さ」です。
特殊コーティングのおかげで、マルチグリドルは油を使わなくてもほとんど食材が焦げつくことはありません。
また、マルチグリドルで焼いたステーキなどに直接ソースをかけた場合などは、多少焦げつく場合もありますが、使用後に割り箸の角やキッチンペーパーで軽くこするだけで、簡単に焦げ付きを落とすことができます。
洗い場でもタワシなどでゴシゴシこする必要がありませんので、お手入れはとても簡単です。もちろん、コーティングのおかげでサビつくこともありません。

また、軽量・薄型のマルチグリドルは、持ち運びも楽々です。だというのに広い面積を持っているため、一度に複数の調理をこなしたりと、調理の効率化にも一役買ってくれます。
さらに、熱源を選ばないマルチグリドルは、キャンプだけでなく自宅のキッチンでもバンバン使いたおすことができますので、アウトドアでも自宅でも料理をとことん楽しみたい方には自信を持っておすすめできるまさに「万能鉄板」です。

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結局マルチグリドルはどれが良い?

ここまで、マルチグリドルのデメリットについて考えるとともに、さまざまな噂やその魅力についても考えてきました。
では、最終的にマルチグリドルは「買い」なのでしょうか。そして、買いなのであれば「どれを買えばよい」のでしょう。
本記事の最後には、マルチグリドルを実際に購入する際のポイントについて解説します。

偽物と本物の特性を理解して購入しよう

先にもふれたように、マルチグリドルには「本物」と「偽物」が存在します。しかし、なにも偽物がすべて悪いというわけではないのも先述のとおりです。
JHQ製マルチグリドルは確かに信頼性はありますが、その分価格は高額です。他社のマルチグリドルは価格も安く、付属品も充実しているためコスパにすぐれています。

それでも、一年間のメーカー保証も含めて、JHQ製品が圧倒的な信頼と実績を誇っていることは間違いありません。
信頼を取るかコスパを取るか。この観点に立って、あなたがどの程度マルチグリドルを使用するかどうかを考えてみるとよいでしょう。

マルチグリドルをキャンプでしか使用せず、年に数回程度しか利用しないのであれば、多少の信頼性に目をつむっても安いコピー品を選ぶのもおすすめです。

また、コピー品としては多少価格が高くても、本物にせまる信頼性を確保したメーカーの製品も少なくありませんので、そういった製品は好みのデザインや色、付属品の種類によって選んでもよいでしょう。
これに対して、アウトドアでもキッチンでもひたすらマルチグリドルを使いたおし、ヘビーユーザーとなる可能性のある方は、やはりしっかりとした保証がついた本物を選ぶことをおすすめします。

いずれの場合も、本物・偽物それぞれのメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、ご自身の利用頻度などと合わせて最適なものを選ぶとよいでしょう。

デメリットを受け入れられるならマルチグリドルは買い!

本物のマルチグリドルと偽物のマルチグリドル。どちらを選ぶにしても、マルチグリドルはこれまでにない調理の楽しさを提供してくれます。
外見がおしゃれなことも手伝って、調理したそのままお皿代わりに食卓にサーブすることができるのも、マルチグリドルの大きな魅力です。

たしかにマルチグリドルにはさまざまなデメリットもありますが、それをしっかりと理解した上で使用すれば、これほど楽しい調理器具はありません。
筆者個人的な感想ですが、はじめて鋳鉄製のダッチオーブンやスキレットに出会ったときのような興奮がありました。
ダッチオーブンやスキレットと比べて軽いマルチグリドルは、これに出会って以来筆者のキャンプには欠かせない調理器具になったぐらい、ここ数年出会ったキャンプグッズの中ではトップクラスに気に入っています。

本記事の内容を参考にしていただき、もし「これだ!」と感じていただけたら、ぜひキャンプ飯に革命をもたらす万能鉄板「マルチグリドル」の購入をぜひとも検討してみてください。

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この記事を書いた人

多数のジャンル案件を手掛けるWebライター。

趣味のソロキャンプを活かしたアウトドア案件は特に得意とし、取材を兼ねた愛車のジムニーJA-11改でキャンプ場ワーケーションに出かけることも多い。

元飲食店主の経歴もあるためキャンプ飯にはこだわりたいタイプ。

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